Jinsen's パイプ

カテゴリ:ラットレー( 6 )

ラットレー: ダークフレグラント ( Rattray's Dark Fragrant )

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 ブラックキャベンディッシュの最高傑作とされる。
 ロバート・マッコーネルのマデュロで書き忘れたが、あれもブラックキャベンディッシュの傑作で、この二つは並べて語られることが多い。
 缶を開けるとこちらも真っ黒な葉。マデュロとそっくりで区別つかない。やや湿り気のあるところもおなじ。やはり熟した果実の甘酸っぱい香りがあるが、マデュロはラム酒で着香されるがこちらはバージニア葉そのもの、しかしわずかにペリクで甘みと酸味にアクセントをつけている。
 しかし基本の味は最良のバージニア味で、これだけ料理しても青臭さを失わないし、ヘイタイプのややぴりぴりする感触はまったくなく、ひたすらマイルド、じつに旨いたばこだ。
 ここのところぼくはキャベンディッシュに目覚めたのである。ちょっと深入りしたくなり、まずは典型を舌に憶えこませようとこれを選択した。キャベンディッシュはバージニア葉を加熱圧縮し、いわばじっくり煮こんだ料理あるいは深煎りしたお茶というところである。葉の持つ味わいを最高度に抽出しつつ味をマイルドにする。ヘイタイプのバージニアは料理でいえば刺身か塩焼き。手をくわえず素材の生の味をのこそうとする。しかしキャベンディッシュはじっくり火を入れ、たっぷり時間をかけ、素材の隠れた味を引き出したものである。イギリスの伝統技術が生んだ最高の料理だ。
 じつはぼくはDutch & Dane ( オランダとデンマーク )のキャベンディッシュに興味がわいたのだった。キャベンディッシュは国により作り方が異なり、イギリスはバージニア葉のみを使い原則として着香料は加えない。しかしDutch & Daneはバージニア葉、バーレー葉、その他の香味たばこを自由に混在し、ふんだんに着香料をかけ、甘口のとろりとした独特のキャベンディッシュに仕上げる。その最高傑作がオランダのアンフォーラだし、デンマークのマクバレン社製バニラクリームもじつにユニークな味をだしている。ただバニラクリームがデンマーク・キャベンディッシュの典型かどうかはぼくはまだ不明。マクバレンのほかのたばこやボルクムリーフも試してみたいと思っている。
 ほかに現代のキャベンディッシュの傑作にアメリカのレーン社製キャプテンブラックがある。ぼくはこのたばこ、1990年代に初めてやり、ベタ甘だが旨いと思ったことがある。ところが5、6年前、また買ってみると、とにかくPG味が強く、たばこを吸ってるんだか化学薬剤吸ってるんだかわからなくてがっかりした。この会社はダンヒルパイプたばこのアメリカの代理店で自社ブレンドにも定評があるんだがひょっとしていまは外注製造しているのかと思う。つい最近レーン社はデンマークのSTG社に買収されただがそうなるとこんごのキャプテンブラックはオーリック製になるんだろうか。マ、それは別としてこのたばこには数種の銘柄があり、PG味が強くないものもあるらしいからいつか再挑戦してみたい。
 横道にそれちゃったがラットレーのこのたばこは評判通りの逸品だった。バージニア葉を時間かけて丹念に料理し、持ち味のすべてを全開させている。イギリスのキャベンディッシュの一番おいしいところを味わい、さて、つぎにオランダやデンマークは何をたばこに求めようとしたかのか、先に進んでみたい。

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by jinsenspipes | 2011-11-16 21:21 | ラットレー | Comments(23)

