Jinsen's パイプ

カテゴリ:エソテリカ( 5 )

エソテリカ: マーゲイト ( Esoterica: Margate )

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 このたばこを薦めてくださったのはときどきコメントをいただくtango6さんである。たしか天邪鬼さんからもコメントをいただいたと思う。tango6さんはバージニア無しでラタキアとオリエントだけでまとめたたばこと書かれた。エッ。そんなのありなの。さっそく注文してみた。
 缶をあけるとおなじみのラタキアの香り。火をつけると、ウッ、ラタキアの燻製臭、オリエントの刺激臭、それと強い甘みが舌にきた。かなりな甘さでラタキアってこんなに甘かったかと思う。ちょっと大げさにいうと、とろんとした甘さのなかにラタキア独特の香りとオリエントの刺激がゆらゆら漂う、なんとも魅力あるたばこだった。
 しかしほんとにバージニア無しなんだろうか?
 会社の紹介文にこうある。
「クラシカル・イングリッシュ・ミクスチャー( a classical English mixture )です。いまは市場から姿を消したオールドスタイルで作られたすばらしいたばこの一つ。良質のオリエンタル葉とたっぷりのキブロス製ラタキアがこのリッチでフルボディな味の鍵になっています。バランスよく、しっかりした味わいにきっと満足されるでしょう」
 アメリカのたばこレビューのサイトでは葉組をラタキアとオリエントだけとしバージニア葉の記載はない。投稿された評者のレビューを読むと、やはりこのあたりは半信半疑で、バージニア葉無しと書いた評者と、ありと書いた評者にわかれる。
 ぼくの感想だが、バージニア葉の味はまったく感覚できないのだが、ときおりフッと、あ、これは、と感じることがあった。ある種の草の匂いがくることがある。しかし吸い慣れたバージニアのものとはやや違うような気もする。ラタキアもオリエント葉の一種だし、オリエント葉ならこれはたばこ葉なんだからやはり草の匂いはあるはずである。ただぼくはオリエント葉の味や香りについては明確なイメージをもたない不勉強者なのでこれはバージニアではない、オリエント葉のものだと断定できない。オリエント葉についてはマクレーランドに名品がたくさんあるからそのあたりで勉強しなければいけないですね。
 たまたまラッキーなことにSG社のコモンウェルスが空いていた。しめたとばかり比較してみた。コモンウェルスはバージニアとラタキアを半々にブレンドしたたばこで、ラタキアの燻製臭は充分くるがバージニア葉の味もしっかりくる。オリエント葉はないのでスパイシー味はこないが、そのかわりこちらのラタキアはかなり骨太でたんに燻製臭だけでなく複雑な味わいがある。そこにバージニア味がからむので一層複雑な味になる。共通するのは甘さで、コモンウェルスもかなり甘く、これはストレートなバージニアたばこには無いものである。これがラタキアの甘みなんだろう。しかしコモンウェルスは甘みを感じるまえに複雑な味がさきにきてしまうようである。
 それと比べると、マーゲイトは、さきにも書いたが、まずとろんとした甘みがきてそこにラタキアの香りとオリエントのスパイス味がのる。このラタキアはコモンウェルスよりシンプルでやや線が細い。かわりにオリエントの味わいがいい香辛料となっている。コモンウェルスはさすがSG社の看板たばこと思える風格があるが、マーゲイトはそれより軽く、シャレた味わいで、やはり他に類似品を思いつかない逸品として存在感があった。
 しかし、エソテリカは、ドーチエスターのペリクといい、マーゲイトのラタキアといい、シャレた味のたばこが目白押しですね。ぼくはようやくエソテリカというブランドの全容がわかりかけてきた。

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by jinsenspipes | 2012-11-14 11:32 | エソテリカ | Comments(28)

エソテリカ: ティルベリー ( Esoterica: Tilbury )

