Jinsen's パイプ

読み物: マッチ

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 パイプの火付け道具については、マッチ派、ライター派、わかれるが、ぼくはマッチ派。これがぼくの火付け道具である。もう何十年もこれを使っている。
 写真の左上がマッチの大箱、その下が携帯用のアルミ製の小箱、大箱の多量のマッチを小箱に移して使う。
 このアルミのマッチ箱は黄燐マッチを入れて売っている、黄燐マッチは、ラベルに書いてあるが、どこで摺っても火がつくマッチで摺り板(ストライカー)はいらない。西部劇映画などでこのマッチを酒場の柱や長靴、ズボンの尻などでチャッと摺って点火するシーンがよく見られる。黄燐は毒性があるのでいまは硫化燐マッチらしいが、日本では製造禁止で、これは輸入品である。ただパイプたばこを置いてあるたばこ屋ならどこでも買える。入れてある黄燐マッチを使いきったら大箱のふつうのマッチを詰める。アルミ製なので耐久性があって長持ちする。
 ふつうのマッチだと当然摺り板が必要で、写真の右上がその摺り板である。じつはこれはマッチの大箱に貼付けてある摺り板を切り取ったものである。使いきった大箱をバラし、4面にある摺り板だけ切り取る。これを写真の左下にあるほどの大きさに切り取り、1枚をアルミの小箱にマッチ軸とともに収める。写真の右下がタンパーで、これもアルミ製の安物だがぼくには一番使いやすい。
 いまの若いかたはほとんどライター派のようだが、マッチでもライターでも優劣はない。ぼくはマッチが使い慣れているだけのことである。だいぶ昔、ロンソンのパイプ用ライターがカッコいいので買ったことがあったが結局マッチに戻ってしまった。
 識者にいわせると、ライターは一度にドッとたばこ全面に着火することができ、片燃えが防げていいそうだ。たしかにマッチで着火するとドッと全面というわけにはいかない。マッチの火を近づけるとごく一部にしか火がつかないので、ここに着火し、つぎにその隣りというぐあいにマッチの火をちょんちょんと動かす。けれど、この火がついたごく一部、そこがポッと赤くなり、つぎにたちまち白い灰になる瞬間にすばらしい味がくる。とくに朝一番のバージニアたばこは新鮮で一本のマッチが燃えつきるまで、ちょんちょんと着火しつづけるときがたまらない。
 マッチの着火は二度つけるのが常識になっている。最初の着火はcharring(炭化)またはfalse(偽)着火といい、たばこの表面を炭にしてしまうためである。そしてタンパーでならしてたいらにし、細かい炭状になったところに二度めのマッチの火をかざすとこんどは一挙に、ドッと全面に火がつく。これがfalseではない本物の着火である。ごくゆっくり吸うとたばこの表面全体がポッと赤くなり、片燃えせず、下に燃えひろがっていく。
 これは一般的な着火法だが、ロングスモーキングの競技のときなどはこれではいけないらしい。
 渡辺純夫さんという、ロングスモーキングの大家がこう書いている(この記事は柘パイプのサイトに掲載されています。とても参考になるのでぜひご覧ください)。

「マッチの火を広く全体につけ吸いつづければ安定はしますがたばこの消耗も早く、長くても70〜80分くらいで吸いきるだろうと思います。一点着火といい、マッチの頭くらいの火を理想としますが、この火種をつぎつぎ転がすのは至難のわざで、成功率は非常に低いようです。
 一般的にはたばこ表面の1/3から1/2、理想的には1/4くらいに火をつけるとよいでしょう。火は吸い口に近いほどたばこの燃焼を早くしますので、着火は吸い口に離れているボウルの前方にします。ただし片燃えになる恐れがありますので注意してください。」

 なるほどそうなのかと思う。昔から火種の大きさは小豆(あずき)ほどに止めるのがいいといわれていて、これはボウボウ燃やして過燃焼させる戒めでもあると思われる。ぼくはロングスモーキングに興味はないが、火種は大きくせず、消えかかった頃にゆるく吸い、火種のあたりがあたたまるていどで吸ったときにいい味がくるようである。

