Jinsen's パイプ

カテゴリ:ジャーマイン( 5 )

ジャーマイン: キングチャールズ ( King Charles )

a0150949_1619829.jpg
 またまた素晴らしいたばことの出会いである。
 ここのところぼくは本物のイングリッシュ・ミクスチャー探しに熱中している。つまり添加物いっさい無し。バージニア、オリエント、ラタキアのみのシンプルな葉組(ラタキアは無いばあいもあるが)。その配合ぐあいと、入念な熟成だけでたばこ葉の味わいを最大限ひき出しているミクスチャーである。まさにキングチャールズがそれだった。
 缶をあけると、パラフィン紙に包まれている。つまむと指に吸いつくくらいの湿り気。とくに強い香りは無く、ラタキアの匂いも薄い。ほとんどシャグといえる細かい刻み。昔のクレイパイプに最適だったろうと想像する。
 火をつけると、ウッ、これだ! すばらしい旨味がきた。全体に丸く、おとなしい。バージニアの旨味とオリエントのスパイシーな味が溶け合い、ラタキアがかすかに香る。いや、じつをいうと、どれがどれと主張するわけではない。全体に渾然一体となって溶け合い、その総合体が、じつにおいしい。これこそイングリッシュ・ミクスチャーの真骨頂である。
 イワン・リース社のサイトにいい紹介文があり、的を衝いていた。
「このたばこは軽快なタッチのラタキアと良質なバージニア、その入念なバランスが生んだ完璧なイングリッシュ・ミクスチャーです。このたばこを軽いとかマイルドだと評価するのは間違いです。吸ってみれば一目瞭然、イギリスタイプのラタキアを愛好する気むづかしい喫煙者も満足できる豊かさ、複雑さをもっています」
 その通りである。引き合いにだして悪いが、オーリック製ダンヒルのあのつんつんしたラタキアとはまったく対照的である。
 しかし、ここに一つ、時代の流れがある。GH社のCRフレークのところで、その無着香のストレート・バージニア味と比べるとデンマーク製ダンヒルやバージニアNo1は着香たばこだと書いた。ぼくの正直な感想なのだが、しかしじつはぼく自身そちらのたばこを旨いと感じるときがあるのだ。甘みや香りを着香剤で強調した、本来なら不自然なたばこがときとして旨いと思われることもある。そしてこちらはマイルドで少し物足りないと感じてしまうこともある。
 イワン・リース社の紹介文の通り、こちらがイングリッシュ・ミクスチャーの本来の旨味だが、こってり加工したたばこのほうがおいしいと感じてしまう感性も現代人はもち合わせているようだ。いまのダンヒルからスタートした若い喫煙者はとくにそうだろう。たとえばダンヒルフレークは着火後の一服になかなかのバージニア味があり、旨いと思ってしまうがその後の発展がない。いっぽうこのキングチャールズは初めマイルドで物足りない気がするが、吸ってるうちにどんどん深みがでてくる。バージニアをちょっと意気がらせ、軽くハシャがせているオリエントの存在。ほんのときおり、フッとどこからか漂ってくるラタキアの風、天上の音楽にうっとりする気分である。
 年寄りのぼくとしてはおとなしいたたずまいながら一度深入りすると魅力がつきないイングリッシュ・ミクスチャーこそ生涯の友としたいところである。
 ところでチャールズ王というこの商品名、どこからきたのか、気になるので調べてみた。この肖像画はチャールズ2世だが、父親の1世の治世は清教徒革命で国は内乱状態、そのあいだ2世は各地に亡命。ジャーマイン社があるジャージー島にも滞在した。そして先王が首をチョン切られ、2世が王位継承を宣言したのがこの島だったとのこと。ゆかりの地なのである。
 そうそう。ニコール・キッドマンの「アザーズ」の舞台がこの島である。2次大戦中、キッドマンと二人の子供がジャージー島の宏大な屋敷にひっそり住み、出征した夫の帰還を待ちわびている。そこに夜な夜な亡霊が出現するが、じつはキッドマン母子のほうがすでにこの世の人ではなく亡霊だったという不思議な物語。ときどきこのDVDが見たくなるとジャーマインのたばこに手がのびるがこれからはキングチャールズをやり、17世紀のイギリスにも思いを馳せることにしたい。

[PR]
by jinsenspipes | 2013-02-18 16:23 | ジャーマイン | Comments(14)

