Jinsen's パイプ

2011年 08月 03日 ( 1 )

サミュエル・ガーウィズ:  バルカンフレーク ( Balkan Flake )

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 ガーウィズ・ホガース社の「バルカンミクスチャー」につづくバルカン物である。
 缶を開けるとフルバージニアフレークによく似たフレーク。さっそく1枚をまるめてダンヒルの2番のビリヤードに詰めてみた。この小ぶりなパイプだと1枚でちょうどいい。
 火をつけると、ムムム、GH社のにそっくりじゃないの。甘みと酸味がかなり強く、マイルドな味わいにわずかにラタキアが香る。そのベースがやはりGH社のに似てバージニア+オリエントのアマルガム、つまり調合して変質した独特の味、といいたいのだが、しかし、待てよ。GH社の葉組はバージニア、オリエント、ラタキアだがこちらはバージニアとラタキアのみ。オリエントはないはずなのだ。
 これはどういうことだ!
 通説によると、バルカンブレンドはオリエント葉を配合した独特の味とされている。バージニアにラタキアとオリエントを配合するのはふつうのイングリッシュブレンドもおなじだがGH社の「バルカンミクスチャー」を吸った印象ではやはり一線を画している。イングリッシュブレンドだとラタキアとオリエントはあくまで香りづけの添加物だがバルカン物は調合の過程でバージニアとオリエントがたがいに影響しあって変質する、アマルガム状になるとぼくは推測した。GH社のはまさにそれだ。
 しかしこちらはオリエント抜き、それでおなじ味わいがあるとすると、考えられるのはフレークのせいかもしれない。GH社のはミクスチャーだから変質は熟成の過程でおきるがこちらはフレークなのでバージニアとラタキアを加熱圧縮する過程でおなじアマルガムがバージニア=ラタキア間でおきるのではないか。いや、これは素人考えにすぎないけどね。
 ラッキーなことにGH社のがまだのこっていた。しめしめと比べてみると、がーん! やはり違うのだ。比べて初めて気づいたがGH社のベースはやはりオリエントの香りがのこっていた。こちらは、それと比べると、バージニア色が濃い。しかし同時に吸い比べないかぎりその違いは感覚できない。どちらもマイルドで心地よい、わずかに漂うラタキアの香りがじつに涼しい。
 バルカンブレンドと呼ばれるたばこ、それがいつ頃から、どんなタイプに命名されたかは日本人には謎だが、GH社、SG社老舗のたばこから推測すると葉組よりこの喫味にあるようである。葉組がおなじでも、ヨーロッパ大陸に腰をすえたイングリッシュブレンドはあくまでもバージニア葉をたのしむたばこでオリエント、ラタキア、ペリクは調味料にすぎない。バージニアの味と香りがしっかりしてないとイングリッシュブレンドとはいえない。
 いっぽうバージニア葉の強烈な味をやや隠し、そこにわずかにラタキアの燻製臭を漂わせる。喫味は甘口、マイルド、涼しく、ラタキアがアクセントになるがさほど強くない。さらにSG社のバルカンフレークだと後半に果実の香りのような心地よい甘い匂いが漂って気持いいったらない。このあたりがバルカン物の存在理由なのではないかと推測した。
 ぼくはこのバルカンフレークが気に入ったが、フレークというのも利点の一つである。おなじたばこならリボンカットよりフレークのほうが断然吸いやすい。ゆる詰めもかた詰めも関係無し、板状だから二つ折りか四つ折りにして詰めれば会社が計算した通りの詰めぐあいになる。煙道に葉が詰まることもなく、タンパーなんていらない。自然に燃えるままにしておけばいい。ただ板の一端に火をつけるわけだから最初の着火がめんどうでマッチ4、5本は必要。吹き戻しを多めにして火をたいらにまわしてやればあとはひとりでに燃えてくれる。それもゆっくりネ。フレークをほぐして吸うなんて話を聞くことがあるがわざわざ旨いたばこをまずくしてどうするんだろ。気がしれない。
P.S
 このたばこの缶にはバルカン半島の地図がうっすら見える。あいにく警告表示に隠れているが、背景の地図帳と見比べてください。SG社はこういう遊びもたのしい。

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by jinsenspipes | 2011-08-03 17:02 | サミュエル・ガーウィズ | Comments(10)