Jinsen's パイプ

カテゴリ:ガーウィズ・ホガース( 13 )

ガーウィズ・ホガース: ブラウンフレーク ( Brown Flake )

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 これまたおいしいたばこである。バージニアとバーレー、その持ち味を最高にひき出している。
 GH社にはブラウンフレークと名づけたたばこが何種類かあり、缶入りの「ブラウンフレーク#2」は前に紹介した。ここに書くのはバルク売りで、カタログには着香、無着香と2種類ある。ぼくが買ったのはunscented、無着香のほうだが缶を開けるとわずかにケンダル香が漂った。前の缶入りはかなり強かったがこちらはかすかに漂うだけ、吸いはじめると消えてしまう(ときどきフッとくることがあるのはご愛嬌だが)。しかしケンダル香が強い缶入りブラウンフレーク#2とバルク売りの着香ブラウンフレークはどう違うのか、それはわからない。
 CRフレークとおなじ長いフレークなので適当にちぎり、丸めてボウルに詰めた。火つきも火持ちもじつにいい、吸いやすいたばこである。ムムム。素晴らしいぶっとい味がきた。やわらかい穀物味のバージニアがバーレーのおかげなのだろう、太く、また一段とやわらかく、丸い味わいである。火持ちがよくおだやかに燃えるから心地よいクールスモーキングができる。ぶっとい、と書いたが、この濃い味わいは太いと書くより感じがでる。丸い味わいの外周にそれを強調したようなエッジをわずかに感覚するが、ここにはバージニアとバーレーのほかにもう一種、Dark-Firedのバージニア葉がわずかにくわわるようなのでそれではないかと思う。ほどよい甘みと酸味、そしてかすかな塩味が心地よい。
 CRフレークで紹介したが、それを絶賛する識者がこのブラウンフレークも賛美していたので買ってみた。Va/Burleyのたばこではいまのところこれがベストだろうとまで書いている。
 Va/Burleyのたばこはまた別世界である。GH社にはほかに「ボブズ・チョコレートフレーク」があり、SG社には類似の「チョコレートフレーク」と「ケンダルクリームフレーク」がある。両社のチョコレートフレークはこのブレンドにチョコレート味をのせ、さらにわずかのラタキア葉を加えたもので甘い、うっとりするようなたばこに仕立てている。
 もともとバーレー葉にはかすかなチョコレート風味が隠されているとされ、それをヒントにできたたばこなんだろうと思う。またラタキアとチョコレートの相性がよく、たしか別会社の類似商品もラタキアを隠し味にしていたようである。SG社の「ケンダルクリームフレーク」はGH社の「ブラウンフレーク#2」に似てケンダル香の強いVa/Burleyのみのたばこである。
 ところでいまSG社のBBF、ベストブラウンフレークが開いている。名前が似ているがこれはバージニア葉だけのたばこである。じつは前にCRフレークを紹介したとき、よくコメントをくださるくつしたさんがおなじバージニア物でラットレーのマーリンフレークと比べてどうですかと質問された。同時に吸ったことはないのであわてて注文し、ついでにSG社のBBFも比較対象に加えた。CRフレークをベタ褒めした責任上、ほかの銘品と比較してみたかった。
 マーリンフレークについてはコメントの返信にも書いた。今のコールハス版よりCRフレークがやや勝るように思う。BBFについては、じつは今日、昼にGH社のブラウンフレークをやり、夕食のあとBBFをやったばかりなのである。
 BBFはやはり段違いのバージニアたばこだった。CRフレークはおいしいバージニア味のたばこだが、BBFはその熟成の甘みがまるで果実酒のようである。バージニア葉をじっくり熟成料理してはじめて出る味である。おなじSG社のFVFはまた少し違い、甘みと酸味のバランスが抜群だしなによりおだやかな喫味がたとえようもない。CRフレークにはこの深奥はないようだ。ところがマーリンフレークのほうにBBFと似た感触があることがあるが、これはコールハス版がペリクとキャベンディッシュを加えているからだ。おそらくラットレーのオリジナルにはBBFとおなじ熟成味があったがSG社ほどの熟成技術がないコールハス社はその感じをだすためにペリクとキャペンディッシュを加えたのだと思う。このあたりは時代の流れでコールハス社の姿勢はむしろ実直といえるが、バージニア葉、その単体から、果実酒の甘みやおだやかな喫味をひき出しているSG社の熟成技術、その宝石であるBBF、FVF、まぎれもなく現存する世界一のたばことぼくは思っている。

 話が横道にそれたが、元に戻し、Va/Burleyのブラウンフレークだが、こちらはBBFに比べるとやや気楽なたばこである。SG社のバージニアたばこにあるあの陶然とする奥深さはなく、いわば陽気な、軽快なたばこといえる。しかしバージニア葉の極限を追求したたばこがある一方で、最初から最後までひたすら心地よい、クールスモーキングできるたばこがあってもいい道理である。
 吸っているときも、吸い終わったあとも、しあわせな気分になれるたばこである。

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by jinsenspipes | 2013-03-14 16:51 | ガーウィズ・ホガース | Comments(14)