ラットレー: ハローザウインド

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 ようやくこの銘品を手にした。100g缶だけだし、値段は桃山の倍、とても手が出なかった。100gというと日に一度やっても一ヶ月かかる。開封して一ヶ月たつと、保存に気をつけても味はかなり落ちる。100g缶は常喫の桃山だけにしていた。しかし海外通販だとかなり割安になるので決心がついた。
 うむ。やはり逸品だ! ラットレーの名作とともにいまのブレンダー、コールハス社の苦心の作ともいえる。
 缶をあけるとおなじみのストーブドバージニアの脂っこい匂い。それにまじって、おッ、果物の香りもするゾ。期待がふくらむ。火をつけると、ああ、旨いバージニア味に、お花の香り、果物の香りがする。これはすばらしい。しかし吸いつづけるうちにこのタバコはバージニア+ペリクだと気づいた。
 ラットレーの古いカタログには「バージニアオンリータバコ」としてオールドゴーリー、ハローザウィンド、ブラウンクルーニーが載っている(マーリンフレークはない。なぜかな?)。いずれもバージニア葉のみのタバコで、オールドゴーリーはイギリス伝統製法によるもの(つまりイギリスケーキから始まる製法)、あと二種はとくに記載がないがたぶんじっくりストーヴしたものと想像され、ブラウンクルーニーは「メロー」、ハローザウィンドは「ストロング(フル・リッチ)」と書かれている。たぶん当時はバージニア葉のみで作られ、製法によって味わいに差をつけたと想像できる。
 しかしコールハス社になってからはオリジナルの味をだすために独特の葉組が考案された。
 コールハス社のハローザウィンドの葉組は「ケンタッキー、バージニア、ペリクをプレスしてフレークにし、手でほぐしたもの」とされている。オールドゴーリーもブラウンクルーニーもほぼ同等の葉組である。つまり昔はバージニア葉のみで複雑な味を出していたが現在はペリクの助けを借りているということになる。これはぼくの想像だが、ここにあるケンタッキーはおそらく現在のアカディアンペリクに使われるケンタッキー・バーレー種ではないかと思う。
 そこで現在のラットレー・バージニア・タバコを比較してみると(ブラウンクルーニーは未見)オールドゴーリー(それとマーリンフレーク)のペリクはごくわずか、隠し味だが、ハローザウインドはペリクが強い。これはVaというよりVaPerといったほうがいいくらいである。そしてお花の香り、果物の香りはハローザウインドだけの特徴になる。
 そこで比較されるのはスリーナンズである。こちらもお花の香り、果物の香りがあるが、こちらはペリク味が前面にくる。ハローザウインドはいい香りはするが同時にストーブドバージニア味が、まるでダンヒルのロイヤルヨット並みに強く、ペリクがやや隠れている。コールハス社の狙いはこのあたりにあるのではないか。
 そう考えると、これはラットレーの銘品であるとともにコールハス社の自慢の逸品とぼくは思う。
 なしにろ100g缶を買ってしまったのだからしばらくは毎日、常喫しようと決めた。

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by jinsenspipes | 2010-08-02 21:35 | ラットレー | Comments(9)

ラットレー: オールドゴーリー

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 ようやくこの名品が吸えた。うーん。評判どおり。おいしい。
 ラットレーの昔のパンフレットを読むと、pure virginiaタバコとしてブラウンクルーニー、ハローザウィンド、そしてこのオールドゴーリーの3種がのり、とくにオールドゴーリーはイギリス伝統製法で作られ、添加物も何もないバージニア葉オンリー、イギリス人ならvade mecum(必携)のタバコだ、とある。このパンフにはマーリンフレークは掲載されてない。そしてネットのタバコ販売店のカタログにはマーリンフレークはオールドゴーリー同等品と書かれていた。
 どうやらマーリンフレークとオールドゴーリーは、サミュエル・ガーウィズ社のフルバージニアフレークとベストブラウンフレークの関係とおなじと想像される。識者によると、SG社のフルバージニアとベストブラウンはおなじイギリス・ケーキから作られ、その後のフレーク処理の過程が違うそうだ。そしてフルバージニアはフレークそのものだがベストブラウンはブロークン・フレークが混在し、初心者には吸いやすいし、やや軽くしてある。ベテランは重厚なフルバージニアを選び、初心者はベストブラウンで充分そのよさを知ることができる。
 ラットレーでいうと、マーリンフレークは細切りフレークだがオールドゴーリーはブロークン・フレークで、やはりおなじ違いがある。細切りとはいえフレークタバコは敷居が高いというかた、またリボンカットに慣れたかたならほぼ同等のブロークン・フレークが吸いやすい。
 ラットレーは現在ドイツのコールハス社が製造するが、同社によると、マーリンフレークの葉組はダーク・バージニアのブラック・キャベンディッシュ+わずかのベリク。オールドゴーリーはダーク・バージニアにケンタッキー葉を混ぜ、やはりわずかのペリクを加えたとある。もともとはどちらもバージニア葉オンリーだったが、おなじ味をだすために隠し味としてペリクが加味され、さらにオールドゴーリーにはケンタッキー葉を混ぜて腰を強くしてあるようだ。しかしぼくの味覚ではケンタッキー葉は感知できない。このあたりはコールハス社の苦心の結果だと思われる。
 製法も、オリジナルはイギリス・ケーキから出発しているはずだが、いまはそんな手間のかかる製法はとらず、マーリンフレークはキャベンディッシュ製法で作られ、オールドゴーリーは(コールハス社の説明によると)3ヶ月ほど圧縮熟成したのち手でわらわらにほくどしたとされる。
 ペリクにしてもほとんどわからないていどである。いわれてみるとこの甘さはペリク独特のジュースのせいかと思われるていど。ペリク臭はまったくなく、隠し味になっている。
 ぼくはもともとのラットレー製品を知らないがコールハス社は苦心惨憺、オリジナルの味を現代製法でだす策をねっているようで好感がもてる。
 コールハス社のラットレーの一番の弱点は甘みが強調されている点で、スコティッシュ・ブレンド(ラタキア物)もこのバージニア・ブレンドもちょっと甘みが出過ぎている。このあたりは近年、お酒が甘口になりつつあるのと関係あるかもしれない。これも時代かと思うし、ぼくにしてもそれが嫌だというほどではない。