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by jinsenspipes | 2015-03-14 23:09 | Comments(9)
Commented by 天邪鬼 at 2015-03-15 08:03 x
着火もいろいろあるんですね。
パイプ喫煙って、本当にひとつひとつにそれぞれコダワリがあって、置くが深いと改めて思いました。
私はメインはライターですが、マッチも携帯しています。
でもフレイクの時だけは、マッチだとあっという間になくなってしまうので、そういったところで使い分けしています。
Commented by 天邪鬼 at 2015-03-15 08:04 x
すみません、奥が深いでした。
Commented by jinsenspipes at 2015-03-15 11:16
>天邪鬼さん
 さっそくありがとうございます。
 天邪鬼さんにいわれて身近なことを書いてみました。
 そうですね。
 習慣というのはあらためて聞くとびっくりするようなことがあるものです。
 おっしゃる通り、フレークはマッチだと大変。
 FVFなんか10本くらい使っちゃうときがあります。
 使いわけるのがいいんでしょうが、これも習慣で、苦労してマッチで着火してます。
Commented by 黒い鳥 at 2015-03-17 22:12 x
私はライター着火派でしたが、今は殆どマッチですね。
というのも、脱硫(ノンサルファ)マッチというものを見つけてからはこちらばかりです。
硫黄や硝化綿が入っていないので、最初から最後まで、まるで暖炉のそばにいるような木の香りがします。
火が近づき、持てなくなったマッチを斜めに立てかけて、すべて炭になってゆくのを眺めるのが好きなんです。
Commented by jinsenspipes at 2015-03-18 11:14
>黒い鳥さん
 ありがとうございます。
 あ、そういうのがあるんですね。
 マッチから木の香りがするなんて素敵だな。
 マッチが燃え尽きるまで眺めているのも、また、一興。
 ぼくもそのマッチ探してみます。
Commented by K at 2015-03-18 20:39 x
初めまして、いつも興味深く拝読しています。
若輩の私には趣味と実用を兼ね備えた教科書のようなブログです。

私も着火をマッチでするのですが、画像を拝見したところストライカーを別に持ち運ばれている上にストライカーの面積が小さいように思いました。私は箱の側面でマッチを擦ることに慣れているので、あのストライカーの面積では火をつけにくいのではなどと疑問に思ったのです。
しかしあのアルミのマッチケースに入れて持ち運ぶというの見た目に美しく大変魅力的に見え、ぜひ真似したい。パイプをするたびにマッチを山のように消費する未熟者の疑問にぜひお答え頂ければと思います。
Commented by jinsenspipes at 2015-03-19 11:00
>Kさん
 ようこそです。
 あ、マッチ派なんですね。お仲間がいてうれしいです。
 ストライカーですが、ぼくは問題なく、楽に着火してます。
 1枚が2cm x 3cmていど。小さいですが、面積が小さすぎると感じたことはないです。
 しかし、心配でしたら、ぼくのように小さく切らず、大きめにカットすればいいです。
 写真の右上の長いストライカーは大箱の横のものを切り取ったものです。
 アルミケースぎりぎりに収まる大きさに切れば、ふつうのマッチの小箱ていどのストライカーになります。
 ただアルミのケースにはマッチ棒が20本〜25本ていどしか収まりません。
 もし多量にマッチをお使いなら、しょっちゅう大箱から移し替えなくていけないかもしれませんね。
 初心者のかたとのことですが、いまはマッチを多量に使っても、すぐ慣れて少なくてすむようになりますよ。
 そうなると、このアルミのケースは重宝します。
 
Commented by 2号 at 2015-05-09 12:28 x
お久し振りです。2号です。
SGからsquadron Leaderのペリク入りが出ましたよ!
もうご存知かも知れませんが嬉しくてコメントしちゃいました!笑
special editionとの事です。
是非ともjinsenさんのレビューを拝見させて頂きたいです!笑
Commented by jinsenspipes at 2015-05-11 21:00
>2号さん
 やあ、ひさしぶりです。
 お知らせありがとうございます。
 ぼくのところにも会社からメールがきてました。
 これってもともとのversionですよね。
 SGの会社訪問したかたのブログで前に読んだことがあります。
 メールの記事では2008年のシカゴショウで一度紹介され、
 今回、2度めのお目見えになったとのことでした。
 さっそくsmokingpipes.comで確認したら、
 案の定、売り切れになってました。
 2000缶の限定発売とのことなので、
 手に入るのはつぎの製造、だいぶ先になるでしょうねェ。
 たのしみに待ってます。