Jinsen's パイプ

カテゴリ:マクバレン( 7 )

マクバレン: バニラクリームフレーク ( Mac Baren: Vanilla Cream Flake )

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 マクバレンのポーチ入りバニラクリームは昔からぼくのお気に入りだがそのフレーク版がとてもおいしいと教えてくださったのはmifuneさんだった。前からやってみたかったところ先月の海外オーダーでようやくこれを追加できた。シガレット1箱ぶんほどの小ぶりな大きさで見るからにシックなたばこである。
 缶をあけるとかなり強いバニラの香り。この小さい箱に2.5cm x 7cmのフレークが2列に収まるがこれがかなりワラワラで摘もうとするとホロッと崩れそうである。さて、どのパイプに詰めたものかと迷ううちにサビネリの920番、トップが開いた朝顔型でやってみることにした。慎重に1枚とり出し、縦長に4つ折り、詰めてみると高さはちょうどいいが上が開いているのですかすかである。返すとポロッと落ちそう。頭をピックでちょいと崩したがそれでもゆるゆるだった。しかしこのフレークはこのやわらかさが身上のようなので押しこめるのは止め、すかすかのままで火をつけた。
 なにしろリボンカットならゆる詰めもいいとこなのでおそるおそる吸ってみる。うん。いい感じ。懸念した強いバニラの香りはスプレイしただけのようで火をつけるとさほどこない。ゆっくりふかしていると、酸味のきいたおいしいバージニア+バーレーのやわらかい味がくる。そこにわずかにバニラが香り、じつに優雅。このやわらかさはちょっと尋常ではない。酸味があるし、かすかにマクバレンお得意の蜂蜜の甘みがあるのでまるで果物の桃を食べているよう。バニラの香りに桃は不似合いだがこの香りづけはごくわずからしいのでむしろ果物の甘さのような感触に思えてくる。やわらかく優雅なたばこである。
 じゃ、ポーチ入り、ルーズカット版とどう違うかというと、どうやら違いは詰め方と吸い方によるらしかった。ポーチ入りのほうが吸ったときのバニラの香りが強いのはやや硬めに詰め、やや強めに吸いこんでいたようである。なのでフレーク版のなんともやわらかい感じはあまりなかった。このあたりがフレークのよさで、これは固形なのでただボウルに収めるだけ、あとはたばこの燃焼速度にあわせて吸っていればいい。その燃焼速度はフレークにプレスするときメーカーが計算しているはずである。
 シガレットはくるんだ紙のせいで放っておいても燃えつづけるがパイプたばこは放っておくと消えてしまう。だから適当に空気を送りこまなければいけないといわれている。しかし、乾いた草なんだからそう急には消えない。あるていど燃えつづける。そこで自然に燃えてるあいだは放っておき、消えそうになったらわずかに空気を送ってやる。フレークの吸い方はそれでいい。一方、ルーズカットは自分で詰めるから硬さを調整できる反面、メーカーが想定した燃焼速度と大幅にズレてしまうことがある。うんと硬詰めにして強く吸う人もあり、ゆる詰めにして軽く吸う人もいる。たばこによって詰め方、吸い方を調整するのもベテランのたのしみの一つになっているようだが、ぼくのようなものぐさはメーカーが計算した速度で吸えばいいフレークのようがよっぽど楽だ。おまけにルーズカットは詰め方を均一にするのがむつかしく、途中で何度も消えてしまうが、フレークは最初の着火さえしっかりすればまずまず最後まで消えることはない。
 マクバレンのバニラクリームは長いこと吸っていたが、これほど繊細で優雅なたばこと知ったのはフレーク版だった。mifuneさんに感謝しなくちゃいけないですね。

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by jinsenspipes | 2012-08-04 21:45 | マクバレン | Comments(4)

マクバレン: HH ヴィンテージシリアン ( MacBaren: HH Vintage Syrian )