ジャーマイン: プラムケーキミクスチャー ( J.F.Germain & Son: Plum Cake Mixture )

a0150949_1725476.jpg
 これまたユニークなたばこである。
 イギリスの老舗3会社、サミュエル・ガーウィズ、ガーウィズ・ホガース、ジャーマインのうちこのジャーマイン社はやや特殊な位置にある。所在地は英仏海峡のフランスのごく近く、ジャージー島で、この島はイギリス(UK)には所属せず、イギリス王室属領という特殊な地位で、外交など対外的にはイギリスだがイギリスの法律は適用されない。ほとんど独立国とおなじで独自の政府、独自の法律をもつ。ジャーマイン社の創業は1820年、自社のたばこ製造のほかに委託製造も引き受け、ビュテラのエソテリカ、最近はバルカンソブラニーの復刻版が評判になった(もっともこれは1978年からジャーマインが製造してるそっくりさんのラベルを変えただけというのが真相のようだが)。
 このたばこは前から気になっていた。プラムは日本人の感覚だと梅になる。厳密にいうと日本の梅は特別の品種で、英語でも「ume」とされるらしい。またプラムケーキはイギリスでは干しぶどう入りのケーキでこのあたり梅とはだいぶかけはなれてくるがぼくは梅で通すことにした。マ、嗜好品の世界だから思いこみも許されるよネ。パッケージデザインもユニークでイギリスたばことしては異彩を放っている。
 期待して缶をあけると、ああ、やはり梅を連想させる酸っぱい香り+なんともいえない奥ゆかしい、上品な香りがある。いわゆるイギリス香とも違う、なんというか、日本の昔の旧家のふすまあたりに漂っているような香りである(変なたとえだけど)。
 葉は、バージニアの黄色葉と、灰褐色のバーレー、ところどころに黒いものがまじり、キャベンディッシュかと思ったがじつは違うらしい。極細のシャグでやや湿り気がありびっしり収まっていた。
 火をつけると、バージニアの青臭さに梅の酸味、わずかの甘み、すばらしい。火つきもいいが火持ちがじつによくてまず再着火せずにさいごまでいける。しかもじつにクールだ。たまたまラットレーのマーリンフレークが空いているがそちらはバージニアたばこらしく気を許すと熱くなりがちだ。ゆっくり吸うと宏大なバージニア世界が広がるがちょっと火種を大きくすると焦げ臭くなることがある。しかしこちらは冷ややかといいたいくらいクール。
 類似の体験はSG社のチョコレート、GH社のボブズチョコレートにあった。そちらはラタキアを加えてクールスモーキングを実現していたがこちらはどうなんだろう。チョコレートたばこの甘い味と、プラムケーキのやや酸っぱい、いわば梅干し飴みたいな味は両極端だがどちらもクールである。
 葉組を調べてみると、社の説明ではバージニア葉各種が80%、のこり20%の黒いのはキャベンディッシュではなくバーレー葉を熱処理した特殊なたばこでこの会社だけが作る秘密の製法によるとある。またユニークな香りはジャージー島があるチャネル諸島にしかない特別のものと、その独自性を誇示している。この葉組の説明だが、缶に印刷された記事には「キャベンディッシュ、バージニア、バーレーと特殊なブラックキャベンディッシュ。フレーバーはワインとスパイスで我が社80年におよぶレシピの成果です」とありニュアンスがやや異なる。香りについてはここにワインとあるから本来はそれが正しいのだろう。
 道明寺という和菓子がある。桜餅の一種だが、砕いた米の粒つぶがわずかにのこる食感で、塩漬けの桜の葉でくるんである。これは桜の葉ごと食べるのだが、餅と餡の甘みに桜の葉の香りがまじる上品な味わいで、ときどきふっと花の香りが漂うときがある。桜と思いたいところだがぼくは梅の香をイメージしてしまう。
 このたばこがちょうどその道明寺そっくりである。
 バージニア味になんとも奥ゆかしい上品な香り、ときどきふっと梅(と解釈しちゃう)酸味が漂い、心をどこか遠くにつれてってくれる。今朝は庭でやる朝一番のたばこをこれにした。今年は寒さがいつまでものこるが快晴の陽射しは思いのほか暖かく、やはり春の訪れを感じさせる。戸外でやるこのたばこはまた一段とおいしくて、懐かしい。イギリス人もこんな繊細な味をたのしむ習慣があるのかとうれしくなる。
 おや。どこかから梅の香りが……。庭の梅の木はまだ蕾で開花してないのに。
 たばこの香りだった! ああ!