ガーウィズ・ホガース: ブライトCRフレーク ( Bright CR Flake )

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 すばらしいたばこと出会えた。
 ネットのある識者がこれはGH社の傑作だとベタ褒めしている。紹介文を読むと、まじり気なしのバージニアフレークとあるので一も二もなく注文した。
 バルク売りなのでビニール袋に収まる。6インチ(15cm)の長いフレークである。これは6インチ四方の同社のケーキから切り出したものだろうと思う。ふつうのフレークはこの長辺を半分にして3インチで缶に収めている。
 かすかにおなじみのケンダル芳香が香るが、ごくわずかで心地よい。エナーデールなどと共通するこの香りは着香というよりも永年つかった機械にしみついた香りなのではないかとぼくは思うようになった。
 適量をちぎって丸め、ボウルに入れた。
 火をつけると、ああ、やわらかい、あたたかい、すばらしいバージニア味。ときおりお花のような、果実のようないい匂いがする。良質のバージニア特有の香りである。しかしこのバージニアにはおなじみの青臭さにまじり、ややエッジのある、ときとしてケンタッキー葉を思わせるクセのある香りがある。もちろん嫌な香りではない。むしろ心地よい。
 甘みと酸味がじつにナチュラルである。たまたまダンヒルのフレークも開いていたが、これと比べるとそちらは少々着香しているように思える。オーリックのフレークやマクバレンのバージニアNo1とおなじで、やはりこれもデンマーク製の着香たばこなんじゃないかと思うほどつまりこちらはナチュラルなのだ。さらにこちらはケーキにしてから長期間熟成しているようで味わいがしっとりなじんでいる。デンマーク物は、俗にかわき物といわれるようにややかさかさしている。手間ひまかけたイギリスたばこは添加物が何も無く、ただ時間をかけてたばこ葉がもつ味わいをしみ出させている。
 社の紹介文には「100%純粋なバージニア葉で無着香。ブラジル、ジンバブェ、マラウィ産のブライトバージニア葉です。当社のフレークはどれもブレスしたのちフレークにする前に充分な熟成期間をとり、葉の香りがベストの状態になるまで待ちます」とある。
 先に紹介した識者によると、この葉はふつうのアメリカ産とは異なるアフリカ産でバージニアで、GH社のさまざまなたばこのベースに使われているようだという。なるほどぼくがやや異質に感じたのはアフリカ産バージニアだからだ。一つ味を憶えた。
 さらに識者はこのバージニア葉はマクレーランド社ならバルクの#2010か缶入りの#22に相当するともいう。マクレーランド社はさまざまなバージニア葉を単体で発売するのでお勉強には最適である。ただぼくは同社のケチャップ臭がなんとも我慢できないので吸えない。残念である。マクレーランド社の当該商品の紹介文にも「ケーキの状態で充分熟成させ、自然な甘みをだしています」とあり、やはり熟成がおいしいたばこのキーになることを示している。とくにこの葉はブライトバージニアで、バージニア葉の先端部分を使い、なお熱風乾燥を弱めにしているので明るい色のはずだが、逆に暗い色をしているのは熟成のおかげに違いない。
 ところで名前についた「CR」、これについてどこにも説明が無い。ただ一つ、通販会社の紹介文に「CRはカロライナ(Carolina)産のバージニアを指す」とある。現在はノース・カロライナ州、サウス・カロライナ州にわかれるイギリスのもっとも古い植民地の地域である。もしそうなら、ぼくが感じた独特の風味はカロライナ産バージニアのもので、このたばこはもともとカロライナの葉を使っていたが現在は味が類似するアフリカ産になったとも考えられる。しかし通販会社の紹介文はあまり当てにならないから真偽のほどはわからない。
 のんびりこれを吹かしていると、つくづくパイプは贅沢な時間の浪費と思えてくる。パイプ喫煙は遥か昔、電話も車も飛行機もない時代、その悠長な時間感覚にこそふさわしい嗜好品と思えてくる。このせわしい世の中に1時間も2時間もかけて微かな煙の味わいをたのしむ。おまけに会社は完成した商品を2年も寝かせて出荷するというんだから地下鉄の線路に恐竜が寝そべってるようなもんじゃないか。
 しかし、ぼくは、あえて現代のせわしい時間感覚から脱落するのだ。2年も寝かせて金利はどうなるんだ、などと世俗の心配はせず、おいしいたばこをひたすら作りつづける弱小企業の絶え入りそうな商品を探しあて、世の中のみなさんがせっせと働く勇姿をしりめに、のんびり1時間、2時間、怠惰な時間を過ごすのである。

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by jinsenspipes | 2013-02-03 16:32 | ガーウィズ・ホガース | Comments(23)

ガーウィズ・ホガース: アメリカンデライト ( Gawith Hoggarth: American Delight )

