Jinsen's パイプ

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セリーニ: クラシコ

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 猛暑のなかで柑橘系の味がほしくなった。
 ぼくの記憶ではラールセンのファイン&エレガント、俗にラールセンのブルーといわれるのが柑橘系味だった。これの発売は5年ほど前で当時の商品名はフレッシュ&エレガントだったがなぜかその後名前を替えた。たまたまお店でもらった試供品がおいしかったので、お礼をいうと、柑橘系ならこれもいいですよと紹介されたのがセリーニのクラシコだった。なるほどこちらのほうが酸味が強い。ラールセンのブルーは酸味と別の匂いが混在するが、こちらはもっぱらオレンジの酸味と甘み、すっきりしている。
 ここ1年ほどやってなかったのでひさしぶりに買ってみた。
 ポーチをあけると、オレンジの酸っぱい匂い、甘い香り、いい感じだ。バージニア味が独特で、イタリア産というがちょっと記憶にない味がする。日頃やってるイングリッシュミクスチャーはほとんどアメリカ産だからやはり違うのだろう。もっともこの葉組はバージニアとバーレーそれにキャベンディッシュで葉っぱをみるとバーレーの灰褐色がかなり目立つ。こういう着香物はバーレーで香りと味をつけるものである。G.L.ピースはバーレー葉はカメレオンで何にでも化けると書いているが、バージニア味もバーレーのおかげで角がとれ、丸くなっているようだ。
 酸味と甘みは持続するが、それと別にもう一種、着香された味があり、これがなんともいい難いのだがこじつけでいってしまうと北イタリアのミラノあたりの広場にかすかに漂うイタリア料理の香り、独特のおいしそうな匂い、そんな感じがする(なんともこじつけで申しわけないが)。
 アメリカのマクレーランドやG.L.ピースは着香もシナモンとかミントとかはっきりした味を打ち出してくる。なにしろ実利一点張りの単細胞人種だからしかたないがヨーロッパ人、とくにイタリアやフランスなどラテン人種はもやもやした名状し難い味を好み、どうやらそういう感じがここにはあるようだ。思い出すとこの変な味はサビネリのアルモニアにもあったのではないか(漠然とした記憶でしかないが)。
 小一時間吸ってるうちに、オレンジ風味と酸味、それとこのおいしそうな料理味が渾然ときて海外旅行気分になった。
 これはドイツの大手タバコ会社、プランタ社のブレンドで、この会社はホルガーダンスケ、ダニッシュブラックバニラ、イメージ・シリーズなど名品を送り出し、セリーニも2種、クラシコとフォルテがある。オレンジ風味もいい感じだがこのイタリア料理の調理場をしのばせる香りが独特の雰囲気を持ち、永年のファンをひきつけているのだろう。

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by jinsenspipes | 2010-08-26 16:53 | セリーニ | Comments(0)

エソテリカ: ダンバー

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 エソテリカ( Esoterica Tobacciana )はちょっと特殊なブランドといえる。
 アメリカのパイプ作家、マイケル・ビュテラのレシピをイギリスの名門、ジャーマイン社がブレンドした。
 ビュテラはおもしろい人で彼のレシピのうちロイヤルヴィンテージ・シリーズはアメリカのマクレーランド社、エソテリカはイギリスのジャーマイン社、「ペリカン」はデンマークのピーター・ストーカビー社がそれぞれブレンドしている。分散させたのは理由があり、ビュテラ自身の話によると「マクレーランド社のマイク・マクネイルはアメリカ一のブレンダーだがジャーマイン社のロバート・ジャーマインはヨーロッパの傑出したブレンダーで、イギリス伝統製法を守る最後の砦」とのこと。
 とくにこのエソテリカ・シリーズは評価が高いのに日本では未発売なので海外通販で買いこんでみた。
 いや、これは、ちょっと比較する相手がみつからないユニークなタバコだった。
 社の説明だと、7種のバージニアとペリクの葉組で、プレスして数日おいたあとフレークにカットし、さらにそれをほぐしたとある。缶をあけると、いわゆるブロークン・フレークだが、しっとり濡れている。表面に被せた紙がべっとり濡れているところはジャーマイン社のペリク・ミクスチャーを思い出させる。
 吸ってみると、ああ、バージニアのいい香りがじつにふっくら、あたたかく、甘く香る。ペリクはかなり利いているが、ムムム、いつもと違うゾと直感した。
 このところ常喫しているラットレー、スリーナンズのペリクはアカディアン・ペリク独特のケンタッキー・バーレーの匂いがきつく、ぼくはそれに慣らされてしまった。ところが何と! ダンパーにはケンタッキー・バーレーが匂わない。上質のバージニアと甘酸っぱいペリクの香り、それだけ。もしかしたらこれは本物のルイジアナ・ペリクなんじゃないだろうか。
 少なくともぼくの味覚はそう教える。ああ、いいものに出会った。
 7種のバージニアとあってもぼくの味覚はそれを識別できないが、こんなにふっくら、あたたかいバージニアは初体験である。いや、もしかしたら、かすかに記憶している30年も昔のダンヒルやスリーナンズはこうだったのではないか。イギリス・ブレンドといってもいまのドイツ製はバージニアの香りはのこしてもこのあたたかさは失っているのかもしれない。
 そしてビュテラもそれを承知し、その味を出すためにイギリスの名門、ジャーマイン社にブレンドを託したのではないか。などと想像をたくましく飛躍できる。
 灰褐色のバージニア葉に黒いペリク葉がまじる色合いはじつはG.L.ピースの「ストラトフォード」に似ている。しかしピース社のはバージニアの香りとペリク葉それとケンタッキー・バーレー葉の香りがモザイク状に漂うが、ダンパーではバージニアとペリクの味がまるで印象派の絵画のように境界線を見せずに混色され、なんともいえない心地よさがある。このあたりはイギリス伝統製法の永年にわたり成果なのだろう。G.L.ピースはまだ若い。
 それにしてもバージニアとペリクのこの絶妙のまじりぐあい、ぼくの知る限りでは唯一無二である。
 うーん。これはしばらくエソテリカのほかのブレンドも試さなくてはいけないナ。