[PR]
by jinsenspipes | 2012-03-12 17:08 | ジャーマイン | Comments(12)

ジャーマイン: ミディアム・フレーク

a0150949_16185093.jpg


 ジャーマインのミディアム・フレーク。これも旨いタバコだ。社の説明では葉組はレッド、ブラウン、ゴールドのバージニア葉のみとある。
 缶をあけると、柑橘系の甘酸っぱい香りのなかにややスパイシーな匂いがまじり、うまそう。
 フレークだが細く裁断され、まるで凧糸を束にしたみたい。かなり湿り気があってくっついている。適量をつまんで二つ折りすると、しなしなして、板状のフレークより楽にボウルに収まる。あ、こういうフレークもありなんだなと感心した。
 これも旨いバージニアだ。酸味と甘みがあり、軽い。ときどきスパイシーな香りやお花のような香りもして、心を遠くにはこんでくれる。サミュエル・ガーウィズのベスト・ブラウン・フレークと比べると、あちらは素朴なバージニア味オンリー、こちらはやや加工してあるが、添加物があるわけではなく、バージニアの奥深い味をよくとり出しているように思える。
 ジャーマインはすでにペリク・ミクスチャーとスペシャル・ラタキア・フレークを紹介した。ともにメリーランドのゴールデンキャベンディッシュで甘みを出していたが、このストレート・バージニアもかなり甘い。このあたりがジャーマインの特徴なのかと思われた。
 しかしこの甘みと酸味のハーモニー、じつにいいし、あきない。

[PR]
by jinsenspipes | 2010-01-12 16:23 | ジャーマイン | Comments(0)

ジャーマイン: スペシャル・ラタキア・フレーク

a0150949_21135469.jpg


 ジャーマインのスペシャル・ラタキア・フレーク。
 バージニア、メリーランドのゴールデンキャベンディッシュ、オリエント、ラタキアのミクスチャー。
 いやこれもじつに旨い。
 バージニアの風味とラタキアの香りがまろやかに交錯する。ふつうのラタキア物と比べると、あの独特の香りはやや弱く、いわばバージニア風味の隠し味のように響く。そのぐあいが抜群。そして前に紹介したペリク・ミクスチャーとおなじくメリーランドのゴールデンキャベンディシュが甘さと酸味を添える。甘く、とろーんとしたラタキア風味のバージニア!
 このジャーマインという会社、ファンになっちゃった。社歴200年になるというイギリスきっての名門で、19世紀、帆船を走らせて諸大陸からタバコを木樽に詰めて運搬してたというがじつに独特の味がある。
 メリーランドはアメリカでも閉鎖的な地域で移民の関係から外国への輸出はフランスとオランダに限られていた。当然タバコもオランダ(のちにデンマーク)にメリーランド・タバコがあるだけで本国アメリカでもイギリスでもこの種は使われなかったと文献にある。ではなぜイギリスのジャーマインに? という疑問がわくが、ひょっとしてこの会社が特別のルートを持ち、それを売り物していたのではいう痛快な想像もできる。
 ジャーマインにはメリーランドのゴールデンキャベンディッシュを使わないレシピもあるからこんどはそれを試してみたいナ。

[PR]
by jinsenspipes | 2009-12-26 21:51 | ジャーマイン | Comments(2)

ジャーマイン: ペリク・ミクスチャー

a0150949_11421211.jpg


 ジャーマインのペリク・ミクスチャー。
 じつに旨いタバコだ。
 バージニア、メリーランドゴールデンキャベンディッシュ、ペリクのミクスチャー。
 ペリクはスリーナンズが好きだし、朝一番の桃山もペリクが入る。しかし初めてだったがぼくにはペリクはこれならこれが一番と思われた。
 缶をあけるとじくじく湿っている。しかも猛烈な匂い。この酸味と臭気はちょっと類がない。そして一服すると、キャベンディッシュの甘みとペリクの強い味がどーん。ふつうペリクはバージニアの隠し味か旨味をますために入れると聞いていたけどこれはもろペリクという感触。つまりバージニア/ペリクじゃなくてペリク/バージニアなんだな。
 スリーナンズだとバージニア味にペリクがうまくブレンドされ、そこにお花の匂いのような高貴な香りが漂う。また桃山だとペリクはほんの隠し味でおかげでバージニアの味が塩気をおびたしんなりした味になってそれが旨味となる。しかしこちらはペリクが前面にきて、それがキャペンディシュの甘みでとろ〜とした独特の味になる。うーん、こういうのありなんだと感心しいっぺんに好きになった。

[PR]
by jinsenspipes | 2009-12-16 11:47 | ジャーマイン | Comments(12)