Jinsen's パイプ

カテゴリ:オーリック( 3 )

オーリック: ゴールデンスライスド【R2】( Orlik: Golden Sliced )

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 しばらくマクレーランドのバージニアがつづき、ひさしぶりにこれを吸ったら、このたばこのよさを再認識した。
 国内で買えるし、価格も気安い。味もいいし、吸いやすい。まずは申し分ないんじゃないか。
 前にレビューしたのは海外通販で買った缶入りだが、こちらは国内で買ったポーチ入りである。開けてびっくりしたのはダンヒルのフレークのような板状の小片でなく、長〜い帯状フレークだった。
 上に載せた写真の一番上と右下はポーチに収まるように三つ折りにしたもので、真ん中によじれて見えるのが全長である。伸ばすと40cmくらいある。それを三つに折りたたみポーチに収めたので、見ためは15cm x 4cmのフレークに見える(それが一番上と右下です)。
 やや湿り気があり、やわらかい。これを繊維に沿って縦割りにし、くるくるッと丸めて詰めてもいいし、ボウルの深さに合わせて三つ折りか四つ折りにしてもいい。ダンヒルやFVFのようにしっかり固めたフレークだと丸めたりたたんだりするうちに折れたりばらけたりしやすいが、これは繊維がやわらかいので楽だ。板状のチューインガムを丸める感覚である。
 フレークたばこをほぐしたり千切ったりして吸う方がいらっしゃるが、ぼくはせっかくのフレークがもったいない気がする。リボンカットのたばこはうまく丸めても隙間ができ、そこで燃焼が止まることがある。フレークなら緻密に圧縮した繊維が連続するのでいったん燃えだせばまず消えない。しかもゆっくり燃えるからおなじ量ならリボンカットより5割増し長持ちするといわれる。
 着火に苦労すると思われがちだが、オーリックのこれはほとんどマッチ1本でめらめらと火がつく。ほんとに吸いやすいたばこだ。火さえつけば最後まで燃えつづけるが、それでも消えやすいとおっしゃる方はたばこが自然に燃える早さに合わせて吸ってないのだ。
 パイプたばこは燃焼剤が不在だから、ときどきあおり、火をおこしてやらなくてはいけない。パイプを吸うと、空気がボウルトップから入ってたばこを通過する。そのとき、火種が一瞬あおられ、細くなった火がポッと赤くなる。吸いこんだ煙がやや熱を持ったかなと思うていどで充分である。吸ってばかりいるといわゆるエントツになる。そこでこんどは口内の空気をパイプに吹き戻す。ボウルからはゆらゆら一条の煙がたっている。口内の空気を送るとき、そのゆらゆらの煙が乱れたり、あわただしくなってはいけない。少し元気づいたかなていどでよろしい。吹き戻しで火はボウルのなかで水平に燃えひろがる。吸うにしろ、戻すにしろ、これはたばこが自然に燃える早さに合わせるのである。そうでないと送りこむ空気の強さで火を吹き消したりしがちである。
 さて。喫味だが。
 ずっとマクレーランドのバージニアを吸い、この葉の特徴がわかってきた。しっかり熟成したバージニア葉は、甘み、酸味、果実の香り、花の香り、じつにさまざまな味と香りをだす。
 オーリックのこれはポーチをあけると、柑橘系の甘酸っぱい香りがし、そのさわやかな酸味と甘みがさいごまでつづくがこれは着香したものだとぼくは推測できた。マクレーランドでいえば着香たばこの5115とおなじである。バージニア葉は数種をブレンドしているらしく、「ゴールデン」の名称通りブライト葉の青臭さもあるし、またレッド葉のトースティな感じもあり、やや乾いた、やわらかくていい味が心地よい。ペリク葉がわずかにまじり、とくに後半はペリク味がでてくる。前半の着香した柑橘系の香りがとんで葉の味が直接くるのだろう。
 前のレビューで、お膝元のデンマークではパイプ喫煙者の90%がこれを吸っているというレポートを引用したが、つまりこれはまったくの大衆商品、量産品で、それが強みにも弱点にもなっている。安価なのにしっかりバージニア味がくる(海外通販だと2oz缶が国内シガレットの1箱半ほどの値段)。さわやかな酸味と甘みが心地よい。火つきも火持ちも抜群によい。これは大衆商品として最大の魅力になる。しかし、マクレーランドのバージニアのように奥深い、おもしろみというか複雑さというか、それがあるかというと、残念ながらまったくない。このたばこはデンマーク国内はもちろん世界に愛好家がいる大衆商品、いっぽうマクレーランドはアメリカのごく一部の好事家の好む嗜好品。生産量も違うし、狙いめも違うだろう(マクレーランドの5115は2ozだとオーリックの5割増しの価格帯だ)。
 ぼくはマクレーランドのバージニア(もちろんそれが理想とするイギリス物も含めて)が好きだがときどきオーリックのこれやマクバレンのバージニアNo1、ダンヒルフレークを買うときがある。マクレーランドはおいしいが、じっくり味わうなら静かな書斎で気持を鎮めたときがいい。屋外とか、パプでひょいと吸うたばこではない。いっぽうオーリックはどんな場所でも期待の味がきて裏切らないから気安く吸える。お部屋でじっくりジャズを聞くのも一興、パプでにぎやかなポップスを聞くのも一興。そんなところだろうか。

