Jinsen's パイプ

マクレーランド: ダークスター ( McClelland: Dark Star )

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 前にレビューした「22」はマクレーランドのパージニアたばこでは一番素朴な味わいだったが、その対極点にあってもっともストーヴされた、つまりこってり料理されのがこのダークスターである。社の解説には、糖分をたっぷり含むバージニア葉とカロライナ葉を使い、充分寝かせ、プレスし、ストーヴする、これを3度繰り返し、このゆたかでクールな味わいを出したとある。
 ダークスターはバルク売りの2035と同等品で、そのレビューは前に書いたが、まったくおなじだった。すばらしい果実味、前にマンゴーと書いたが、まさしくマンゴーを食べているような熟した甘みがある。「22」のほうはでゑさんのいう青リンゴ味、すっきりさわやかな甘酸っぱさが身上だが、こちらはねっとり舌にからんでくる熱帯性の甘みで、そこにバージニア葉特有の青臭さがからみ、何ともいえない芳醇な味わいとなる。
 では2035とまったくおなじかというと、さて、どうだろうか。いま手許に2035はないし、記憶をまさぐるしかないのでおぼつかない。
 しかし、おなじみのザバディ氏は、両者には違いがあると書いている。
「あきらかな違いがある。2035はカッターグレード葉を混ぜているがダークスターは使っていない。この葉はやわらかい感触だが味わいはやや平坦である(イギリスのプラグカットバージニアによくある味わい)。ところがこの葉をレモンバージニアと混ぜてストーヴすると、じつに錬金術そのままの魔術が出現するのである。一方、この葉を使わないダークスターには本来のレモンバージニアの味わいをより深く感じる。一服ごとにその味わいが立ち上がってくるのである」
 ああ! ここまで深くたばこを味わえたらどんなに素敵か!
 とうてい足許にもおよびませぬ。
(カッターグレード葉については2035のレビューをお読みください。といってもぼくの知識はほんの表層だが)
 じつはたまたまSGのFVFとBBFが空いていた。このあたりはぼくの常喫たばこなのでどちらかはたいてい空いているが今は両方あった。これもまたストーヴドバージニアの傑作で、ただ製法がそれぞれ独特なので味わいも変わってくる。そこで比べてみたのだが、といっても同時に2本のパイプで比較したわけではない。ある日ダークスターをやり、つぎの日SGのどちらかをやったのだ。
 すると、漠然とした印象ではどちらも果実味の強い類似のたばこと思っていたが、かなり違うことに気づいた。まず甘さの質が違う。BBFは酸味が強く、マンゴーよりオレンジ風味に近いか。さらに甘みの裏のバージニア味になるとかなりの違いがある。
 このあたりは文字で書けない微妙な味わいだが、やはり違う。BBFとダークスターはかなり似ていると感じたが、FVFはずいぶん違った。甘みの裏にたちあがってくるバージニア味が青臭さ、ときにお花の香り、樹木の肌のような味わい、じつに複雑多岐である。そして、喫煙がじつにクール、清涼、まったく熱さを感じさせない。世界のパイプスモーカーが理想とするクールスモーキングの極致がここにあった。
 しかし、そういう微妙な味わいに違いはあっても、とろんとした甘み + バージニアの芳醇な味わい、その方程式はこの3者に共通する。人口の甘味料でなく、天然の熟したマンゴーのような甘さ、その裏にたちあがる濃いバージニア葉の味わい、それがほしいときはきっと手がのびるのがこの3つのどれかである。バージニアの味わいの違いについてはその日の気分しだいということになるか。

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by jinsenspipes | 2014-06-13 15:37 | マクレーランド | Comments(21)
Commented by 2号 at 2014-06-13 21:13 x
お久しぶりです!
とうとう、ダークスターきましたね~!
最近はクリスマスチアーばかりすってましたが久し振りにダークスター吸いたくなりました!
そーいえば、SGからフォーシーズンシリーズっていうフレイク4種類が新しく出ましたね。
最近はマクレばっかりだったから久し振りにSGの新しいのでも、やってみよーかなって思ってます!
Commented by jinsenspipes at 2014-06-13 23:05
>2号さん
 やあ、ひさしぶりです。
 はい。遅ればせながらやってみました。
 おいしいですね、これ。
 あ、SGにそんなのあるんですか。知らなかった。
 ぼくも最近はマクレーランドばかり。
 もっともBBFやFVFは切らしたことないですが。
 ちょっとやってみたいですねェ。
 2号さん、吸われたら、ぜひレポートお願いします。
Commented by くつした at 2014-06-14 15:03 x
外は小雨が降りしきるなか、パイプたばこは実に1年以上ぶりで久しぶりに吸ってみると、どうも旨くなく、多分湿気が多すぎるせいだとおもうので、晴れたら多分旨くなるっちゃ、と期待しています。
Commented by jinsenspipes at 2014-06-14 17:22
>くつしたさん
 いろいろ初体験されてますね。
 局留めという手があったか。
 これ便利そうですねェ。
 ありゃ。おいしくなかったですか。
 たしかに湿度のせいもあるかもしれません。
 あと、開けたてはたぶんたばこが湿っていると思うので、
 少し乾かして吸ってみたらいいかもしれませんよ。
 ぼくはイギリスのたばこは1時間くらい乾かして吸うことが多いです。
Commented by 和菓子 at 2014-06-16 07:34 x
こんにちは、お久しぶりです。
ザバディさん、凄いですね。
パイプの味わいを熟知している、少し憧れます。