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 ときどきコメントをいただく天邪鬼さんがブログでこれを絶賛してらした。信頼おけるかたの賞讃ならきっと旨いに違いない。さっそく注文してみた。
 缶をあけると、おや、ダンヒルのロイヤルヨットに似た熟成臭。ますます期待がたかまる。シャグに近い細かいカットでたまたまヨットが空いていたので比べてみると、ヨットよりさらに細かいカット。明るい葉と暗い葉が半々に混じり、これもヨットに似ているがヨットより明るい葉が多い。これはゴールデンバージニアと、たぶんストーブドバージニアの混合と思える。
 火をつけると、ああ、ゴールデンの青臭さとストーブドの熟成臭がどッときた。じつに旨いたばこだ。ヨットと似ていると書いたがヨットは熟成臭が圧倒的に強く、ためにやや脂臭い、ミルクのような独特の味になるが、こちらはもっと淡白である。バージニア葉の新鮮な味が支配的でそこに熟成臭がやや香る。そのバランスがたまらない。このゴールデンバージニアはトーストされてる気がする。ごくかすかだが葉巻の香りを感じることがあるのだ。
 じつにクールに燃焼するたばこだ。よく味わってみると、バージニアの甘みに塩味がまじっていた。G.L.ピースは塩をいれないたばこは無いといっているが塩味を実際に感じることはめったにない。しかしこのたばこはあきらかに塩味がある。このクールな感触は塩味と関係するのかもしれない。
 もうひとつふしぎな香りがあり、最初はそれが何かの着香かと思ったが、やっているうちにバーレーの香りと気がついた。チョコレートを連想させるような木の実のうっすらした香りである。そう思って吸うと、全体に丸みがあり、これはバーレーのおかげだろう。
 ジャーマイン社の説明によると、葉組はバージニアとごくわずかのバーレーとあり、100年の歴史をもつ当社の熟成プロセスで仕上げてこのユニークな自然の香りをひきだしたとあった。「圧倒するたばこ、目のくらむばかりの喫味」と、自信たっぷりである。たしかにこの宣伝文句にはうなづけるものがある。
 ぼくはダンヒルのヨットやフレークが好きでいまもその二つは空き、常喫している。ダンヒルもオーリック製になってから質が落ちたとする識者が多いがだいじな要所はおさえているように思う。ただ、ぼくがレーン社製ダンヒルを体験したのは965だけで、その記憶ももうすっかり薄れているが、たしかに今の965より含み味というか、味全体のふくらみが大きかった。要所はおさえているがそれ以上のサムシング、隠し味というか、それは今の965にはない。
 ロイヤルヨットも、想像してみると、ただストーブドバージニアの熟成味だけでなく細部にもっと含み味がきっとあったのだろうし、体験者はその不足を嘆いているのだと思われる。しかし一方、ジャーマイン社のこのティルベリーにはじつに複雑な「目のくらむばかり」の喫味があちこちに顔を出し、吸うたびに発見があったりする。
 ジャーマイン社のエソテリカシリーズはもともとアメリカのたばこショップ、スモーカーズヘイヴンとロンドンのソブラニー社の共同開発商品だったことは前に書いた。それをおなじイギリスのジャーマイン社が引き継いだのだが、そこには歴然とイギリスたばこの伝統が生きづいているとぼくは思う。デンマークのオーリック社がダンヒルのレシピでおなじたばこを作っても肝心の伝統部分は欠落しているのとは大違いである。
 これからしばらくはティルベリーを吸い、「100年の歴史をもつ熟成プロセス」はじっくり味わってみたいと思う。
 またまたいいたばこと出会えて、天邪鬼さんには感謝しないといけない。

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by jinsenspipes | 2012-10-14 21:07 | エソテリカ | Comments(54)

エソテリカ: ドーチェスター ( Esoterica: Dorchester )