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 ガーウィズ・ホガースのカタログに「アメリカン」と名づけたたばこが数種類ある。「アメリカンバニラ」「アメリカンウィスキー」などあっていずれも同社ご自慢のブラックキャベンディッシュに香りづけしたものである。そのシリーズの「アメリカンデライト」の説明に気になる箇所があった。
「このたばこはレイン社の『1-Q』のガーウィズ・ホガース版です。ケーシングとトップドレスに丸く、甘い香りを漂わせた着香ミクスチャーであります」
 エッ!?
 レイン社の「1-Q」は前に書いた。これは同社の看板たばこ、キャプテンブラック(青)のバルク版で、アメリカでもっともポピュラーなパイプたばこである。それのそっくりさんですなんてことを売り文句に書いていいものですかネ。ウィスキー会社が「我が社の『イングリッシュジョイ』は『ジョニーウォーカー黒ラベル』の我が社版です」など書こうものなら本家が青筋たてて怒鳴り込んでくるんじゃないかしら。
 で、とりあえず買ってみた。日本では2ozの缶入りが流通しているが、1-Qがお気に入りというわけでもなく、ほんとにそっくりなの? という好奇心からなので1ozだけバルク買いしてみた。
 いや、まったくそのものでした。バニラと焦がし砂糖風味、ちょっとフルーティな酸味、目隠しテストしたらまずわからない。たまたま前の1-Qがのこっていたので比べてみると、1-QはとにかくPG臭がきつい。こちらはそれがないだけである。ただこちらにもわずかなPGは加えられているらしく、強く吸い込むとPG臭がくることがある。それと本家はさすがに着香の香りが強く、GH版はややマイルドであっさりしている。
 しかし、このそっくりさん、GH社はどういうつもりで作ったのだろうか? イギリス人独特のユーモア精神の作だとすれば、アハハで笑ってすませる。このていどのたばこなら、ホレ、作ってやるというつもりだと、なにやら侮蔑の悪感情がうかがえる。アメリカ人はこれが好きなんでしょ。じゃんじゃんお買いなさいというなら商魂たくましすぎる。第一、アメリカ人なら本家の1-Qを買うだろうからいったいこれはどの国の購買層を狙ったものかまるでわからない。
 パイプたばこの世界にはぼくには不可解な謎がたくさんあるようだ。
 Altadis社のMatchシリーズにはDunhill 965 Matchなどとそっくりさんがたくさん販売されている。それを評したレビューを読むと、往年の本物そっくりとか、ちょっと違うけど旨いたばこだとか、書かれているが、現行商品としてあるオーリック社製Dunhill 965と比べてどうなのかという点には触れてない。パテントとか商標権とか、どうなってるんだろうか?
 とまァ、ここのところそんなことをあれこれ、推理してみたり、ネットの記事を漁ってみたり、してるんですがね。

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by jinsenspipes | 2012-06-28 11:27 | ガーウィズ・ホガース | Comments(4)

ガーウィズ・ホガース: トップブラックチェリー ( Gawith Hoggarth: Top Black Cherry )

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 チェリー味というのに惹かれて買ってみた。ぼくはまだチェリー味のたばこをやったことがない。
 缶をあけると、透明セロファン(ビニールだろうが)に包まれていた。強い果実の香り+おなじみのケンダル芳香で、甘いお香といった匂い。葉は真っ黒なブラックキャベンディッシュでかなり湿り気がある。
 アメリカ人ならたちまち乾燥させて吸うところだろうがぼくはこの湿り気が味わいに関係してると思う。水分が多いだけにチェリー味と甘みに潤いがあり、熟した果実のような味わいがある。ただ火つきは悪く、マッチ1本ですむ最初の着火に4本も使ってしまった。しかし炭化着火がうまくいけば火持ちはよく、フレークたばこを吸っているようにゆっくり着実に燃える。
 チエリー+ケンダル芳香のお香のような匂いはどこかしらクラシカルな、西洋の古城を訪ねて暗い城内を歩くような神秘の気分をかもしだす。ケンダル芳香はSGのグラウスムーアだとあかるい野原を連想させるが、ここでは重厚な室内の気分を演出している。しかしそれはキャベンディッシュの味に裏うちされているせいもある。
 中盤になると、鼻が香りに慣れてくるせいもあってお香の匂いはうすれ、かわりにキャベンディッシュの甘みと酸味、またその味わいがしっかり立ち上がってきた。アンフォーラやソレントミクスチャーなどDatch & Daneのキャベンディッシュは軽さと混合の妙に感心させられ、それに比べるとイギリスのキャベンディッシュは無骨そのもの、と前に書いたが、やはりイギリス物には深みと手応えがある。節操ないようだが、こちらがいいなぁと思えてくる。
 しかしパイプたばこの味わいの奥深さにはいつも何がしかの感動がある。本来ぼくはバージニア葉の青臭さと甘みが好きでSGやラットレーが好みの筆頭、とくにフレーク物には目がない。キャベンディッシュにはやや偏見があり、素材の味を殺してるんじゃないかと思いこんでいた。キャベンディッシュはいわば煮こみ料理で、新鮮な魚の刺身をやるバージニアフレークの切れ味はないが、煮こんだときだけにでてくる独特の旨味、そこに適切なスパイスをくわえて生まれる別世界の風味、それがある。
 ところでこのトップブラックチェリーというたばこ、アメリカのショップにはあるがUKのショップのリストには載ってなかった。似たような名称に「Kendal Exclusiv Black Cherry」というのがあり、その説明に気になる箇所がある。
「これはドイツ製の魅力あるブレンドで豊かなブラックキャベンディッシュに野生のブラックチェリーの香りを移し、2回熟成した結果際立った甘さとマイルドからミディアムの強さのたばこになりました」
 ブレンド名の「Exclusiv」はドイツのたばこの老舗、ポッシェル社が販売するシリーズ名である。すると、GH社がドイツから輸入した商品なのか、それとも逆にポッシェル社の依頼でGH社が下請け製造した商品なのか。念のためポッシェル社のExclusivシリーズを調べて見ると「Black Cherry」というブレンドがあり、喫味はかなり近いようである。
 イギリスの会社とくにGH社は国内流通品と輸出品を区別していて、こういう例はいくつもある。アメリカのショップのこの銘柄の説明には「ドイツ製」とは書いてないがあとの記述は一緒である。なんとも不思議だが、どうなっているのか。どなたか事情をご存知のかたいらっしゃったら教えてください。
 つけ加えると、GH社のリストにはこの2回熟成のブラックキャベンディッシュを使ったブレンドがいくつもあり、チョコレート、チェリー、バニラ、カラメル、ピーチ、ウィスキーなどのフレイバーを移している。どうやらご自慢のキャベンディッシュではあるようなのだが……。