ところで。jinsenさんは最近バージニアばかりですか?
僕は最近パイプを再開したばかりですが、「Compton's of Galashiels」というメーカーが気になっています。
パイプレビューでも軒並み高評価です。
http://www.tobaccoreviews.com/brand/271/comptons-of-galashiels
ショップには色々と魅力的な言葉が並べられています
http://www.cubancigars4u.com/blends.htm
バージニアブレンドだと「Commonweal Mixture」1つだけですね。

小ロットでの生産と言うことで、時間とお金はかかるかもしれませんが、手に入れてみせます。
Commented by jinsenspipes at 2014-06-16 10:40
>和菓子さん
 やあ、ひさしぶりです。
 ザバディ氏の見識には頭さがますね。
 あ、めずらしいたばこの紹介ありがとうございます。
 フムフム。
 ぼくも機会があればやってみたいです。
 和菓子さん、試されたら、ぜひレポートお願いです。
Commented by jinsenspipes at 2014-06-17 10:48
>くつしたさん
あ、それはよかった。
湿度は味の関係ですか。
ぼくはあまり気にしなかった。憶えておきます。
ヘェーッ。こんな模型あるんですね。
ドイツ製かァ。
おととし、ぼくは玄関までの敷石が壊れたので、セメントこねて補修したことがあります。
結構できるモンですね。
補修したところだけ白くて不自然ですけど、ガタガタしてるのがなおりました。
Commented by mifune at 2014-06-21 21:55 x
すごーくひさしぶりです!
最近は随分喫煙回数が減ってしまいました。
パイプタバコで禁煙成功というところでしょうか。
もう旨いタバコが葉巻以外は吸う気がしません。
中でも2035はすごいお気に入りなので、これからも付き合っていけるタバコだなと感じております。
ダークスターもいつか試してみたいです。
Commented by jinsenspipes at 2014-06-21 22:09
>mifuneさん
 ほんと。ひさしぶりですね。
 そうでしたか。パイプたばこで禁煙成功。よかったですねェ。
 ダークスターはぜひお試しいただいて、
 お好きな2035との違いなどお聞かせください。
 ぼくはほとんど違いを感じなかった。
 ぼくのほうは、最近また吸い方がうまくなったのか、前に気づかなかった微妙な味わいを感じるようになりました。
 奥が深いですねェ。パイプは。
Commented by jinsenspipes at 2014-06-22 17:37
>くつしたさん
 あ、5時間かけた大作ですか。
 ぼくはツイッターはやらないので見れませんが。
 ぼくも美術系は弱かったなァ。
 ナイトキャップ、ひさしくやってない。また吸いたくなりました。
 ラタキア物はSGのスクワドロンが常喫でいまも空いてます。
 ときどきやりたくなりますね。
 フフフ。次期監督? アハハです。
Commented by jinsenspipes at 2014-06-23 20:47
>くつした
見れましたァ。
なかなかいいじゃないですか。
このセメントが垂れたあたりね、じつはぼくが敷石を修理したときもこうでした。
汚れて黒くなった敷石の、修理したところだけ白くて、しかもまわりにセメントの飛沫が飛んでネ。
素人仕事はしかたないですよ。
模型もいいけど、くつしたさんも自宅の敷石とか塀とか、セメント修理したらたのしいですよ。
ひと晩で乾くし、あと日がたてばどんどんしっかりしてくる。
見てくれはよくないけど、立派に修理ですます。
メッシねェ。そりゃそうでしょ。アルゼンチンの星だもの。
Commented by 直列Ⅲ気筒 at 2014-06-24 03:26 x
前々から疑問に思っていたのですが、そもそも「ストーブされた」とはどういった状態なのでしょうか?
熱処理されるとのことですが、単に熟成されたものとはどう違うのです?
知識が圧倒的に不足のため、毎度これらのことで躓きます・・・。
Commented by jinsenspipes at 2014-06-24 15:30
>直列Ⅲ気筒さん
「ストーブ(stove)」というと日本では暖房ストーブですが、もともとの英語では料理のための加熱のことです。ですからガスコンロやオーブンなどもストーブで、転じて「料理する」という意味でも使われます。
 マクレーランド社のメアリ・マクニール女史は「ストーブドバージニア」をこう定義してます。
「熱風乾燥したブライトバージニア葉は、ストーブ、つまり料理すると、黒づんできて、芳醇でやわらか、果実の甘みを増し、単体でもブレンドにも使われます」
 自分でたばこをブレンドするかたは、バージニア葉をフライパンにいれてガスコンロで煎ったり、オーブンで焼いたりしてストーブドバージニアにしてます。日本語でいうと「焙煎」とか「煎る」という感じでしょうか。
 ラットレーは「ストーブ」と呼ばず「パンニング(panning)」といってました。その工場には巨大な銅の「パン(日本語のフライパン)」があり、これで煎っていたんだそうです。このパンはその後ドイツのコールハス社が引き取り、いまでも工場にあるはずです。
「熟成」はふつう時間をかけて味をだす「aging」の意味で使われますが、加熱して急速に味をますのも熟成の一つの方法だと思います。
Commented by 直列Ⅲ気筒 at 2014-06-24 16:46 x
成る程、『料理されたバージニア』ですか。
となると、「matured」はヘイタイプの範疇と考えて良いんですかね?

