Jinsen's パイプ

ジャーマイン: キングチャールズ ( King Charles )

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 またまた素晴らしいたばことの出会いである。
 ここのところぼくは本物のイングリッシュ・ミクスチャー探しに熱中している。つまり添加物いっさい無し。バージニア、オリエント、ラタキアのみのシンプルな葉組(ラタキアは無いばあいもあるが)。その配合ぐあいと、入念な熟成だけでたばこ葉の味わいを最大限ひき出しているミクスチャーである。まさにキングチャールズがそれだった。
 缶をあけると、パラフィン紙に包まれている。つまむと指に吸いつくくらいの湿り気。とくに強い香りは無く、ラタキアの匂いも薄い。ほとんどシャグといえる細かい刻み。昔のクレイパイプに最適だったろうと想像する。
 火をつけると、ウッ、これだ! すばらしい旨味がきた。全体に丸く、おとなしい。バージニアの旨味とオリエントのスパイシーな味が溶け合い、ラタキアがかすかに香る。いや、じつをいうと、どれがどれと主張するわけではない。全体に渾然一体となって溶け合い、その総合体が、じつにおいしい。これこそイングリッシュ・ミクスチャーの真骨頂である。
 イワン・リース社のサイトにいい紹介文があり、的を衝いていた。
「このたばこは軽快なタッチのラタキアと良質なバージニア、その入念なバランスが生んだ完璧なイングリッシュ・ミクスチャーです。このたばこを軽いとかマイルドだと評価するのは間違いです。吸ってみれば一目瞭然、イギリスタイプのラタキアを愛好する気むづかしい喫煙者も満足できる豊かさ、複雑さをもっています」
 その通りである。引き合いにだして悪いが、オーリック製ダンヒルのあのつんつんしたラタキアとはまったく対照的である。
 しかし、ここに一つ、時代の流れがある。GH社のCRフレークのところで、その無着香のストレート・バージニア味と比べるとデンマーク製ダンヒルやバージニアNo1は着香たばこだと書いた。ぼくの正直な感想なのだが、しかしじつはぼく自身そちらのたばこを旨いと感じるときがあるのだ。甘みや香りを着香剤で強調した、本来なら不自然なたばこがときとして旨いと思われることもある。そしてこちらはマイルドで少し物足りないと感じてしまうこともある。
 イワン・リース社の紹介文の通り、こちらがイングリッシュ・ミクスチャーの本来の旨味だが、こってり加工したたばこのほうがおいしいと感じてしまう感性も現代人はもち合わせているようだ。いまのダンヒルからスタートした若い喫煙者はとくにそうだろう。たとえばダンヒルフレークは着火後の一服になかなかのバージニア味があり、旨いと思ってしまうがその後の発展がない。いっぽうこのキングチャールズは初めマイルドで物足りない気がするが、吸ってるうちにどんどん深みがでてくる。バージニアをちょっと意気がらせ、軽くハシャがせているオリエントの存在。ほんのときおり、フッとどこからか漂ってくるラタキアの風、天上の音楽にうっとりする気分である。
 年寄りのぼくとしてはおとなしいたたずまいながら一度深入りすると魅力がつきないイングリッシュ・ミクスチャーこそ生涯の友としたいところである。
 ところでチャールズ王というこの商品名、どこからきたのか、気になるので調べてみた。この肖像画はチャールズ2世だが、父親の1世の治世は清教徒革命で国は内乱状態、そのあいだ2世は各地に亡命。ジャーマイン社があるジャージー島にも滞在した。そして先王が首をチョン切られ、2世が王位継承を宣言したのがこの島だったとのこと。ゆかりの地なのである。
 そうそう。ニコール・キッドマンの「アザーズ」の舞台がこの島である。2次大戦中、キッドマンと二人の子供がジャージー島の宏大な屋敷にひっそり住み、出征した夫の帰還を待ちわびている。そこに夜な夜な亡霊が出現するが、じつはキッドマン母子のほうがすでにこの世の人ではなく亡霊だったという不思議な物語。ときどきこのDVDが見たくなるとジャーマインのたばこに手がのびるがこれからはキングチャールズをやり、17世紀のイギリスにも思いを馳せることにしたい。

