Jinsen's パイプ

カテゴリ:ロバート・マッコーネル( 4 )

ロバート・マッコーネル: スコティッシュフレーク ( Robert McConnell: Scottish Flake )

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 ひさしぶりのマッコーネルたばこである。
 前にも書いたが、マッコーネル社はロンドンの老舗で1848年の創業から100年を越す年月、銘品を送り出してきた。自社ブレンドだけでなくダンヒルの紙巻きを作っていたこともあるし1980年以降はラットレーたばこを外注生産する。1980年代といえばロンドンのたばこ会社は壊滅状態で、マッコーネル1社のみ、この地のたばこshopのハウスブレンドまで一手に引き受けていたが、1989年、時代の波には勝てず廃業。設備一式はドイツのコールハス社が買い上げたのでその後はマッコーネルたばこも、またマッコーネルが作っていたラットレーなど全商品がコールハス社の製造となった。
 ぼくはこれまでマッコーネルたばこの「スコティッシュケーキ」「マデュロ」「グレンパイパー」を紹介してきたがこのスコティッシュフレークは、フレークたばこであること、通販会社などに掲載された紹介文によると数種のバージニア葉を独自の工法で熟成させたとあるので興味が沸いた。つまりバージニアフレークだというのだ。
 ところが実際に吸ってみると紹介文とは大違いだった。
 缶をあけると、強い酸味と甘い香り、ぼくはりんごを連想したが、ラム酒のようである。あれ? 着香してあるのか。フレークにはまちがいなく、4cm x 6cmでこれがとても薄い。ふつうのフレークの半分くらいの薄さである。
 火をつけると、あ、これは、ペリク入りだった! バージニア+ベリクで、ケンタッキー葉の香りもあった。バージニアのベースにペリクの酸味と甘み、それをラム酒が強調し、とろんとした感触。さらにケンタッキーが腰を強めている。なんとぼく好みのたばこだった。バージニア葉にちょっと特徴があり、青臭さはもちろんだが何か異種の味もまじる。そのあたりが複雑な味わいをみせてなかなか奥が深いたばこである。
 初めてのたばこを買うときは通販会社の紹介文やネットのレビュー記事を参考にするが、そのどこにもペリクやラム酒の記載はなかった。アメリカのレビューもいくつか読んだが、みなさん紹介文につられてバージニア葉のあれこれを論じるだけ。いったいどうなってるんだと思っていたら、一人のレビュアーが、この紹介文はおかしい、製造元のコールハス社のサイトの文が正しいと指摘していた。そこでコールハス社の記事を読むと、あった! 「ダークバージニア葉とスパイシーなケンタッキー葉、それにわずかのペリクをフレークにプレスした。ラム酒で着香」。ちゃんとペリクとラム酒が記載されてる。じゃ、通販会社の紹介文はどこから引用したんだろう? またアメリカのレビュアーの大半が誰もそれに触れてないのはなぜだ? またまた薮の中である。
 ところで同社には類似のたばこでスコティッシュケーキがある。これは前に紹介したが葉組はバージニア+ペリク+ケンタッキーでこれとおなじである。ただラム酒の着香はない。
 このケーキというのはイギリス(スコットランドも)たばこの伝統製法の工程でまずすべてのたばこ葉はプレスされて板状にされる。大昔はこのケーキ板をたばこshopに売り、お店が客の要望でこれをカットして販売した。これがカットプラグと呼ばれるものである。しかしその後、製造段階でケーキを細かく裁断し、いまでいうリボンカット状にしたものが好まれることとなり、また製缶技術の発達で裁断した葉を缶詰にパッケージして出荷されるようになる。そうなると初期段階でケーキを作るまではない、最初から裁断しちゃえば楽だというのでイギリス以外の国ではケーキは作られなくなったのだ。
 いっぽうフレークはケーキを薄くスライスしたので、イギリスの製法では、ケーキはフレークにするか、細かく裁断してリボンカットにするか、わかれる。マッコーネル社のスコティッシュケーキは、じつはケーキを手でほぐしたブロークンフレークで、このたばこは伝統製法にのっとりケーキから作られてますと宣言したものである。またスコティッシュフレークのほうはケーキをスライスしてフレークにしたものだが、両社のもともとのケーキは、別物だとぼくは思う。
 スコティッシュケーキとスコティッシュフレーク、葉組は似ているが、使われるバージニア葉は異なる。で、ケーキのほうはどちらかというと単純なバージニア葉、フレークはバージニア葉のカクテルで味の違う葉をブレンドしてあるようである。
 どちらもぼく好みのペリク入りバージニアである。いま手許にケーキのほうはないので厳密に比較はできないが、チャンスがあれば吸い比べてみたいと思っている。