というか、フライパンやオーブンを使って自家製ストーブドを作ることがあるんですねぇ(笑)
今度試してみますwww
Commented by jinsenspipes at 2014-06-24 20:53
>直列Ⅲ気筒さん
「ヘイタイブ」は干し草(ヘイ)のような香りのするたばこということで、
 ぼくはこれまでブライトバージニアの生々しい、青臭い感じというつもりで使ってきました。
 しかし、最近気づいたのは、2035とかFVF、ロイヤルヨットにも独特の青臭さがあり、
 それはどうやらブライトバージニアの素朴な青臭さとは違うように思えてきました。
 2035のばあいはカッターグレード葉、ロイヤルヨットだとシェードたばこ、
 そういう葉が強烈な青臭さを感じさせるようなんですね。
 このあたりはもっと勉強したいと思ってます。
「matured」はagingによる熟成のことです。
たっぷり時間をかけて寝かせて、もとの葉の特徴を引き出し、さらにマイルドな味わいにします。
自家製ストーブドバージニアは、あちらのかたはしょっちゅうやってるようですよ。
フライパンで何時間煎ったとか、オーブンがいいとか、よく話題になってます。
ぼくはやったことないので耳学問にすぎませんが。
Commented by 直列Ⅲ気筒 at 2014-06-24 23:33 x
すみません、どうやら私の勘違いだったようですね。
私はてっきり、キャベンディッシュやラタキア等に対して手を加えられていないものを「ヘイタイプ」というものだとばかり思っていました。
ありがとうございます、たいへん勉強になりました。
Commented by jinsenspipes at 2014-06-25 10:43
>直列Ⅲ気筒さん
 いえいえ。ぼくも最初は何もわからず勘違いばかりしてました。
 ついでながら、キャベンディッシュはストーブとやや似ていて、熱処理されたたばこです。
 オランダ、デンマーク、アメリカではいろんな葉や甘味料を混ぜてこってり熱処理します。
 イギリスはバージニア葉を熱処理するだけです。
 ラタキアはオリエント葉を薫製したもので独特の香りづけされたたばこです。
Commented by 直列Ⅲ気筒 at 2014-06-25 13:48 x
日々勉強ですね。
かつてのイギリス煙草は、法の関係上から単に加熱圧縮されたものとのことですが、これに甘味料を加えたものがキャベンディッシュという解釈でよろしいのでしょうか?
ラタキアに関しては、この間初めてダンヒルの965をやって度肝を抜かれました。
最初話に聞いたときは独特の喫味ということで敬遠してましたが、今ではもうすっかり癖になってしまい、一日に1ボウルは必ず喫んでおります。
Commented by jinsenspipes at 2014-06-25 16:19
>直列Ⅲ気筒
 イギリスは昔、たばこに指定されたもの以外の着香料の添加を禁止していました。
 オランダやデンマークは規制がなく、さまざまな着香料を加えてバラエティに富んだたばこを製造してたんですね。
 これがキャベンディッシュの最初です。 
 かつてはアンフォーラ(オランダ)がキャベンディッシュたばこの傑作といわれてましたが、
 いまでいうとキャプテンブラック(アメリカ)でしょうか。
 ラタキアはたしかに癖になりますね。
 ぼくもかならず1缶はいつも開けてあります。
Commented by jinsenspipes at 2014-06-25 16:20
>直列Ⅲ気筒さん
 ごめんなさい。
 前の書きこみで敬語を忘れました。
Commented by 直列Ⅲ気筒 at 2014-06-25 21:44 x
いえいえ、どうぞお気になさらず。