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 マクバレン社のHHシリーズはまずこのヴィンテージシリアン発売に始まる。2006年である。つぎにメイチャーバージニア、そして前に書いたアカディアンペリク(2009年)とつづく。
 HHシリーズはマクバレン社の創設者、Harald Halbergのイニシャルで、そもそものアイディアは、小細工を排し、たばこ葉そのものが持つ味わいを充分ひきだしたものと説明されている。とくにこのヴィンテージシリアンのレシピは120年も昔、当時流行した「自然に還れ」たばこを模したものだそうだ。
 缶を開けると、ラタキアとオリエントの香りが強かった。火をつけると、やはりその通り。しかし舌にとろりとくる甘みがありオリエント葉の荒さをやわらげている。この甘みはトッブフレイバリングでこの段階でマイルドなラタキア物と思ってしまうとえらい間違いである。やがて中盤にかかるあたりでこれは消え、かわりに別種の甘みがたち上がるがそれはまぎれもなくラタキアの甘みである。
 これはまったく未経験のたばこだった。ふつうのラタキア入りイギリスブレンドとはまるで異なる。葉組をみるとラタキアが何と40%〜50%。約半分。そこにたっぷりのオリエント葉、くわえてケンタッキー葉、のこりがバージニア葉とあった。ぼくの印象はラタキアとオリエントの二重奏という感じである。
 たまたま手許にダンヒル965があり、比べてみると、そちらはまぎれもないイングリッシュミクスチャー。中心にバージニア葉の旨味があり、香りづけにラタキアを配し、さらにキャベンディッシュで甘みをつけている。あまからを見事に案配している。それにくらべるとマクバレンのは辛いたばこである。
 海外のレビューを読むとこのたばこはラタキア・ファン、オリエント・ファンに喝采で迎えられていた。なるほど中盤以降の喫味はラタキア味とその独特の甘み、それとオリエントのスパイス味、やや粗いがナチュラルな風味がどーんときてお好きなかたにはこたええられないだろう。ところがぼくはどちらかというとペリク・ファンだし、バージニアの青臭さが好きなほうなのでこれはちょっと辛く感じる。
 さいわいHH アカディアンペリクが残っていたので比べてみる。やはりそちらはペリクの甘みと酸味があり、ぼく好みの味わいだった。しかしこのアカディアンペリクとヴィンテージシリアンのラインナップ、興味深い。パイプ喫煙の初心者がいて、ペリクもラタキアもわからないが、甘口がいいといえばペリクを、辛口がいいならシリアンを薦めればいいのだ。もっとも人工甘味料たっぷりのたばこはごまんとあるからあくまでもたばこ本来の味わいで、という注釈つきである。
 そんなことを考えながらもう一度ヴィンテージシリアンにもどってみると、ぼくの好みはさておき、このたばこは並々ならぬ深みがあることに気づいた。ラタキアの香りと甘みがあり、オリエントのスパイス味、気がつくとトルコ葉もまじっているのでその葉巻味のスモーキーな香りもある。このあたりはラタキア・ファン、オリエント・ファンに尽きぬ話題を提供するだろう。さらにあらためて知ったのだがアカディアンペリクもベースにケンタッキー葉の味わいがあり、こちらヴィンテージシリアンにもどこかにケンタッキー葉の影がある。
 さて。あとはシリア産ラタキアについてである。ラタキアには2種、シリア産とキプロス産がある。じつは昔のラタキアはすべてシリア産で、ぼくの記憶にもかろうじてマレー社製965のシリア産の味覚がのこる。なにしろ1970年代のこと、ぼくも初心者だったから明瞭ではないが、漠然とあるのは、香り高く、丸い味でその後のキプロス産のつんつんした味わいとは違ったようだ。しかしそのあとシリア政府はラタキアの輸出を止めたので以後はキプロス産のみとなる。オーリック製965をやったときはずいぶん粗い味だと思ったものである。
 たぶん今世紀に入った頃と思うがふたたびシリア産が市場に出た。しかし製法が昔と異なり、往年の味わいはないとする識者が多い。くわえて永年キプロス産になれたおかげでいまではキプロス産ファンもいてかならずしもシリア産が上というわけではない。ラタキア物の海外レビューでも、キプロス産の長所をあげたものがかなりある。
 ではこのヴィンテージシリアンはどうかというと、正直いってぼくはわからない。つまり現在のシリア産とキプロス産の違いについて明確なイメージはないのだ。しかしぼくはこのシリア産に不足はないし、香り、味、甘み、申し分ないと思っている。
 しかし、ぼくはオリエント葉(ラタキアもオリエント葉の一種だ)の知識が貧弱なことを痛感しましたね。このたばこがあるうちにラタキア、オリエント、トルコ葉、そのあたりの深奥をじっくり吟味してみたいと思ってます。

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by jinsenspipes | 2012-07-07 17:21 | マクバレン | Comments(4)

マクバレン: HHアカディアンペリク ( MacBaren: HH Acadian Perique )