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by jinsenspipes | 2012-10-28 20:53 | ロバート・マッコーネル | Comments(28)

ロバート・マッコーネル: グレンパイパー ( Robert McConnell: Glen Piper )

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 じつはネットで1974年頃のこのたばこのパンフレットの写真を見たのである。新発売とあった。たばこの発売年はまずまずわからないのがふつうだが、このたばこは1970年代初頭に出たようである。
「ロバード・マッコーネルが5年かけて開発したマイルドでほどほどにアロマチックなたばこ」
「伝統的イギリスたばこにちょっとひと味違うものがほしい、しかしフルアロマチックには抵抗あるという喫煙者に最適」
「最高級のバージニア葉に自然な果物の香りがしますが、この香りづけはたばこ葉に移されたあとすべてとり除いてあります」
「軽く加熱圧縮したあと手でほぐしました」
「香りは素敵だし、まわりのお友達にもよろこんでもらえます」
 パンフレットにはそんな言葉が読める。
 マッコーネルの着香物ってどんなんだろうと興味がわき、海外通販で買ってみた。
 缶をあけると甘く熟した果物の香り。やや湿っている。フムフム。期待通り。葉っぱは明るいバージニア葉に黒いキャベンディッシュがまじり、レディラブドとコースカットが半々という感じ。
 火をつけると、ああ、やはり甘い香りが漂う。レーズンだろうか。いやもっと熟した果物ような香り(あとでラム酒がまじるとわかった)。酸味もかなりある。しっかりしたボディはバージニアでほんのり甘いのはキャベンディッシュだろう。やはり極上のアロマチック・イングリッシュたばこだった。
 念のためコールハス社の記載を読むと「バージニアフレークを手でほぐしたものとブラックキャベンディッシュをミックス、少量のペリクとケンタッキーを加えた」とあり、着香については「ラム酒とチョコレート」とある。ぼくはペリクは感知できなかったがこの甘みと酸味はそうなのかと思うし、ケンタッキーについては例によってアカディアンペリクを漬けた葉でわざわざことわるあたりはいかにもドイツ人の几帳面さを感じさせる。
 この表記とオリジナルのパンフレットを比べると、やはりもともとはバージニア+キャベンディッシュ、それに独特の着香、その味をだすためにコールハス社はラム酒とペリクをくわえたのだろうと想像できる。
 さて、着香物というとぼくはアンフォーラが好きだがこれはオランダ・キャベンディッシュの傑作である。イギリスのキャベンディッシュはバージニア葉だけを加熱圧縮するが、オランダはバージニア、バーレー、ケンタッキーなど多種の葉を調合し着香物をふんだんに加えて加熱圧縮する。そこであの甘口の、マイルドな味わいが出てくる。もともとの葉の味は失われるがそのかわりおいしいケーキを食べるような味覚になる。
 1970年代というアンフォーラの全盛期である。アメリカが輸入するパイプたばこの筆頭がアンフォーラだったし、おそらく世界で売上NO1だったのではないだろうか。その頃イギリスたばこというとダンヒルのようにバージニア葉の魅力のみで勝負していたからマッコーネルとしてはアロマチックではあるがイギリス伝統のバージニア味はしっかり守ってますというつもりでこれを作ったのではあるまいか。事実、グレンパイパーの魅力はやはりバージニア+イギリス・キャベンディッシュの旨味にあり、そこに熟した果物の香りが加味されているという印象なのだから。
 P.S. この缶のラベルだが、オリジナルもそうだし海外通販のネットカタログの写真も、横缶で凝ったイラストが描かれている。ところが着いたのは縦缶でご覧のように素っ気ないラベル。これ、ちょっと不満です。クレジットはMade in Germanyだし、アメリカの輸入業者もXyz Direct社でこれはコールハス社の正規の代理店だからまちがいない品物と思うが、それともコールハス社が手抜きしたのかなァ。