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by jinsenspipes | 2013-02-18 16:23 | ジャーマイン | Comments(14)
Commented by くつした at 2013-02-18 22:41 x
わたしも、半年に1度くらいマイナスドライバーでカーボンをけずってます。
敷かれたトランプがいいですな。あとほかに、まじりっけないしのイングリッシュミクスチャーってなんですか。むかしアザーズみました。あのオチは全くわかりませんでした。しかしJINさんは映画に詳しいですね。ちなみに私はミスト The Mist (2007年)の結末と、
ナイト・シャマランのビレッジの、最後のオチというか秘密を映画中盤で的中させたのが自慢です。同監督のシックスセンスは当てられませんでした。
じつは私も映画だい好き人間です。パイプはじめたのも映画みて、おもしろそうだな、とおもったのがキッカケのようにおもえます。
Commented by jinsenspipes at 2013-02-18 23:06
>くつしたさん
あ、ドライバーで。それもありですね。
本物のイングリッシュ・ミクスチャーと書いたのは、無着香というのもありますけど、ちゃんと熟成してるかどうかが主眼です。
やっぱりぼくは手間ひまかけたのが好きです。
「アザーズ」のラストは門を閉めて貸家の札がでるんですよね。つまり幽霊は住んでるけど生きた人間はいないから貸家と。
「The Mist」は見てないからわかりません。
「ビレッジ」はぼくは最後まじかでしかわからなかったな。「シックスセンス」も奥さんの指輪がころころ落ちるあたりかな。
ナイト・シャマランにはすっかりのせられちゃいました。
Commented by at 2013-02-22 01:09 x
いつも紫煙を楽しみつつ読んでいます。
私自身、ロンドンミクスチャーからラタキアを始めただけに、香りの強い今のタバコに慣れてしまっているようには思います。
しかし、時にそうした香りに酔ってしまいそうになるのも事実。古来の保守的なミクスチャーを楽しめるようになりたいと思いますね。まあ、そういいつつブルーノートを吸ってる昨今ですが。
Commented by ちぇん at 2013-02-22 01:40 x
jinsenさんこんばんは。

ホームズの読み物楽しく読ませていただきました。
あの時代は素敵ですね。
最近の映画も良いものでしたよ。
昔のイギリスTV版とは大分雰囲気が違いましたが、美しい衣装などとても楽しかったです。
パイプももちろん出てきました。
主役のイメージに合わせたのかキャラバッシュやつまみのついた長いパイプではありませんでした。
何であったかは見てのお楽しみですね黙っておきます。

キングチャールズすぐに注文しました(笑)。
ワクワクしながら待っているところです。
ところでjinsenさんは同社のROYAL JERSEY CAVENDISH & VIRGINIAは吸われたことはおありですか?
Commented by jinsenspipes at 2013-02-22 21:07
>あさん
ありがとうございます。
キングチャールスはおっしゃる通り、古来の保守的なミクスチャーです。
ちょっと吸ったところでは、おとなしくて、もわーっとしてる感じですが、
吸っているうちに、じわじわとよさが沁みだしてきます。
いまのダンヒルはとても現代的で、最初からインパクトがありますね。
あ、ブルーノート、いつかやってみたいと思ってました。
こんど買ってみるかな。
Commented by jinsenspipes at 2013-02-22 21:13
>ちぇんさん
いらっしゃーい。
最近のホームズは見てません。ごめんなさい。
チャンスがあったらDVDで見させていただきます。