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 アカディアンペリクを商品名にした最初のたばこだろうとぼくは思う。
 ペリクに本物ペリクと偽ペリクがあるのを知ったのは2年前、ひさしぶりにスリーナンズを買い、あれ? ペリクがこないゾと感じたときである。そのときの感想は2010年1月23日のぼくのブログにあるし、その後わかったことも後日の「ペリクの真実」にあるのでご覧ください。
 ペリクはルイジアナ州セントジェームズパリッシュ地区だけに育つ特殊なペリク葉を使うが、その生産量は年々激減し、絶滅寸前においやられた。そこで生産農家は市場に多量に出回るグリーンリバーバーレー葉を買い、同様のプロセスで偽ペリクを作り、わずかな生産量の本物ペリクを混在して出荷するようにしてきたがそれも先が見えてきた。
 この窮状を知ったマーク・ライアン(手巻きたばこのD&R社の経営者)は2005年、現地に残る唯一のペリク製造工場、L.A.Poche社を買収、ほかの弱小生産農家が栽培するペリク葉をすべてここに集結させ、ペリク生産の再建にかかった。Poche社は市場に送り出すペリクを2種にわけた。1種は本物ペリクだが、実際これが市場に出荷されているかどうかはわからない。ほとんどないだろう。もう1種は本物ペリクに偽ペリクをブレンドしたもので、これをアカディアンペリクと命名する。それ以後、世界中のたばこ会社はマーク・ライアンのPocheからアカディアンペリクを購入している。
 これが真相である。ペリク入りたばこを作る世界のたばこ会社もこの事実はあからさまにしてないが、2009年、シカゴのパイプ見本市にマクバレン社の「HHアカディアンペリク」が登場、Poche社のアカディアンペリクを使っていることを世界に公表した。
 さて。どんなものか。期待と不安が半ばしながら100g缶をあけた。
 ペリクにしてはやや乾いた葉。香りもマイルドで少し甘い。昔のスリーナンズはじくじくに湿り、ツンとくる熟成臭が強烈にきたものである。火をつけると、うむ、予想通り、往年のペリクとは違うが、しかしこれはおいしいたばこだった。
 かってのペリクたばこはバージニア葉+ペリクで、すっきりしたバージニア味にペリクの甘みと酸味がとろとろにからみつき、豊満な年増女の色気を思わせるものがあった。しかしこちらはケンタッキー葉の味が強く、そのややとがった味にアカディアンペリクの淡白な甘みと酸味がからむ。さらにここにはオリエント葉も加わる。昔のペリクがバージニア葉をとろけさせているような感触だったのに比べると、こちらはケンタッキー、オリエント、ペリクのミクスチャーというところである。葉組はほかにマクバレン自慢のキャベンディッシュとバーレーを追加し、この会社独特の丸みをつけている。
 予想通り往年のペリクとは違うが、40年前のペリクを知る老人がいつまでも昔の味に固執してもはじまらない。それよりもここにはペリクの現状と未来にたいする明瞭な解答がある。昔のペリクの復活が望めないなら、いまのペリクを使ったおいしいたばこを作った会社が勝なのだ。
 G.L.ピースはアカディアンペリクはそれ自体おいしいたばこだと書いている。ぼくもそう思うようになってきた。昔の純正セントジェームズパリッシュ産ペリクを唯一の物差しにすればこれは偽だが、開き直って新種のたばこと考えればおいしい。とくにマクバレン社のこれは多種のたばこ葉をブレンドして微妙な味を演出し、ときに一瞬、ふっとケンタッキー葉が香ったりオリエント葉が香ったり、この甘みはキャベンディッシュだなと思わせたり、複雑なおもしろみもある。
 ブレンド名の「HH」はマクバレン社の創設者、Harald Halbergのイニシャルで、シリーズ化され、これまで「HH」シリーズは3種、このほかにVintage SyrianとMature Virginiaがある。ペリク、ラタキア、バージニアと、パイプたばこの芯となるところにマクバレン社は21世紀の挑戦を仕掛けてきたことになる。
 イギリスの名門会社は伝統にどっぷり浸かっているが、デンマークのこの会社は未来めざして駆け出している。ぼくもようやくパイプたばこ界の現在進行形に追いつくことになったのかなァ。

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by jinsenspipes | 2012-06-03 16:29 | マクバレン | Comments(6)

マクバレン: ソレントミクスチャー ( Mac Baren: The Solent Mixture )