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by jinsenspipes | 2012-05-19 22:30 | ガーウィズ・ホガース | Comments(12)

ガーウィズ・ホガース: ベストブラウンNo2 ( Gawith Hoggarth: Best Brown No2 )

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 GH社はバーレーの使い方がうまいと評判だがバージニアとバーレーをブレンドした銘品にブラウンフレークがある。これは無着香と着香、2種あるがあいにく通販会社で欠品していた。このベストブラウンNo2は着香ブラウンフレークと葉組がおなじ別ブレンドである。どこが違うのか、わざわざNo2と名づけたのは何故か、まったくわからないがとにかく試してみた。
 缶をあけるとおなじみのイギリス香が漂う。フレークといってもダンヒルのような精密裁断ではない。ナタで削ったようなわらわらの板でぼくはこのほうが親しみがもてる。2枚とり、くるくると丸めてボウルに詰める。フレークは詰めるのも吸うのも手軽で楽だ。
 火をつけると、イギリス香はごくわずか、バージニアの甘みと酸味にバーレーのつるんとした乾いた味が同時にきた。じつはこのところフリボーグ&トレイヤーのバージニア葉を毎朝やり、ちょっと舌にひりつく感触になれていたが、こちらはバーレーのおかげでそれがまったくない。いわば達磨さんのようにお尻が丸まってる感じ。バージニア葉は糖分が多いので多かれ少なかれ舌にひりつく感触tongue biteがあり、なかにはこれを嫌う人もいる。ベストブラウンNo2はバージニア葉の特徴はきちんと香らせながらその点だけは回避している。なるほどこのあたりが評判の原点なんだろうか。ある識者は、GH社はバーレーがみごとな低音を奏していると書いているが、それもこのあたりからくるのだろうと頷けた。
 バーレーファンのかたはもちろんだがマイルドなバージニア物が好きというかたにも適したたばこと思う。
 ところで「イギリス香」という語を使ったが、これはEnglish flavourとかEnglish scentと呼ばれる語のぼくの勝手な訳語である。ぼくのブログではこれまで「ケンダル芳香」という言葉を使ったきた。これはアメリカ人がこの香りをKendal scentと呼んでいてその訳語だった。つまりGH社やSG社、いわゆるケンダル地方のたばこ特有の香りということである。
 しかし、この香りはケンダルたばこだけではない。ぼくの体験ではイギリスのベストセラー・パイプたばこのコンドルやセントブルーノにもこの香りはあるし、マレー社のエリンモアにもある。そしてイギリスやヨーロッパではこの香りをEnglish flavourと呼んでいるのにアメリカ人だけが何故かKendal scentと呼んでいるのだ。
 GH社のエナーデールはこの香りがもっとも強烈だが、そこにはアーモンドとバニラを混入し、ふつうのイギリス香たばことやや一線を画してしいる。このあたりになるとケンダル芳香といってもいいかもしれないがベストブラウンNo2くらいおとなしいのはやはりイギリス香といったほうが適切と思える。
 というわけで今後は「イギリス香」という語を使います。English flavourもしくはEnglish scentのことと思ってください。
 このたばこは忘れたころにイギリス香がほんのり漂い、品のいい、甘い、マイルドな、しかししっかりバージニア味がするたばこです。

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by jinsenspipes | 2011-12-22 17:07 | ガーウィズ・ホガース | Comments(4)

ガーウィズ・ホガース:  ボブズチョコレートフレーク ( Bob's Chocolate Flake )