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 ときどきコメントをいただくtango6さんがこのたばこを最大級の賛辞とともに推薦された。すぐ注文しようとしたがあいにく欠品つづき、ようやく手にすることができた。tango6さんもVaPer好き。きっと旨いゾ。
 缶をあけると、バージニアの明るい葉がたくさん、そこに、あれ! 梅の香りがする。この香りはジャーマインのブラムケーキそっくりでぼくの大好きな香りだからかまわないがちょっと意外だった。
 火をつけると、う、香り高いバージニア味にやはり梅の香がただよう。どうやらこのたばこ、トップフレイバリングに梅の香りをスプレイしてあるようだ。ぼくは一瞬プラムケーキを吸ってる気になってしまった。
 これはたいへんおいしいバージニアたばこである。社の説明では6種のバージニアを配分しているという。そこまではぼくにはわからないが、ブライトの青臭さから甘いダーク葉まで、じつに複雑なバージニア味がする。そしてどうやらペリクはほんの少量でもっぱらバージニアの引き立て役にまわっている。ぼくの好きなVaPerはペリクが強いのが多く、その強烈な酸味と甘みが前面にくるのばかりだがペリクはもともとバージニアを際立たせる役目だからこれでいいのだろう。
 当然だがペリク味は希薄で、そこを梅の着香が埋めている。つまり年増女のようなしなだれかかるペリク味のかわりにさわやかな乙女のあるかなしかの体臭が香るというところだ。
 このたばこにはケンタッキー葉がまったく匂わない。というのはいまのペリクはすべてアカディアンペリクなので当然ケンタッキー葉が匂う。このたばこにしてもまさか純正ペリクのはずはないが、それが匂わないのは少量であり、さらに梅の着香で匂いを消しているのではないか、そんなことも想像した。
 梅の着香はさすがに中盤以降は影が薄くなり、かわってペリク本来の酸味と甘みがくるが、それもごく控えめで、むしろバージニア葉の旨味が全面をおおっている。それとバーレーが若干まじるらしく後半は木の実味がでてくる。
 バージニア葉の深い味わい、そこにかすかに梅の香りとうっすら酸味がのる。じつに優雅なたばこであった。
 ところで一つ訂正がある。
 前にエソテリカのダンバーを紹介したとき、エソテリカは著名パイプ作家、ビュテラのレシビと書いたがこれは間違いだった。エソテリカはアメリカのたばこshopと、バルカンソブラニーを世にだしたソブラニー社のレシピで現在はジャーマイン社が製造する。
 こういう歴史がある。
 アメリカのコロンバス市にSmokers' Havenというたばこshopがあり、1950年代から70年代にかけて全米一といわれるほど隆盛した。このshopはハウスブレンドにも熱心で、自家製たばこがたくさんあるが、すべてソブラニー社に製造委託していた。ところが1978年、ソブラニー社が廃業したので後継にジャーマイン社に委託したが、1983年にはこの店じたいが代替わりし、ほとんど廃業寸前にまで縮小、ハウスブレンドも市場から姿を消した。
 当時、ジャーマイン社のたばこのアメリカ代理人だったSteve Richmanがこれを残念に思い、ジャーマイン社が作るSmokers' Havenのハウスブレンドの名を変えてシリーズ化することを思いついた。これがエソテリカ(正確にいうとEsoterica Tabaccianaで訳せば「秘伝の古たばこ」となるか)である。
 しかしそののちSteve Richmanはエソテリカのすべての権利をビュテラに売却したのでそれ以後はビュテラのエソテリカシリーズということになったのだ。前のぼくの記事はビュテラのインタビューを参考にしたがそのときビュテラは詳しい事情を語っていないのでてっきり彼のオリジナルレシピと思いこんでしまった。お詫びして訂正します。

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by jinsenspipes | 2012-08-28 21:01 | エソテリカ | Comments(15)

エソテリカ: アンド・ソー・トゥー・ベッド

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 エソテリカのダンバーを書いたとき986さんのコメントでラタキア物もいいと推薦され、これを注文した。ラタキア物は何種もあるようだがこれはネーミングに惚れちゃった。
 "And so to bed"は17世紀イギリスの役人、サミュエル・ピープスの、なんというか、常套句として知られるらしい。この人は晩年10年にわたり毎日日記を書き、これが貴重な時代の証言になった。1665年のペスト流行、1666年のロンドン大火災などの記述は貴重だが、大半の日記は「朝おきた。顔あらった。メシ食った」と小学生の作文ていど。そしてさいごは「And so to bed(そして寝た)」で終わっている。その「そして寝た」を商品名にするんだからなんとも人を食った話で愉快になる。おまけに商品の説明に「夜更けの一服に最適!」とくるから傑作だ。
 さて。このタバコ、缶をあけると黒い葉、赤い葉、黄色い葉がまじり、やや濡れた感じ、ラタキア臭がツンとくる。ぼくは昔のダンヒル965を思い出した。いまの965と違い、昔のは湿っていて(喩えが悪いが)肥だめのようなラタキア臭がツンツンしたものだ。それとそっくりである。
 で、吸ってみると、ウム、これはどうみてもバージニア、ラタキア、ペリクの標準イングリッシュ・ミクスチャーで、ただ熟成のぐあいが独特という感じだった。会社の解説によると、バージニア葉とメリーランド葉、それにギリシャのオリエント葉にシリアのラタキア葉とあってペリクの記述はない。しかし最初からやや甘酸っぱく塩味が利いた味が舌にきてそれがラタキア葉の香りといいハーモニーをだしているとぼくには感じられるのだが、これはもしからしたらメリーランド葉かオリエント葉の味なのだろうか。わからない。
 さらにその熟成度の独特さなんだがこれはちょっと説明しがたい。ご自分で料理するかたならわかると思うがおなじ肉や魚でも焼くか、炒めるか、煮るかで食感がだいぶ違いますよね。このミクスチャーはいうなれば「蒸した」という感触で、ダンヒルにもラットレーにもない独特の感触なんだ。そういえばジャーマインの「オリジナル・ラタキア・ミクスチャー」とか「ペリク・ミクスチャー」にこの感触があった気もするがあまり鮮明ではない。
 エソテリカはアメリカのビュテラのレシピ、イギリスの名門、ジャーマイン社がブレンドするが、この熟成感はひょっとするとジャーマイン社の古物のプレス機独特の香りなんじゃないかと思ったりもする。
 全体の印象は軽いラタキア物という感じで、すべての葉が丸く、柔らかく収まり、じつにマイルドな、心やすまる響きを伝えている。とりわけ突出したところはないがいつ吸ってもあきることなく、また戻りたくなる、なるほど就寝前に心を鎮める一服としてお休みの酒一杯とともにたのしみたい。