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 またまた傑作と出会えた。
 このところぼくが一番気になっているのがデンマークのマクバレン社である。イギリス物、オランダ物はだいたい見当ついてきたがデンマークたばこがいまいちわからない。しかしこれまでやった同社のバージニアNo1、バニラクリーム、バーレーロンドンブレンド、いずれも逸品だった。
 マクバレン社の歴史は1887年まで遡るが、社名をマクバレンとして再出発したのが1950年、その最初の商品がこのソレントミクスチャーである。さしづめこのあたりをやったらデンマークたばこの奥行きがわかるかもしれない。
 100g缶を空けると、かなり強くラタキアが香った。しかも、なんと昔のダンヒル965にあった甘い熟成臭もあって期待が高まる。
 火をつけると、ウム、これは!
 バージニア葉の香り + ラタキアの燻製臭、それもしっかり熟成され、ややじくじく湿った臭いがある。プラスしてキャベンディッシュの甘みと酸味がきた。これはまるで干しぶどうの感じ。どうやらバーレーもまじるらしく、バージニア葉の鋭さを丸くしているしやや木の実の味もある。そのいろんな味わいがどッといちじにやってきてじつにカラフル。しかも全体はまろやかで軽快。や、これは素敵なたばこだ!
 葉組は想像通り、バージニアにシリア製ラタキア、キャベンディッシュ、バーレーとある。シリア製ラタキアは昔のダンヒルもラットレーもそうだったが、1970年代に輸出禁止になり、各社、キプロス製に切り替えたはずである。近年また輸出再開になったようだがマクバレンは禁止時代をどう乗りきったのか。知りたいところである。ぼくはこのラタキアに熟成臭を感触したが、マクバレン社の解説を読むと、どうやらフレイバリングにラム酒を使っているせいらしいとわかった。熟成臭と思ったのは間違いらしい。しかしこのラタキアは965のような強い刺激がなくマイルドでじつに爽やか。もっとも965はオリエント葉の配合が多いのでラタキアが強調されているかとも思うが。
 初盤はいろんな味と香りのハーモニーをたのしんだが中盤以降になるとそれが渾然一体となった。ラタキアは最初ほど強く主張せず、かわりにバージニアとキャベンディッシュが全面にきた。甘みと酸味が強く、前に書いたが干しぶどうの感触がある。ラベルの解説にオリジナル・マクバレン・キャベンディシュと書かれているが、やはり俗説通り、Dutch & Daneの特色はこのキャベンディッシュにあるのだろう。DutchのアンフォーラのキャベンディッシュとこのDaneのキャベンディッシュ、いい対称である。それに比べるとラットレーのダークフラグラントのあの無骨なキャベンディッシュなど、イギリス気質丸出しの感がある。
 さきに書いたがマクバレン社は1887年創業のデンマーク一の由緒あるファミリー会社で、その子息が20世紀初頭にアメリカで修行し、帰国後、マクバレンの商標で新製品を発売する。第一号がこのソレントミクスチャーである。やはりアメリカ市場を狙ったものと思われ、缶のラベルには「English Mixture」と書かれ、ダンヒルやラットレーの愛好者に的を向けているようだ。アメリカ人の評価もおおむね良好で、軽いEnglish MixtureあるいはマイルドなEnglish Mixtureという評が多い。
 しかし日本人のぼくとしてはやや異なる感想をもった。イギリスたばこは直球一本槍、バージニア葉にしろ、ラタキア葉にしろ、その極限をつねに追求しているようにみえるが、デンマークたばこはむしろブレンドの妙、香りや味の重なりぐあいをたのしんでいるようにみえる。その繊細な配慮が日本人のぼくには親近感がわく。しかもイギリスたばこといってもダンヒル、ラットレーはいまは自社製造ではなく、創業以来の伝統を保持しているのはサミュエル・ガーウィズ、ガーウィズ・ホガース、ジャーマインの3社だけである。マクバレンはそれに匹敵する歴史をデンマークという国で背負っているのだ。
 イギリス物よりマイルド。しかしたばこ葉の味はしっかり出し、加工技術は繊細にして精緻。80人のオーケストラが全員でピアニシモを奏でる、その満々の体力を秘めつつ、音はやわらかくやさしい。マクバレンのいろんなたばこをやってみたくなった。

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by jinsenspipes | 2012-04-28 15:44 | マクバレン | Comments(20)

マクバレン: バーレーロンドンブレンド ( Burley London Blend )