(追記)
 喫煙の後半で、いわれてみればケンタッキーかなという香りがあった。前半はまったくバージニアの香りのみだったが……。これは想像だが、このケンタッキーはペリクではないか。アカディアン・ペリクはケンタッキー・バーレーを漬けこむのでどうしてもケンタッキーの香りが残る。それではないかと思った。もっともいわれてみればそうかなというていどでほとんど感知できないのではあるが。

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by jinsenspipes | 2010-07-10 12:16 | ラットレー | Comments(8)

ラットレー: ブラックマロリー

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 ラットレーのラタキア物、それも50グラム缶は3種あり、前に書いたレッドラパリー、このブラックマロリー、それとセブンリザーブである。このうちセブンリザーブは「一日中吸ってもお口を痛めません」の保証付き、つまり軽口に仕上げてあるそうだがぼくは未体験だ。
 この3種は兄弟ブレンドで葉組はおなじとされ、ラットレーの古いカタログには以下のように表記される。
「レッド・バージニアに加えてシリアン・ラタキア、そして高価なマハラ・デュベク・トルコ葉」
 しかし現在のコールハス社の説明はこうなってる。
「スパイシーなラタキアとカットしたバージニア葉がキャベンデッシュとオリエンタル葉にミックスされた」
 そしてこのキャベンディッシュの表記がレッドラパーとブラックマロリーでは微妙に違い、前者はダーク・キャベンディッシュ、後者はブラック・キャベンディッシュとなっている。
 さて。そこで吸ってみると……。
 缶をあけるとラタキアの香りにやや脂っぽい匂いがまじる。これはまぎれもないブラック・キャベンディッシュの匂いだ。
 そして火をつけると、丸い、じつに丸い。レッドラパリーの鋭さがない。そして甘みと酸味がおだやかにきてオリエントはかなりひっこんでいる。レッドラパリーにはバージニアの青臭さがややあるが、こちらは感じない。
 もし葉組がおなじとすると、バージニアのキャベンディッシュとオリエントの配分が逆転し、レッドラパリーはオリエントが強く、ブラックマロリーはキャベンディッシュが強い。しかしキャベンディッシュにも違いがあるとすると、ブラックマロリーはしっかりストーブされたブラック・キャベンディッシュ味だと思う。
 総じて、ブラックマロリーはおだやかなタバコである。静謐なタバコ、とむつかしい漢字を当てはめたくなる。バージニアの甘みと酸味もおだやかだし、オリエントもおだやか。じっと吸いつづけるうちにじわじわと味がでてくるじつに謙虚なタバコだと申し上げたい。
 ぼくのように年寄りでしみじみたのしみたいならブラックマロリーがいいが、ガツンとくる強い味が好きならレッドラパリーがいい。ただしダンヒルのラタキア物はもっとくっきりしていて強い。このあたり、もしかしたらイギリスとスコットランドの民族の気質が出ているのだろうか。
 そうそう。ラットレーのタバコの命名はじつにユニークでスコットランド人独特の(日本なら沖縄人のように)謙虚ななかに鋭い人間洞察を含めている。レッドラパリーはラットレーのカタログには「ボヘミアン、放浪者のこと」と婉曲に書いているがじつはアイルランドの反逆者の一団をさす言葉でラットレーが密かに信奉していたのではないかとも思ったりする。ブラックマロリーのマロリーは英語のニュアンスでは接頭語のmal-に「悪、不幸」の意味がこめられ、malice(悪意、敵意)のように暗い言葉を感触する。しかし一方で名前のmalloryはフランス語源で「美」に通じるというし、このあたりぼくはなにかしら複雑なスコットランド気質を感じてしまう。マ、ぼくの思いすごしかもしれないけど。