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 ガーウィズ・ホガース社のたばこでも1、2を競う銘品である。ぼくは初体験でした。
 缶をあけると、ああ、おなじみのケンダル芳香。アメリカ人は石鹸臭いといい、ぼくは前におばぁちゃんの箪笥をあけたときの臭いと書いたあれ、エナーデールに共通する。
 ブロークン・フレークで、板ではなくわらわらにほぐしてあるので詰めやすい。
 火をつけると、やはりケンダル芳香は強いが底にチョコレートの甘みがのる。バージニアの香りはおとなしく、丸みがあるのはバーレーを含むせいだろうか。やや塩味がある。博識なG.L.ピースは塩を含まないたばこはないがふつうほとんど感覚できないと書いている。ぼくもたまにしか感じないがこのたばこでははっきり味がした。
 しばらくやってて気づいたがじつにクールスモーキングできる。バージニア葉は熱くなりがちだがこのたばこはほんとにクールで強めに吸っても熱くならない。それと、何か、バージニアとバーレーだけにしては複雑な味がある……。
 念のため葉組の解説を読んでびっくりした。バージニア82%、バーレー10%、なんと、ラタキア8%!
 うーん。ラタキアはまったく香らなかった。あの独特の燻製臭がないのでぼくは感覚できなかった。
 そこで2服めはじっくり味わってみると、やはりラタキアははっきり顕在化してこないが、バージニア+バーレー+ラタキアが非常にユニークな宇宙を形成しているらしいとわかった。この異様なまでのクールネスはそのおかげなのだ。
 じつに奥が深い。深い森をみるように鎮まりかえった景色にチョコレートのねっとりした甘みがのる。火が収まった中盤から終盤にかけてその感じが一層深まり、さらにバージニアの青臭さ、バーレーの丸い味もくっきり、そして、あ、たしかにラタキアだと感覚できる瞬間がときどきあった。
 あるイギリスの識者はケンダルたばこの2社のうちサミュエル・ガーウィズはバージニア葉に利点があるがGH社はバーレー葉の使い方がうまく、音楽でいえば低音が利いていると書いている。ぼくはそこまでは感覚できないのでまだまだガキだなと反省するがラタキアのこういう使い方があることも初めて知った。はっきりラタキアとわからせない。しかし大半を占めるバージニア葉の弱点を撓め、さらに腰を強め、ユニークな味わいをだす。すばらしいブレンド技術であるし、これぞイギリス伝統のわざといいたい。
 海外のレビューを読むと、それもアメリカ人が多いがおおかた絶賛である。これは推測だがこのたばこはアメリカ市場を意識して発売したのではないかと思う。まず命名がそれらしい。さらにバージニア葉特有の舌焼けがまったくない。ここに舌焼けと書いたのはtongue biteの厳密な意味で、糖分の多いバージニア葉にありがちな舌のチリチリ感のこと。過燃焼による舌のやけど(tongue burn)とは違う。アメリカ人は舌焼けが嫌いらしく、そもそもバーレー葉は糖分が無いおかげで舌焼けしない、まったくアメリカ人好みで開発された品種だった。8割かたバージニアなのに舌のチリチリ感がないこのたばこは奇蹟のブレンド技術の賜物で、これならアメリカ人にも受け入れられるはずだと考えたのではないか。素人の推測ですがネ。
 3服め。このたばこの吸い方になれてきた。バージニア+バーレー+ラタキアのユニークな味わい、手に持つボウルの暖かさよりさらに冷やっこいとさえ感じるクールさ、そこに塩味とチョコレートの甘みがアクセントをつける。すばらしいたばこである。

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by jinsenspipes | 2011-09-02 18:29 | ガーウィズ・ホガース | Comments(10)

ガーウィズ・ホガース:  バルカンミクスチャー( Balkan Mixture)