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 ぼくはバーレー葉に明瞭なイメージをもっていない。バージニア葉はそれなりに経験してきたので味覚も嗅覚も鍛えてある。これじゃいけないと、いいバーレー葉を探すうちにこれが見つかった。
 デンマークのマクバレン社はバーレー葉についてはエキスパートでバージニア・オンリーのイギリスに対抗してバージニア+バーレーのキャベンディシュで名をあげた会社である。しかしこのブレンドは1965年に発表され、有名なバージニアNo1につづいて単体の葉の開発に熱心だった頃の傑作とぼくは信じている。
 バーレー葉100%。カタログでは木樽につけて熟成したとある。着香なし。ご覧のようにブロークン・フレーク状なのでたぶんまず加熱圧縮してイギリス風ケーキを作り、それをほぐしたものと思われる。イギリスの会社ならブロークン・ケーキとかブロークン・ブラグと名づけただろう。またブレンド名の「ロンドン」は無着香ということもあってイギリス風に製造したたばこというつもりだったのではなかろうか。
 このたばこでぼくは初めてバーレー葉の味を堪能できた。じつは若い頃ハーフ&ハーフとかプリンスアルバートとかバーレー葉は体験ずみなのにその後はバージニア一辺倒で忘れかけていた。で、1年ほど前、思い出すために吸ってみたらあまりにPG(プロピレングリコール)の臭いが強く、肝心のバーレー味はよくわからなかった。
 マクバレンのバーレーはじつにまろやかである。あたたかく澄明、ごくわずかに甘みと酸味があり、それもかなり控えめ。ときどきややトーストした気配を感じ、そういうときは紙巻きたばこを連想した。もともとバーレー葉は紙巻きたばこ専用に開発された葉だしアメリカの紙巻き独特のトーストした匂いはまったくバーレー葉の香りである。しかし紙巻きにはこのまろやかさや甘み、酸味は無くかわりに紙の匂いがきてしまう。やはりストレートに吸うのはパイプに限る。
 海外のレビューだとバーレー葉の描写にはnuttyという語が使われる。木の実風味というていどの意味だが、たしかにバージニア葉のほうは濡れていて含みが多いが、バーレー葉は乾いた、ドライなつやつやした印象が強い。ナッツを食べる感触がバーレー、おつゆたっぷりの果実を食べる感触がバージニアといえるだろうか。
 また糖分たっぷりのバージニア葉には例の独特のbite感、舌や口内がひりひりする感じがあるが糖分がほとんど無いバーレーにはそれがなくてじつにクール・スモーキングできる。もっともぼくなどはバージニアに慣れているのでbite感があると安心しちゃったりするのだが。
 このブレンドは100g缶で売られているがほかにバルク販売もあり、ぼくはアメリカの通販会社からバルク50gを買った。念のため海外のレビューを読んでみたら、これが100g缶のレビューなのだが、たばこの解説にわずかにバージニアが混ざるとある。さらにチョコレートのトッピングが加わるともあったが、さてどんなものか。ぼくはその香りは感じなかったし、バージニアも感覚できない。レビュアーのなかには「100%バーレー・オンリー」と書いたかたもいるのでぼくは自分の感覚を信じることにする。
 チョコレート風味についてはもともとバーレー葉はわずかこの香りがするといわれている。バーレー葉は糖分が皆無に近く、甘みもない。しかしこのブレンドには上品な甘みがある。もしかしたらやはりわずかのトッピング(あるいはケーシング)かなされているかとも思うがぼくはそこまで感覚できなかった。
 このたばこと前後してぼくはサミュエル・ガーウィズの「ケンダルクリーム」を買いそれについては前に書いた。そちらはバーレーとバージニアの葉組で、まだ少しのこっているので吸ってみると、やはりバージニア葉の存在を感じた。これもおいしいたばこでとくにKendal scent(ケンダル芳香)が素敵だが純粋にバーレーをたのしむのはマクバレンのこのほうが数段上である。しかしマクバレンを吸ったおかげでぼくはバーレーの旨さを確認できたので「ケンダルクリーム」のたのしみ方もまた増した。
 いい体験だった。

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by jinsenspipes | 2011-03-10 17:49 | マクバレン | Comments(4)