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by jinsenspipes | 2013-08-08 11:02 | オーリック | Comments(6)

study: ダークケンタッキーの謎 ( Mysterious Dark Kentucky )

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 少し前にペーター・ハインリヒの「ダークストロングフレーク」のレビューを書いた。
 このたばこはオーリック社の「ダークケンタッキー」と中身はおなじらしい。そちらが2007年にアメリカ市場から姿を消したあとファンのみなさんはこれに鞍替えしたようなのである。
 しかし、会社が違うのに中身がおなじなんてある得るのだろうか? ずっと疑問だった。
 ネットで調べても記事がない。ところがあるドイツ語の記事にそれらしい記述がみつかり、めんど臭いけどgoogleの翻訳で読んでみると、あった! そのあとドイツのネット記事を漁っていくうちに、あるある、どうやらドイツではよく知られた話題であるらしいのだ。
 もっともドイツでも真相は不明で、ただこのたばこのファンが、Aたばこ店のハウスブレンド(自家製たばこ)「AA」とB店のハウスブレンド「BB」は同一か? といった話題があちこちに登場していた。
 ドイツに「Pfeife und Tabak」(バイプとたばこ)いうサイトがあるが、ここのフォーラムでは10年前からたびたび話題にのぼり、ついにオーリック製「ダークケンタッキー」と中身がおなじハウスブレンドの一覧表まで掲載されていた。おもしろいので参考に転載しておく。左がたばこshop名、右がその店が販売しているハウスブレンド商品名である。
「Pfeife und Tabak」http://www.pfeife-tabak.de/

「たばこshop名」「商品名」
Peter Heinrichs _____"Dark Strong Flake"
Pfeifenstudio Frank __"Black and White"
Thomas Behrend ____"42"
Pfeifen Bier _______ "23"
Schneiderwind______"Darley Moor"
Diehl_____________"Special Blend The Tiger"
Tabakhaus Bielefeld Crüwell__"45"
Tabak-Keistler______"Bivisible"
Rauch in Wetzlar_____"Tabakskollegium Nr. 3"
Bonner Pfeifen&Cigarrenhaus___"Nr 29"
 このたばこがすべてオーリック製「ダークケンタッキー」だとされているから凄い。
 なんでこんなことがありうるのか? 真相はまったく不明だ。ただこれらのshopのハウスブレンドはいずれもドイツのコールハス社に製造委託している。そこで推測としてデンマークのオーリック社とドイツのコールハス社のあいだに何らかの契約があり、ドイツ国内に限って販売(あるいは製造も)を許可しているのではないか、という説が読めた。
 うーん。またまたぼくにはよくわからない不思議がでてきた。そういうことが裏でこっそりなされているとしてもネットに堂々と一覧表まで公開されているとはネ。
 アメリカではG.Lピースがおなじ製法のたばこ「ジャックナイフ」を昨年発表している。いまのところこのたばことオーリック製を比べた記事は見当たらない。ドイツのサイトには「ジャックナイフ」はまったく登場せず、これを評したアメリカのサイトにはオーリック製はでてこない。
 ぼくはペーター・ハインリヒの「ダークストロングフレーク」が気に入り、ここのところずっと吸いつづけている。ほんとはオリジナルであるオーリックの「ダークケンタッキー」、G.L.ピースの「ジャックナイフ」を手に入れ比べてみたいところだが出来ずにいる。どなたか両方体験されたかたがいらっしゃったらぜひ感想をお聞かせください。