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by jinsenspipes | 2011-10-22 17:26 | ロバート・マッコーネル | Comments(16)

ロバート・マッコーネル: マデュロ ( Robert McConnell: Maduro )

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 このたばこは同社のブランドのなかでもとりわけ有名でこれを常喫してきたロンドンの年配喫煙者は数多いようだ。
 ところがそういうかたにかぎっていまのコールハス社製は不評で「似て非なる物」とケナす人が多い。なにしろつい20年前までは本家のC.E.マッコーネル社のマデュロが吸えたわけだからそれももっともかもしれない。ぼくは本物は吸ってないのでそれを頭にいれてコールハス社製を買ってみた。
 缶を開けると真っ黒な葉っぱ。強いアルコールの匂いがきて湿り気がある。葉組はバージニア+ペリクで、ラム酒で着香しているのである。吸ってみると、う、やはりラム酒の匂いは強い。それとペリクの甘みと酸味がくわわり、ラム・ケーキを食べたときのようにお酒と甘みのまじった感触が心地よかった。バージニアの香りは薄く、特有の舌焼けもなく、とにかくクールに吸える。甘いたばこといってもいいと思う。悪くないじゃない。
 ブレンド名の「マデュロ」はスペイン語で英語なら「mature」つまり「熟成」である。この言葉は葉巻のラッパー葉によく使われていて特別の葉を高温でじっくり発酵させた物をさしている。このたばこもたぷん充分熟成したバージニア葉を使い、そのおかげで真っ黒なんだろうと思うが、それにしてはバージニア葉じたいの旨味に乏しい。おそらくオリジナルはダンヒルのロイヤルヨットのような独特の味わいをもっていて、年配喫煙者はそれがないのでコールハス製はだめだとするのではないか。もしこのたばこがロイヤルヨットのような深い味わいをもっていたらと想像すると、ああ、オリジナルを吸いたかったとため息がでる。
 いまのマデュロは、お酒とペリクの甘みでとろりとした、舌焼けすることもなくクールスモーキングできる吸いやすいたばこというところである。
 ところでつい20年前までこれを作っていたC.E.マッコーネル社は老舗中の老舗だった。1848年創業で1989年まで一貫して極上のたばこを生産してきた。1980年以降はラットレーたばこを外注生産し、ダンヒルの紙巻きを作っていた時期もあり、一説によるとダンヒルのパイプたばこがアイルランドのマレー社に外注される前後にマッコーネル社もそれを作っていたという。ピカ一のブレンダーだったが自社ブレンドのロバート・マッコーネル製品はダンヒルやラットレーほどの国際評価は受けなかった。つまりご商売が下手な職人気質の会社だったと思われる。1989年に廃業し、プラントはすべてドイツのコールハス社に移され、いまも稼働中とのことである。1989年といえばほんの20年前だ。その頃のイギリスではたばこ製造会社はほとんど廃業し、アイルランドのマレー社とロンドンのマッコーネル社、この2社だけといっていいくらいだった。したがって1980年代のイギリスのパイプたばこ、とくにロンドン製のパイプたばこはみなこのマッコーネル社が下請け生産していた。もちろん零細企業のサミュエル・ガーウィズ、ガーウィズ・ホガース、ジャーマインなどは零細のゆえに大企業の争奪戦をまぬがれ、生き延びたわけだが。
 ぼくはなぜかこのロバート・マッコーネルに愛着がわいている。職人気質の会社らしいという横顔もいいし、ほんの20年前まで生き延びた長命ぶりも素敵である。もう一種、マッコーネル物を買いこんであるのでつぎにそれも紹介したい。