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by jinsenspipes | 2010-10-05 22:12 | エソテリカ | Comments(45)

エソテリカ: ダンバー

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 エソテリカ( Esoterica Tobacciana )はちょっと特殊なブランドといえる。
 アメリカのパイプ作家、マイケル・ビュテラのレシピをイギリスの名門、ジャーマイン社がブレンドした。
 ビュテラはおもしろい人で彼のレシピのうちロイヤルヴィンテージ・シリーズはアメリカのマクレーランド社、エソテリカはイギリスのジャーマイン社、「ペリカン」はデンマークのピーター・ストーカビー社がそれぞれブレンドしている。分散させたのは理由があり、ビュテラ自身の話によると「マクレーランド社のマイク・マクネイルはアメリカ一のブレンダーだがジャーマイン社のロバート・ジャーマインはヨーロッパの傑出したブレンダーで、イギリス伝統製法を守る最後の砦」とのこと。
 とくにこのエソテリカ・シリーズは評価が高いのに日本では未発売なので海外通販で買いこんでみた。
 いや、これは、ちょっと比較する相手がみつからないユニークなタバコだった。
 社の説明だと、7種のバージニアとペリクの葉組で、プレスして数日おいたあとフレークにカットし、さらにそれをほぐしたとある。缶をあけると、いわゆるブロークン・フレークだが、しっとり濡れている。表面に被せた紙がべっとり濡れているところはジャーマイン社のペリク・ミクスチャーを思い出させる。
 吸ってみると、ああ、バージニアのいい香りがじつにふっくら、あたたかく、甘く香る。ペリクはかなり利いているが、ムムム、いつもと違うゾと直感した。
 このところ常喫しているラットレー、スリーナンズのペリクはアカディアン・ペリク独特のケンタッキー・バーレーの匂いがきつく、ぼくはそれに慣らされてしまった。ところが何と! ダンパーにはケンタッキー・バーレーが匂わない。上質のバージニアと甘酸っぱいペリクの香り、それだけ。もしかしたらこれは本物のルイジアナ・ペリクなんじゃないだろうか。
 少なくともぼくの味覚はそう教える。ああ、いいものに出会った。
 7種のバージニアとあってもぼくの味覚はそれを識別できないが、こんなにふっくら、あたたかいバージニアは初体験である。いや、もしかしたら、かすかに記憶している30年も昔のダンヒルやスリーナンズはこうだったのではないか。イギリス・ブレンドといってもいまのドイツ製はバージニアの香りはのこしてもこのあたたかさは失っているのかもしれない。
 そしてビュテラもそれを承知し、その味を出すためにイギリスの名門、ジャーマイン社にブレンドを託したのではないか。などと想像をたくましく飛躍できる。
 灰褐色のバージニア葉に黒いペリク葉がまじる色合いはじつはG.L.ピースの「ストラトフォード」に似ている。しかしピース社のはバージニアの香りとペリク葉それとケンタッキー・バーレー葉の香りがモザイク状に漂うが、ダンパーではバージニアとペリクの味がまるで印象派の絵画のように境界線を見せずに混色され、なんともいえない心地よさがある。このあたりはイギリス伝統製法の永年にわたり成果なのだろう。G.L.ピースはまだ若い。
 それにしてもバージニアとペリクのこの絶妙のまじりぐあい、ぼくの知る限りでは唯一無二である。
 うーん。これはしばらくエソテリカのほかのブレンドも試さなくてはいけないナ。

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by jinsenspipes | 2010-08-15 12:03 | エソテリカ | Comments(21)