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by jinsenspipes | 2012-06-30 11:58 | オーリック | Comments(0)

オーリック: ゴールデンスライスド ( Golden Sliced )

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 バージニア葉の廉価版としてマクバレンのバージニアNo1と並ぶ人気たばこである。どちらも安価なポーチ入りではあるがどうしてどうして味も風味も一流と申し上げたい。
 偶然だがPipesMagazine.comの6月3日号にこれのレビューが載り、記者がデンマークのオーリック社を取材した。記事によるとデンマークのパイプ喫煙者の90%がこのたばこの常喫者とのこと。おもしろいのはデンマークでは日本とおなじポーチ入りなのにアメリカだけは缶入り。どうやらアメリカ人はポーチだと安物と見るので特別に缶入りにしたらしいと、アメリカ人の記者が書いている。日本はご存知のようにポーチだがぼくはアメリカの通販会社から買ったので缶になった。
 缶をあけるとおなじみのバージニア葉のいい香りに柑橘系の匂いがまじる。3インチ(7.5センチ)のフレークだが幅が4センチもある。丸めて火をつけると、ムムム、いい感じ。バージニア葉の深い味にトップフレイバーの柑橘系の匂いが爽やかである。お、吸っていて気づいたがペリクが低域にある。ちょうどマーリンフレークとおなじくらいの混ぜぐあいだろうか。それとかすかにバーレーの味がくることがある。これはほんのわずかだが、どうやらバージニア葉のしつこい味を丸めているようなのだ。
 おなじポーチ入りのバージニアNo1と比べるとかなり手のこんだ作りのように思えた。あちらは律儀にバージニア一本槍、そのかわりマクバレン社独特のフレーバリングで味つけしてるがやや一本調子の感がある。バージニアたばこの深みとしてはこちらのほうが上に思えるのはペリクやバーレーを加えていわばエッジをつけているからだろう。
 火つきと火持ちのよさは抜群である。さっと火がつき、まず消えることはなくさいごまで吸いきれ、小指の先ほどの灰をさらりと残して終わる。値段も手頃だし、デンマーク人のほとんどが常喫している理由も頷ける。フレークだから丸めてパイプに詰めるだけ、タンパーで詰め加減を調整するまでもなく屋外の喫煙にもむいてるしネ。
 しかしサミュエル・ガーウィズやラットレーなど、ワンランク上の価格帯のバージニアと比べてどうかというと、ぼくはやはり歴然と差があるように思える。バージニアNo1やこれはいわばふつうのバージニアだが、SGやラットレーのは「ザ・バージニア」といおうか。おなじバージニア葉からここまで味をひきだせるのかと思わせる陰翳、変化があって愕然とする。デンマーク人にしても日頃のニコチン摂取は安価なゴールデンスライストで間に合わせるとして、冬の寒い夜、はるばる遠方の知人が訪ねてきたときは、とっておきのたばことして輸入ものの(たぶんエライ高い)サミュエル・ガーウィズのフルバージニアフレークなど開けてしみじみやるんじゃないだろうか。と想像したりして。
 追記。
 これを書いている途中でPipesMagazine.comの記事をあけてみたら追加記事(6月9日付)が載っていた。じつは前の記事で葉組はバージニア+わずかのバーレーとあり、ペリクの記載はなかったが、吸ってみれば一目瞭然、ペリクが感覚できるのでその記事は無視した。ところが追加記事によるとその後オーリック社の工場長から連絡があり、缶の裏面の記載にバーレーとあるのはペリクのまちがい。わずかのペリクが入りバーレーは無いとあった。しかしぼくはバーレーも感覚するのでこんども自分の感性にしたがい書き直しはしないことにした。

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by jinsenspipes | 2011-06-19 17:48 | オーリック | Comments(6)