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 社の説明によると、葉組はバージニア、ラタキア、オリエント、トルコ葉とある。トルコ葉はいまはオリエント葉とほぼ同意語に使われるがダンヒルやラットレーの古いカタログではとくにトルコ葉と指定されることがあるのでなにやら期待感がたかまる。ただし社の説明によるこのたばこについては「真の古典的スタイルのパルカンタイプブレンド。ラタキアと特選バージニア、そしてオリエントのミックス」とあるのみである。
 缶をあけると、GH社おなじみ、ビニールに包まれたたばこ葉は細かくやや湿り気がある。火をつけると、おっ! やわらかい甘みとかなりの酸味をともなうまるい味がきた。これはバージニアとは違う。ラタキアの香りは初めからあるが、ごく軽めで背景にかくれる。前面にくるこのまるい味、これがオリエント+トルコ葉なのだろうか。
 海外のレビューでオリジナルのバルカンソブラニーについて書いたある記事が印象にのこっている。そのレビュワーはバルカンソブラニーの葉組にあるたばこ葉のあらゆる組み合わせを吸ったがついに元の味には出会わなかった。で、結論として、こう書いている。
「バルカンソブラニーの秘密は、Yenidje葉とラタキア葉を調合した際の絶妙な相互作用、そこからのみこの味が出てくるといわざるを得ない」
 Yenidje葉にもない、ラタキア葉にもない味がこの二つを調合することによって出てくる、というのだ。
 ぼくはオリエント、トルコ、ラタキアを区別できるほどの感覚を持ちあわせないが、ふつうのラタキアブレンドはバージニア葉とラタキア葉がそれぞれを主張しつつ混じりあっているのはわかる。しかしGH社のバルカンミクスチャーのボディはバージニアともラタキアとも違うsomethingであり、もしこの評者の仮説が正しければ、まさしくオリエント+トルコ+ラタキアの相互作用が作りだした極上の味、といえるだろう。
 では、バージニアは? というと、気をつけるとときどきヘイタイプバージニアのやや青臭い味はちゃんとのこっている。これが終盤近くになるとやや濃くなり、つまりバージニアが前面に出てくる。しかし喫煙の全体に支配的なのは、その、やわらかい甘みとかなりの酸味に包まれた、ふしぎな丸い味なのだ。
 これがじつに複雑な味を含み、ときにクリーミー、ときにフローラル、一瞬、ミントのような清涼な香りがよぎるかと思うと、つぎにカカオ味がしたり千変万化する。まったくふしぎな味だ。これに比べると含みの多いバージニア葉もしょせんはヘイタイプのあの青臭さか、ストーブドタイプのミルク味+動物性の脂肪味、なんと単調なことかと思われたりする。
 ある好事家が書いたネットの記事にこういう描写があった。
「19世紀末、イギリス紳士のたばこの好みに変化があらわれた。オリエンタルミクスチャー、すなわちバージニア葉にトルコ、マケドニア、ギリシャ、シリアなどの葉を混ぜたものがたちまち上流社会に流行した。芳醇かつ煙量ゆたか、さらに中東のエキゾチックな芳香に満ちたこの新種はやがてバルカンソブラニーという傑作に集約され、ロンドンのたばこ街、セントジェームス地区のクラブに集まる将校や外交官たちの好むものとなった」
 たしかにダンヒルの965などはおなじ路線をねらったものだったろうし、ぼくの記憶にあるマレー社製965(1970年代のものでダンヒル社が秘蔵し熟成していたシリア産ラタキアのさいごの葉を使ったもの)はこの記事の通りのものだった。しかし965はあきらかにラタキア色が濃いがバルカンソブラニーは独自の調合で別種の、しかも同社にしかできない味を創造したと思われる。
 前に紹介した「Yenidjeとラタキア葉の絶妙な相互作用」と書いたレビュワーは現行たばこではこのGH社のバルカンミクスチャーがもっとも出来がよいとしている。また同意見の他のレビュワーのなかには、いいがややマイルドすぎると評する人もいる。ということはソブラニーはさらに複雑かつ大胆、微妙な味わいがあったということになるだろうか。
 しかし、ぼくとしては大満足。いいたばこに出会えたとうれしがっている。

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by jinsenspipes | 2011-07-11 16:51 | ガーウィズ・ホガース | Comments(9)

ガーウィズ・ホガース:  カーリーカット ( Curly Cut )

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 YouTubeにマクバレン社の工場見学の動画があり、カーリーカットたばこの製造過程が見られる。
 カーリーカットはスリーナンズやエスクードなどコイン状のたばこだがその動画を見ると作るのは簡単。まずタバコ葉をプレスして長方形の薄い板を作る。日曜大工売り場にいくとコルクの薄い板を売ってるがちょうどあれみたいだ。それをくるくると丸めてのり巻き寿司のようにするがこれは専用の機械がやる。つぎに輪切りにするがこれも専用の機械がある。
 ぼくの知るかぎりでは昔はこうではなかった。カーリーカットはロープたばこから作ったはずである。ロープたばこはもっとも古いたばこ保存方法で船乗りが帆船のロープ作りに倣い、たばこ葉を撚ってロープ状にした。たばこ産業が成立したのちもこのやり方は踏襲され、現在でもtwist、pigtail、ropeなどの名称でわずかながら生産されている。ロープたばこは喫煙者が必要量をナイフで切り、パイプたばこや噛みたばこにしたがやがてロープを輪切りにしカーリーカットとしても売り出された。
 ガーウィズ・ホガース社のカタログにはこのロープたばこが各種掲載され、そのうち3種はすでに紹介した。ところがカタログにはカーリーカットも載っていて「Kendal curly cut sliced roll pipe tobacco」とあるのでどんなものか注文してみた。商品名にしてもその解説を読んでもまぎれもなくロープたばこの輪切りである。
 かなり崩れてわらわらになっているがわずかにコイン状の輪切りも見える。直径1cmほど。解説によるとふつうのロープたばこはラッパーとフィラーで葉が違うがこちらはラッパーに使うブライトバージニアだけを撚り、ためにマイルドになっているとある。
 火をつけてみると、ウム、甘みと酸味があり、充分熟成したいわゆる熟成臭もある。ハテ。この味はどこかで体験したゾ、と記憶をたぐってみると、スリーナンズだった!
 どういうことなんだ? スリーナンズはバージニアとペリクの銘品だがぼくはいまのオーリック社製には不満があり、ペリクをやりたくなるとほかのたばこを選んでいる。ガーウィズ・ホガースのカーリーカットはペリクを含まず、バージニアのみだが喫味がじつに似ている。ただし甘みと熟成臭はそっくりだがペリクがないので酸味とコクに欠ける。
 ネットで調べてみてびっくり。海外のたばこレビューを読むとこのたばこの評者が口をそろえて「ペリク抜きのスリーナンズである」と書いている。さらに驚いたのはTobacco Blending.comというパイプたぱこのブレンドを書いたサイトではこれをスリーナンズの代用として紹介していた。
 Three suns ( substitute for the old Three Nuns )
 4oz Gawith Hoggarth Curly Cut
 5% Long Cut Perique
 Let ingredients marry for at least two weeks.
 とある(ブレンド名のスリーサンズというのが笑えるネ)。
 そうだったのか! ぼくがいまのオーリック社製スリーナンズに不満なのはロープたばこを輪切りにするのでなく、板を丸めて作る製造法に問題があるらしいのだ。じつはオーリック社のカーリーカット製造法は確認してない。ただドイツのコールハス社の製造法は同社のサイトに写真があり、やはり板にプレスした物を手巻きで巻いているとあり、ロープたばこからではない。たぶんオーリック社も大同小異ではないかと想像される。
 海外のパイプ喫煙者の味覚の鋭さにも驚いたし、これにペリクを加えてスリーナンズの代用とするという執着心の強さにも驚いた。
 ぼくが体験した昔のスリーナンズ(およそ1970年代頃)はちょうどこのカーリーカットのようで1cmほどのコイン状、しかも半分くらいは溶けかかったというか形を失っていた。かなりじくじく湿気があり、強い熟成臭が鼻についた(その臭いはダンヒルの965に似ていたようにも思う)。かなり長期間、じっくり熱と圧力を加えて熟成させた結果である。しかも手間ひまかけてロープに撚りあげてから輪切りにした。いまのオーリック社製は熟成期間も短く、しかも板を丸めて輪切りにしている。出来上がった商品の形状はおなじだが似て非なるものである。
 考えさせられるものがある。いまの世界的嫌煙風潮のもとで、しかも需要は微小なパイプたぱこで手間のかかる昔の製造法をつづけろというほうが無茶だろうし会社は機械化、能率アップを考えるしかないだろう。またハイプ喫煙者のすべてがいまのスリーナンズに不満というわけでもないように思う。と考えると、やはりこれは老人の愚痴ということになるんだろうな。
 またしても。
 しかしそれと別に頭がさがるのはガーウィズ・ホガース社である。どうかいつまでも古式の、手間のかかる、儲からないパイプたばこを作りつづけてください。