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by jinsenspipes | 2010-08-15 12:03 | エソテリカ | Comments(21)

ラットレー: ハローザウインド

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 ようやくこの銘品を手にした。100g缶だけだし、値段は桃山の倍、とても手が出なかった。100gというと日に一度やっても一ヶ月かかる。開封して一ヶ月たつと、保存に気をつけても味はかなり落ちる。100g缶は常喫の桃山だけにしていた。しかし海外通販だとかなり割安になるので決心がついた。
 うむ。やはり逸品だ! ラットレーの名作とともにいまのブレンダー、コールハス社の苦心の作ともいえる。
 缶をあけるとおなじみのストーブドバージニアの脂っこい匂い。それにまじって、おッ、果物の香りもするゾ。期待がふくらむ。火をつけると、ああ、旨いバージニア味に、お花の香り、果物の香りがする。これはすばらしい。しかし吸いつづけるうちにこのタバコはバージニア+ペリクだと気づいた。
 ラットレーの古いカタログには「バージニアオンリータバコ」としてオールドゴーリー、ハローザウィンド、ブラウンクルーニーが載っている(マーリンフレークはない。なぜかな?)。いずれもバージニア葉のみのタバコで、オールドゴーリーはイギリス伝統製法によるもの(つまりイギリスケーキから始まる製法)、あと二種はとくに記載がないがたぶんじっくりストーヴしたものと想像され、ブラウンクルーニーは「メロー」、ハローザウィンドは「ストロング(フル・リッチ)」と書かれている。たぶん当時はバージニア葉のみで作られ、製法によって味わいに差をつけたと想像できる。
 しかしコールハス社になってからはオリジナルの味をだすために独特の葉組が考案された。
 コールハス社のハローザウィンドの葉組は「ケンタッキー、バージニア、ペリクをプレスしてフレークにし、手でほぐしたもの」とされている。オールドゴーリーもブラウンクルーニーもほぼ同等の葉組である。つまり昔はバージニア葉のみで複雑な味を出していたが現在はペリクの助けを借りているということになる。これはぼくの想像だが、ここにあるケンタッキーはおそらく現在のアカディアンペリクに使われるケンタッキー・バーレー種ではないかと思う。
 そこで現在のラットレー・バージニア・タバコを比較してみると(ブラウンクルーニーは未見)オールドゴーリー(それとマーリンフレーク)のペリクはごくわずか、隠し味だが、ハローザウインドはペリクが強い。これはVaというよりVaPerといったほうがいいくらいである。そしてお花の香り、果物の香りはハローザウインドだけの特徴になる。
 そこで比較されるのはスリーナンズである。こちらもお花の香り、果物の香りがあるが、こちらはペリク味が前面にくる。ハローザウインドはいい香りはするが同時にストーブドバージニア味が、まるでダンヒルのロイヤルヨット並みに強く、ペリクがやや隠れている。コールハス社の狙いはこのあたりにあるのではないか。
 そう考えると、これはラットレーの銘品であるとともにコールハス社の自慢の逸品とぼくは思う。
 なしにろ100g缶を買ってしまったのだからしばらくは毎日、常喫しようと決めた。

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by jinsenspipes | 2010-08-02 21:35 | ラットレー | Comments(9)