Jinsen's パイプ

ガーウィズ・ホガース: ブロークンスコッチケーキ

a0150949_17333956.jpg

 イギリスの伝統製法だとたばこ葉はまずプレスされて立方体の「ケーキ」となる。このあとは裁断してミックスしたり、さらに小さなブロックにカットしてフレークたばこになったりとさまざまの工程にわかれる。この「ブロークンスコッチケーキ」は文字通りとするとその最初のケーキをただカットしただけ、つまりもっとも素朴なイギリスたばこ(スコットランド風なのかもしれないが)ということになり、そこに興味があった。
 葉組はバージニア葉のみ。何種かをミックスしたそうで同社の「エナーデール」の葉組と似ているがバーレーは含まない。
 缶をあけると、おッ、「エナーデール」そっくりのビニールで包んだ包装でおなじみのケンダルの甘い香りがきた。たまたまサミュエル・ガーウィズの「ケンダルクリーム」も空いているのだが、よく似ている。なるほどこれがKendal Scentというやつなんだなと再確認した。
 「ケンダルクリーム」や「エナーデール」のブロークンフレークはフレークの形状がのこり、ただダンヒルのように整然としてない、いわば手でちぎったようなフレークだが、こちらは細かく砕いている。ほとんどリボンカット状態である。そしてやや湿り気をおびているので詰めるのがじつに楽だ。
 火をつけると、当たり! Rawのつまり加工されてないヘイタイプのバージニア葉のやや青臭い香り。舌と口腔にややひりひり感があるのは糖分の多い証拠で外人はtongue bite(舌に噛みつく)と呼んでますね。それと甘み。これがなんともナチュラルで野菜でいえばにんじんとかかぼちゃの甘みそっくり。そして酸味、これは最初はかすかだがボウルの終りのほうだと強くなるようだ。
 と、書いてきたが、じつはこのすべてが繊細かつ微妙で、常喫してるラットレーやダンヒルのバージニア物の半分くらいしか迫ってこない。つまりバージニア葉の特徴はくっきり持っていながら全体がほんわかとやわらかい。いや、じつにいい感じだ。
 おまけにKendal Scentが漂いつづけるからバージニア葉の青臭さにこれの甘さがまじり、それがまた心地よい。なーるほどこういうバージニア物もあるんだ。サミュエル・ガーウィズ社とガーウィズ・ホガース社、いわゆるケンダル(あるいはlakeland湖水地方)のたばこの特徴がやっと身につきはじめた気がする。おなじイギリス物でもダンヒルやラットレーとはあきらかに違うのだ。いや、こう書いて気づいたがダンヒルやラットレーは現在はデンマークやドイツの会社が製造しケンダルたばこと隔絶しているのは当然だがさいわい年寄りのぼくは大昔にオリジナルのダンヒルを吸っている。で、その記憶をたぐってみると、ダンヒルはじつに濃いたばこだった。965はあけると堆肥のようなきつい腐敗臭があり、吸うとラタキアの強烈な臭いが漂い、初心者のぼくはたじたじとなった。アンフォーラの赤やハーフ&ハーフのほうがどれほど吸いやすかったことか。しかし、この悪臭は癖になり、やがて心地よくなった。もしこの頃ケンダルたばこを吸っていたらその清涼感、透明感に恍惚となったのではないかと想像できる。ケンダルたばこはそういう位置にあるんでしょうね。

[PR]
by jinsenspipes | 2011-02-18 17:38 | ガーウィズ・ホガース | Comments(6)
Commented by mifune at 2011-02-18 23:44 x
ケンダルの甘い香りとは何か着香されてるんですかね?
スコッチってお酒の着香かと思ってましたが、そうではないようですね。
ケンダルの甘い香りっていうのが気になります。

SGのウエストモアランドのトンカビーンズの香りってフルーツタルトに感じましたが、桜餅って言われるとそのとおりですね
フルーツタルトと桜餅、香り似てるかも!
SGの着香物が好きなのでガーウィズ・ホガースもいくつか試してみようと思います。
Commented by jinsenspipes at 2011-02-19 01:20
>mifune
着香されてるんでしょうね。
おそらく「グラウスムーア」に書いたようにケンダル独特の草花から精製されたもののようです。
ネットでOrlik社のインタビューを読んでたらイギリスたばこの製造には人工着香料は使わないという記事がありました。
Dane & Dutchは人工着香料をふんだんに使いますがイギリスは法律で禁止されてたんですね。
そのかわり天然の野草の着香料を使ったんじゃないでしょうか。
ただこの香りはアメリカ人にいわせるとイギリスたばこ独特の香りというか匂いだというんですよ。
で、いつも引き合いに出されるのがイギリスでもっともポピュラーなパイプたばこ、CondorとSt.Brunoです。
じつはmifuneさんにUKの通販会社を紹介されたのでこれを頼んでみました。
おなじ香りなのか、どうか。
そうだとしたらこの香りはケンダル独特というよりイギリスたばこの香りということになります。
たのしみにしてるんです。
Commented by plug at 2011-02-21 20:56 x
こんばんは!明日これとSG1792フレークが届く予定です。jinsenさんの後ばかり追っかけてますが、楽しみですw!
Commented by jinsenspipes at 2011-02-22 00:10
>plugさん
やあ、こんばんわ。
それはたのしみですねェ。
1792はSG社の創立の年ですがこの年号はケンダルの歴史のマイルストーンらしいんですね。
ケンダルという町はミントケーキとたばこが特産品ですけどSG社の祖先が当時のイギリスたばこの中心地グラスゴーからたばこ製造機械を山と積んで故郷に帰ったのが1792年。ここからSG社の(同時にケンダル特産たばこの)製造が始まります。
その年号を名前にしたたばこですからよほど思い入れがあると信じたいですね。
いっぺんに2缶もあけるのは冒険ですけど、吸われたらぜひ感想を聞かせてください。
1792はぼくも大好きなたばこなんで。
Commented by mifune at 2011-02-23 19:00 x
1792もトンカビーンズの香りですよね?
1792に似てるってレビューがあったガーウィズホガースのDark Flake Scentedという奴を注文してみました。
かなりストロングということらしいですが、初のガーウィズホガースですので楽しみです。

あ、それとCondorとSt.Bruno、すごく気になりますね。
是非レビューを!
Commented by jinsenspipes at 2011-02-23 20:50
>mifuneさん
1792はトンカビーンズです。
あ、Dark Flake Scented、フレークですよね。
お吸いになったらぜひどんなか教えてください。
UKの通販会社にはガーウィズ・ホガースのめずらしいたばこがあってたのしいですね。
じつはぼくもロープたばこを注文したんですよ。
ロープたばこはもっとも古いパイプたばこの形態でそれこそ帆船時代からあったものです。
SG社もこのガーウィズ・ホガース社も元はロープたばこからスタートしてるんですが、
いまではほとんど需要がないはずなのにしっかり製造していて頼もしいです。
CondorとSt.Brunoはイギリスで一番売れてるパイプたばこですがこちらではまるで知られてないですね。
海外のレビューを読むと、イギリスたばこを語るときはかならずCondorやSt.Brunoと比べてどうこうと引き合いに出されます。
気になってたんで頼んでみました。
はい。
かならずレビューします。