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by jinsenspipes | 2011-05-26 23:41 | ガーウィズ・ホガース | Comments(26)

ガーウィズ・ホガース:  ルイジアナペリクフレーク ( Louisiana Perique Flake )

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 海外通販会社のカタログで見つけて試し買いしてみた。バルク買いで1オンスから買えるし、ビニール袋だから缶と違って送料も安い。貧乏人にはありがたい。とりあえず1オンス(約25g)。紙巻きたばこ1箱よりちょい高いていど。
 サミュエル・ガーウィズはアメリカ市場は全滅状態。日本でもかなり品薄になってきたが兄弟会社のガーウィズ・ホガースはあいかわらず品揃えがいい。じつはこれ、ペリクの単体だと思い、目にとまったのは縁だから試してみようと買ったのだが、違った!
 ご覧のように長いフレークでややブロークンである。マーリンフレークもこれだがダンヒルのように整然としてないほうがじつは詰めやすい。適当に分量だけちぎり、くるくると丸めてボウルに詰めればいい。
 火をつけると、ムムム、これは旨い。凄く味のいいVaPerだった。葉組はバージニアとペリクのみとされるがぼくはごく少量のバーレーを含むと思う。ケンダルたばこ独特の軽さと甘さに包まれ、しかしバージニアの味とペリクの甘酸っぱさがしっかりくる。
 Vaperではぼくはジャーマインのペリクミクスチャーとサミュエル・ガーウィズのセントジェームスフレークが一番好きだ。どちらもやや退廃の、舌に媚びる甘酸っぱさがあり、ぼくはそれがVaperの神髄と思いこんでいる。しかしこちらはもっと軽く、もっと明るい。あちらがセントルイスの夜のイメージならこちらは昼のイメージ。「朝日のあたる家」という娼婦の歌があるが南国のまばゆい陽光をあびた娼家というアンパランスなイメージがある。
 いや、それはいいすぎかな。やはりこのたばこはイギリスの湖水地方、ピーターうさぎが飛びまわる牧歌調のイメージにアクセントとしてペリクの退廃をちりばめた。そのほうが当たっているかもしれない。
 しかしいいたばこと出会えた。アメリカの通販会社のカタログだとガーウィズ・ホガース社のバルクたばこは45種ものっている。イギリスの通販会社はもっと多く、50種以上、しかもアメリカでは買えない名作エナーデールのバルクまである。どちらも1オンスからの秤売りだから送料も割安。しばらくカタログに目を凝らせて何種かまとめ買いしてみるといい勉強になりそうだ。
 追記
 不思議なことがあってルイジアナペリクフレークはイギリスの通販会社だとルイジアナフレークになっている。違うたばこかと思ったが類似のものはほかに無く、どうやら名前が違うらしい。アメリカ向けだけ名前を変えてるんだろうか。

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by jinsenspipes | 2011-05-19 22:20 | ガーウィズ・ホガース | Comments(12)