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by jinsenspipes | 2011-10-16 17:56 | ロバート・マッコーネル | Comments(14)

ロバート・マッコーネル: スコティッシュケーキ ( Scottish Cake )

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 ロバート・マッコーネルのこれはVaPer(バージニア+ペリク)の逸品として知られる傑作である。いまはドイツのコールハス社が製造するがつい20年前までのオリジナルはVaPerではこれが一番とするファンも多かった。
 缶を空けると、ブロークンフレークでわらわら状態。脂っこいストーブドバージニアの匂いが期待をそそる。
 じつは昨日までラタキア物ばかりだったので、火をつけると、ああ、これだ、やはりぼくはペリク好みなんだとホッとしたが、いや待てよ、VaPerとはやや異なる味がする。ペリクはかなり強くて、それは満足だが、ボディのバージニアに異質の味がある。これはケンタッキー葉の味じゃないだろうか。
 念のため葉組を確認すると、やはりケンタッキー+バージニア+ペリクとあった。うーん。ぼくはオリジナルのこれを吸ってないので何ともいえないがVaPerの評判はどこからきたのだろう。海外のレビューをみると、やはりVaPerとするレビュアーが多く、ケンタッキーあるいはバーレー(ケンタッキー葉もバーレー種である)も少量含まれると書いたレビュアーも少数だがいる。
 さてこれからはぼくの推論になる。オリジナルのこれはVaPerだったとぼくは思う。そうでなくてはあれだけの評価がえられたはずはなく、またぼくが買った缶の裏に貼られた説明には「バージニア+ペリクである」と明確に書かれている。しかし昔のペリクは純正ペリクだったはずだがいまのこの缶のペリクはアカディアン・ペリク、つまりケンタッキー葉のグリーンリバーバーレー種に漬けたペリクと思われ、これは吸ってわかった。アカディアン・ペリクを使えば当然ケンタッキー葉の味がするので、コールハス社はオリジナルにはないケンタッキー葉を葉組に表記したんじゃないだろうか。しかしむしろこれは良心的な表記で、たとえばまちがいなくアカディアン・ペリクを使っているスリーナンズがそれを表記してないのはあきらかに不当である。おかげでスリーナンズは「(純正)ペリクを使ってない、これはスリーナンズじゃなくてケンタッキーナンズだ」という悪評すらあるんだからネ。
 ケンタッキー葉はちょっとクセの強いバーレー種である。ふつうのバーレー葉は丸く、ナッティ風味でおとなしい味だがケンタッキー葉はバージニア葉に似た陰翳がある。ぼくは前にガーウィズ・ホガース社のケンタッキー葉の単体を買ったことがある。どんな味だが確認したかったのだ。これはやや渋めのバージニアという感じで、スパイシーで、独特の風味がある。バージニア葉はふくよかだがケンタッキー葉はややきつく、エッジがはっきりしている。ちょっとエグいといってもいいかもしれない。たばこに厚みがでるので腰を強くしたいときなどよく使われるが、この葉が好きというかたもいて実際これをメインにしたブレンドもある。
 スコティッシュケーキはケンタッキー葉の味がかなり強いVaPerというところである。しかし、何度か吸ううちにこういうのもありだなと思うようになってきた。バージニア葉だけのVaPerはもちろんいいが、こういう変種があってもいい。ペリクにしたっていまとなっては純正ペリクを使ったたばこなんてあるんだが、ないんだが、それすらわからないのだから、アカディアン・ペリクもペリクなんだと、ぼくは素直にたのしむようになってきた。マ、そうでもしなきゃ、この激動の時代、生きていてたのしくないしネ。だからこのスコティッシュケーキもここのところのお気に入りなのである。
 KenPerもけっこうイケますよ、と申し上げたい。

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by jinsenspipes | 2011-09-27 15:09 | ロバート・マッコーネル | Comments(13)