マクバレン: バージニアNo1

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 デジタル時代の新世代バージニアたばこである。
 パイプたばこ初心者用の本やネットのサイトではお薦めたばこの筆頭にあがっている。
 バージニア葉オンリーの混ぜ物無し。リボンカットではなくフレークたばこをほぐしたレディラブトの葉である。よく乾燥していて清潔ムード。火つきも火持ちも抜群。
 火をつけると香り高いバージニア葉が匂う。ヘイ・タイブだがややクリーミーな感触がある。甘みもほどよい。蜂蜜だとする識者が多いからたぶんそうなのだろう。
 しかもこれはポーチ入りなのでお値段も気安い。ストレートなバージニアたばこを買おうとするならラットレーの半値、ダンヒルでも2割かた安いから初心者にはうってつけだ。
 しかしちょっと不満なのはバージニア葉の味わいの厖大なひろがりがこのたばこには感じられないことだ。たしかにバージニアの香りは高い。さらにクリーミーな感触とわずかの酸味は感じられるがそこからさきがない。
 ぼくのような年寄りだと音楽をたのしむのはまずレコードで、中年になった頃にCDが登場した。このデジタル商品を初めて聞いたときは仰天したもので、何と音が悪く、粗雑な代用品かと思った。デジタル録音は可聴周波数の上限と下限をカットして数値化するから、たとえ意識されなくても上限と下限に無限にひろがる音帯域を収めたアナログ・レコードとは比較にならないほど音が貧しい。いままたテレビがデジタル化されるけれど電化製品店の店頭で見ているとアナログテレビの奥深さは失われているようだ。
 しかし、慣れというのは恐ろしいもので、いまや我が家にはレコード・ブレイヤーはなく、すべてCDである。もちろんデジタル技術の進歩もあるだろうがいまやぼくの耳も慣らされてしまったようである。
 このたばこが似たところがある。バージニア葉の基本は抑えているが、言葉ではいいつくせない微妙な味わいはきれいさっぱりカットされてる。ダンヒルにせよ、ラットレーにせよ、昔のブレンダーは生のバージニア葉をどう熟成すれば味わいが増すか、どう料理すれば、つまり蒸したり、炒めたり、圧力をかけたりすれば味をしぼり出せるか、苦心惨憺だったと思う。その結果、ダンヒルのロイヤルヨットのようなストーブドバージニアの傑作ができた。あるいはサミュエル・ガーウィズのほんわかのどかな味わいができた。
 しかしイギリス以外のいわゆるDutch & Dane(オランダとデンマーク)ではバージニア葉とバーレー葉にふんだんに調味料をいれてキャベンディッシュを作り、新奇な味わいを創造するほうに関心があった。その結果、オランダのアンフォーラのようなキャベンディッシュの傑作ができたのだが、バージニア葉の追求はおろそかにした。
 このバージニアNo1はデンマークのマクバレン社が1957年に発表、バーレーもキャベンディッシュも含まないバージニア葉オンリーのたばことしては初商品化なのでそれなりに気負いもあり技術もこめられていると思うが、やはり垣根は越えられなかったようだ。
 いや、しかし音楽のCDがナチュラルな響きは失ったかわりに別の側面で新音楽の可能性を追求しだしたとおなじでマクバレン社は昔のイギリスの夢に追従することなくパイプたばこの新側面に挑戦すればいいと思うし、実際、バニラクリームのような傑作があることだからこんな比較も無用かもしれない。
 またまた年寄りの愚痴になっちゃったな。

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by jinsenspipes | 2011-01-10 16:57 | マクバレン | Comments(22)

マクバレン: バニラクリーム

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 マクバレンのバニラクリーム。缶入りのフレークはバージニアとブラックキャベンディシュのプラグをフレークカットしてあるが、ポーチのはそれをほぐしたもの。
 バニラ味のタバコはたくさんあるがぼくはこれが好きだ。マクバレン社のサイトにあるこのタバコの製作秘話によると、1999年、これを開発したとき苦労したのはトップフレイバーのバニラ風味が強すぎないように抑えることだったとある。たしかにこのタバコはバージニア味とバニラ風味のバランスがいい。
 バニラの芳香とバージニアの深い味わいが絶妙のバランスでくる。旨く吸うとバニラ風味には独特の甘みと、ややクリーミーなミルク味がきてこれがたまらない。過燃焼気味に、熱くして吸うと、バニラの香りとミルク味が前面に出過ぎてバージニア味が隠れてしまう。できるだけ火種を小さく、ちびちび吸わないといけない。
 冬の朝、眩しい陽光を正面にうけたわが家の縁側で、寒い日だが陽射しが強いおかげでぽかぽか日なたぼっこしながらこれをたのしんだ。至福の時間。

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by jinsenspipes | 2009-12-24 16:52 | マクバレン | Comments(6)