ガーウィズ・ホガース:  ロープたばこ3種

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 ロープたばこはパイプたばこの歴史でもっとも古い形態である。
 コロンブスがアメリカ大陸に達してたばこをヨーロッパに紹介したが、真っ先にこれを好んだのは船乗りだった。ラム酒に劣らず強い酩酊感のあるたばこは荒くれ船乗りのまたとない慰安になる。しかし長い船旅でもたばこ葉を乾燥させず、香りを逃さないためには工夫が必要だった。まず考案されたのがお手のもののロープに撚りあげる方法である。
 船乗り達はたばこ葉にたっぷり海水、ラム酒、甘味剤を染ませてロープに撚りあげた。やがて喫煙がヨーロッパ人の嗜好品となり、産業に発展したとき、このロープたばこはパイプ喫煙の標準形態となるのだ。
 1792年、現存する最古参のたばこ会社、サミュエル・ガーウィズ社の創立時、メイン商品はこのロープたばこで、おそらく当時は無数のロープたばこ製造会社があったことだろう。ロープたばこは商品名として、twist、pigtail、bogieなどと呼ばれるが、SG社とその兄弟会社ガーウィズ・ホガース社のカタログにはいまでもこの名が読める。SG社の創立から200年、その前のコロンブス時代からすると500年の歴史のあるたばこがいまでも吸えるのだから驚きだ。
 ぼくの関心もまったくそこにあった。たまたまこのブログにコメントを寄せてくださるmifuneさんにイギリスの通販会社をご紹介いただいたのでさっそく注文することにした。カタログを見るとガーウィズ・ホガース社のほうが商品が充実し15種のロープたばこがある。そのうち3種を選び、バルク(秤売り)販売なので、一番少量の25gずつを注文した。

 Kendal Brown Bogie(通称Happy Bogie)ブラウン・ボギー(写真の一番下)
 Kendal Black Bogie ブラック・ボギー(真ん中)
 Kendal Black XXX ブラックXXX(一番上の太いの)

 掲載した写真の量がそれぞれ25gである。ただしブラウンとブラックは秤量が少なかったのかおまけの小片が2、3入っていた。
 おわかりと思うがロープたばこは葉巻とよく似ている。外側を薄いラッパーでくるみなかにフィラーが巻いてある。じつはたばこの歴史上、この船乗りのロープたばこはのちにパイプ用、噛みタバコ用、葉巻と、わかれて発展する。これがすべてのたばこの元祖なのだ。
 さっそく吸ってみた。
 まずブラウン・ボギー。カタログの解説にはナイフで薄切りのコイン状に切り、ボウルに重ねればいいとある。ロープの径はおよそ1cmで、試しに厚さ1cmだけ切り出し、40年愛用のスタンウェルに詰めてみた。スタンウェルのボウル径は18mmなのでスカスカかと心配したが、切り出すとき薄いラッパーはばらばらになり、なかのフィラーもぐずぐず、入れてみるとちょうどいいぐあいである。1cm厚を3個切り出して詰めるとボウルトップまでいっぱいに収まった。
 着火にやや手間どるが、火がつくとあとはおだやかに燃えつづける。
 うっ。強いッ! 超ストロング! たちまちニコチンがからだを駆けめぐり、お目めパッチリ、すばらしい酩酊感である。なるほど荒くれ船乗りにはこれでなくてはいけないのネ。
 バージニア葉オンリーのはずだが日頃のあの青臭さや酸味、甘みはごくわずかでもっぱら強烈な「たばこを吸ってます」という感覚がきた。ウン十年前に初めてたばこを吸ったときの衝撃がもどってきた。日頃やってるダンヒルやラットレーなんぞこれと比べるとお菓子を食べてますという感じ。香りがどうの、酸味がどうのという前に「たばこ」の感触がある。
 3種は3日にわたって吸いくらべた(1日に3服はとても無理)。
 もっとも原始的なのはブラウンで一番強烈、ブラックはやや加熱加工してあるようで香りがあり、幾分マイルド(といってもかなりな強さだが)ブラックXXXも同様だがこちらは径が2cmほどでヨーロッパの標準パイプ径の1インチ(25mm)にはちょうど収まりがいいのだろう。
 海外のレビューを読むと、ロープたばこは葉巻と喫味が似ていると書く人がいる。また切り出しにはシガー・カッターがいいらしい。ぼくは葉巻はやらないのでこのあたり不明だが、紙巻きに似てるという感じはあった。つまりニコチン依存者にとっては味わうより何よりまずニコチンの酩酊感がこなくてはいけない。利くゥ、という感じがなければ吸った気にならない。昔の船乗りにとっては何よりこれが大事だったのだと思う。ぼく自身、外出時は紙巻きを吸っているが、第一の目的はニコチン補給である。
 しかし現代のパイプ愛好者は味や香りをたのしむほうに向いている。そうなるとロープたばこの需要は減少するばかりかとも思われる。
 このたばこはぼくの常喫銘柄にはならないと思うが、パイプたばこの原点を知る、いい勉強になった。

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by jinsenspipes | 2011-03-07 21:38 | ガーウィズ・ホガース | Comments(10)