エッ。キングチャールズ注文されたんですか。
気に入っていただけるといいけど、心配です。

ロイヤルジャージー・シリーズはペリクミクスチャーだけしか知りません。
これは逸品でした!
たしかメールランドのバージニアを使ったシリーズですよね。
ちぇんさんにいわれて気づいた。
ぜひ、こんどキャペンディッシュォバージニア、やってみます。
たのしみが一つふえました。
ありがとうございます。
ちぇんさんは試しずみですか? でしたら感想をお聞かせください。
Commented by ちぇん at 2013-02-22 22:24 x
はい。
キャベンディッシュバージニア今やってるところです。
美味しいタバコです。
僕には新感覚のミクスチャーでバージニア+キャベンディッシュに加えて明らかになにか他の要素があります。
さらにこれはプラムケーキミクスチャーの香りが付けてある気が・・・します(笑)。
いやあ分からなくてjinsenさんにお聞きしようと思ったんですよ(笑)。
僕も試し済みの方のご感想をお聞きしたいです。
Commented by jinsenspipes at 2013-02-22 23:01
>ちぇんさん
あ、そうでしたか。
キャベンディッシュの甘みがあっておいしそうですね。
プラムムーキの香り! ぼくの大好きなやつです。
この香りはジャーマインの秘伝らしいですが、あちこちにでてきてるみたいです。
ムムム。ますますやりたくなってきた。
Commented by D蔵 at 2013-02-23 21:45 x
jinsenさん初めまして、以前からこちらのレビューを楽しく拝見させていただいておりました。
今回のたばこは私も少し前に開けて非常にバランスの良いたばこでそのおいしさに感動したのですが、jinsenさんもそういった感想をお持ちになったようで自分の感覚もあながち間違いでなかったとうれしくなり思わずコメントさせていただいております(笑)。
イギリスのたばこはSamuelGawithもそうですが後から後からじわじわくる旨味が何ともいえませんね、私はjinsenさんのような繊細な感覚はありませんので細かいところは分かりませんでしたが今回のレビューでまた新たな楽しみ方が出来そうです。
Commented by D蔵 at 2013-02-23 22:10 x
連投申し訳ありません。
プラムケーキの香りの話題がありますが私はペリクミクスチャーにもその香りを感じます、(jinsenさんもご指摘されていましたが)EsotericaのDorchesterにもこの香りがしますしジャーマイン社の個性と言うかGawith Hoggarthのソープ香と同じような位置づけのような気がします。この会社特有の香りはマクレーランドが一番強烈ですが(笑)各社それぞれにあっておもしろいですよね。
Commented by jinsenspipes at 2013-02-23 22:17
>D蔵さん
はじめまして。ようこそです。
はい。
バランスいい、おっしゃる通りですね。
あとからあとからじわじわくる、これもまさしく。
噛みしめるほど味が沁みでてくる、スルメみたいです。
Commented by jinsenspipes at 2013-02-23 22:28
>D蔵さん
あ、ペリクミクスチャーにも感じましたか。
いやあ、ぼくは気づかなかった。
もっともここのところやってません。
ドーチェスターはまさしくそうですね。ぼくは一瞬、プラムケーキを吸ってるかと思ったくらいです。
そうか、この秘伝の香りがジャーマインの個性なのかもしれませんね。
マクレーランドのケチャップ臭は、あれは香りづけじゃなくバージニアの熟成臭ですね。
しかしたしかに会社を特徴づけている匂いではあります。
ソープ香と書かれましたけど、アメリカ人のいう石鹸臭さ、あれは湖水地方のSG社、GH社、共通の香りですね。
しかしエリンモアなんかにも通じるところがあってもしかしたらイギリスたばこ共通の香りかなァなんて思うことがあります。
あの匂いを漂わせると、あ、イギリスにきたナ、と書いた記事をどこかで読んだことがあります。
このあたりは追求するとおもしろそうです。
Commented by D蔵 at 2013-02-24 01:57 x
たしかに、マクレーランドのは熟成香でした、失礼しました。
ソープ香ですが以前からこちらの記事でSG社にもあると書かれていますが私はなぜかGH社にしか感じないんですよね、元々この香りは嫌いでGH社のたばこは避けてましたがSG社のたばこは以前から大好きです(笑)。もっとも最近はこの香りが大丈夫になりむしろ好きと言えるほどになりました(笑)。
ペリクミクスチャーは今2缶目ですが間にプラムケーキを喫ったせいで気付いたのだと思います、実はKing Charlesの甘みの中にもこれがあるような気がしてます、いや、「気がしている」だけでしょうけど(笑)。と言いますのもGHのバルカンミクスチャーにはソープ香をしっかり感じますのでそういう「個性」もミクスチャーされているのではないかと思ったり・・です(笑)。
(ちなみにGHのバルクのラタキアを買ったことがあるのですがそちらはさすがにソープ香はありませんでした(笑))
Commented by jinsenspipes at 2013-02-24 17:45
>D蔵さん
石鹸臭、ケンダル芳香ですが、ぼくはSG社にも感じます。
ケンダルクリーム、ブラッケンフレーク、ファイアダンス、最後のは強いベリー味の着香ですがわずかにケンダル芳香があると感じてます。
エナーデールを最初やったときは、何だこれ!って感じでしたね.ぼくも今は好きになりました。
ブラムケーキ香ですが、キングチャールズにもありますか? いま開いているのでしっかり味わってみます。
じつはおもしろい体験したんですが、今朝、スキッフミクスチャーを吸ったんです。
そしたら、フッとプラムケーキ香が一瞬きた。アレ〜〜ッと思ったんですが、じつは数日前にプラムケーキをこのパイプで吸ったんです。
それが残っていたらしい。笑っちゃいました。相当きつい香りなんですね。
バルクのストレートラタキアには香料は使わないでしょう。やはり使うのは個性を出したい缶入りだと思います。