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by jinsenspipes | 2010-05-15 18:06 | ラットレー | Comments(4)

ラットレー: レッドラパリー

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 マーリンフレークの旨さに感動してさらにラットレーを知りたくなりラタキア入りを試してみた。
 葉組はバージニアにラタキアとオリエント。イギリス物の定番ミクスチャー。缶をあけるとおなじみのラタキアの香りでダンヒルに似た細かい刻みだった。火つきも火持ちも格段にいい。
 火をつけると、ムムム、甘さと酸味がほどよい極上のバージニアの味わい。旨い! ほんとに旨い。まず前面にバージニアの味がきてそこにラタキアが香る。オリエントはやや控えめにしっかりバージニアを強調している。そのハーモニーがじつにみごとでうまく溶けあっている。
 このバージニアはマーリンフレークのように丸くなく、といってヘイタイプほど青臭くもなく、生の香りをのこしつついい味をだしている。あくまでも主役はバージニア、しかしオリエントがうまく脇を固め、ラタキアが花を添える。ぼくはラタキア物はこのバランスが好きだ。
 ちょっと思い出したのだが、ダンヒルのマイミクスチャー965が昔はこの方向で、ただしバージニアはキャベンディッシュなのでさらに甘口で丸かった。いまはオリエントが前面に出て、バランスが大幅に崩れている。もし昔のままの965があったら、バージニアはキャベンディッシュの甘口がいいか、レッドラパリーの青臭さがのこるカットバージョンがいいか、おもしろい議論ができたのではないだろうか。いまの965だったらレッドラパリーのほうがぼくは好きだ。
 しかしラットレーはすばらしい。もちろんいまはドイツのコールハス社が製造してるのでこの会社がいい仕事をしてるということになるわけだが。

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by jinsenspipes | 2010-04-19 21:47 | ラットレー | Comments(6)

ラットレー: マーリンフレーク

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 ラットレーは1903年からスコットランドで作られてきた名門タバコ。現在はドイツのコールハス社が製造している。海外のレビューを読むとよく「マーリンフレークと比べると……」という評があり、まずはバージニア味の代表の地位にあるのだろう。
 葉組はコールハス社によるとダーク・バージニアとキャベンディッシュ、それにわずかなペリクとある。
 缶をあけると長いフレークが二つ折りされている。ほどよい湿り気があり、脂っこい匂い。
 火をつけると、ああ、なんと旨いバージニア味だ! 軽くクールななかにバージニアのさまざまなニュアンスがどッとくる。ほどよい甘みと酸味。ときどき微かにペリクが香る。ペリク入りバージニアは常喫の桃山がそうなので、思い出してみるとペリク味は桃山より薄い。しかしバージニア全体にしまりをつけているのはまぎれもなくこの隠し味のペリクだと思う。
 バージニアはイギリス伝統の無添加キャベンディッシュで、プレスしつつオーブンで焼かれているので独特の甘みがあり、味が丸く、とりおりクリーミーな味がする。桃山のバージニアはこういう"matured"ではないのでやや青臭い。ぼくはストレートなバージニアの青臭さも好きだしキャベンディッシュの丸みのある甘みも好きだ。
 比較ついでに書くと、桃山はラムでケーシングし、いわばざっかけな庶民の味にしている。こちらは高貴で風格がある。またまたぼくはどちらも好きだ。軽さとクールさについていうとスミュエル・ガーウィスのベスト・ブラウン・フレークとどっこい。
 じつはぼくはラットレーは初めてでした。何しろ値段が桃山の倍だから貧乏人には重すぎる。ぼくが買えるのはイギリスの3社かスリーナンズまで、つまり桃山より5割高いタバコまででアメリカ・タバコなどまず手が出ない。しかしあまり評判がいいのでマーリンフレークを買ってみたが、やはり! まちがいなかった。ラットレーのレシピは現在14種がのこり、コールハス社から出ているので、みんなやってみたいナ。

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by jinsenspipes | 2010-01-27 16:11 | ラットレー | Comments(4)