Jinsen's パイプ

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アシュトン: ギルティプレジャー

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 このネーミングにこのデザイン。そこに惚れちゃった。
「罪ふかき快楽」。フフフ。
 ですね。
 アシュトンは1977年から84年までダンヒル社の理事を勤め、パイプ作りにも貢献した人物。84年にダンヒル社を去り「アシュトンパイプ社」を設立、独特のキュアリング技術を使ったパイプの評価は高いんだそうだ(ぼくは縁どおいが)。
 同時にロンドンのC.E.McConnell社と共同してパイプたぱこを発売するがMaConnell社は1989年に廃業、そのあとアメリカのマクレーランド社が引き継いで発売する(たぶん1998年頃)。ブレンドは6種で、Black Parrot、Brindle Sovereign、Old Dog、Original Old Church、Pebblescutである。
 しかし2005年頃(たぶん)マクレーランド社はアシュトンたばこ製造を破棄、以後はドイツのコールハス社が発売するがブレンド名がまったく替わっている。現在流通するコールハス社のアシュトンたばこは7種、Guilty Pleasure、Rainy Day、Consummate Gentleman、Artisan's Blend、Smooth Sailling、Winding Road、Gold Rushである。
 どうなってんだろう?
 なにかしら複雑な権利関係の匂いがしますね。
 それはさておき。
 このデザインとこのネーミング。そそられるでしょう? いいトシしたおっさんの秘密の情事。なにやら淫靡でそれだけに快楽に酔いしれる。ハハハ。ほんまにそんな味するんかいな?
 します! ほんとに甘く、淫靡、秘めた快楽の味がします! なんてそれは先入観のなせるワザだろうがなかなかの逸品でした。
 缶をあけたときから甘く、果実の酸味が漂う、マンゴーと説明されているがなるほどあのとろりとした感触がある。
 葉組は社の説明ではバーレー葉中心のキャベンディッシュのようだが、マイルドでほんわかしている。葉じたいの味はぼんやりしているかわりに最初から最後まで甘い香りと酸味が舌と鼻をくすぐって気持いいったらない。
 かたい話をすれば、マ、それだけの味だが、ぼくはこういうの好きですね。もともとバージニアフリークだが着香物もきらしたことがなくてたいていはアンフォーラかマクバレンのバニラクリーム、夜更けの一服にいい。これからはこの「罪ふかき快楽」を手許におき、若い頃の情事のあれこれを思い出しながらひととき夢ごこちをたのしもうと思う。

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by jinsenspipes | 2010-10-23 21:07 | アシュトン | Comments(0)

エソテリカ: アンド・ソー・トゥー・ベッド

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 エソテリカのダンバーを書いたとき986さんのコメントでラタキア物もいいと推薦され、これを注文した。ラタキア物は何種もあるようだがこれはネーミングに惚れちゃった。
 "And so to bed"は17世紀イギリスの役人、サミュエル・ピープスの、なんというか、常套句として知られるらしい。この人は晩年10年にわたり毎日日記を書き、これが貴重な時代の証言になった。1665年のペスト流行、1666年のロンドン大火災などの記述は貴重だが、大半の日記は「朝おきた。顔あらった。メシ食った」と小学生の作文ていど。そしてさいごは「And so to bed(そして寝た)」で終わっている。その「そして寝た」を商品名にするんだからなんとも人を食った話で愉快になる。おまけに商品の説明に「夜更けの一服に最適!」とくるから傑作だ。
 さて。このタバコ、缶をあけると黒い葉、赤い葉、黄色い葉がまじり、やや濡れた感じ、ラタキア臭がツンとくる。ぼくは昔のダンヒル965を思い出した。いまの965と違い、昔のは湿っていて(喩えが悪いが)肥だめのようなラタキア臭がツンツンしたものだ。それとそっくりである。
 で、吸ってみると、ウム、これはどうみてもバージニア、ラタキア、ペリクの標準イングリッシュ・ミクスチャーで、ただ熟成のぐあいが独特という感じだった。会社の解説によると、バージニア葉とメリーランド葉、それにギリシャのオリエント葉にシリアのラタキア葉とあってペリクの記述はない。しかし最初からやや甘酸っぱく塩味が利いた味が舌にきてそれがラタキア葉の香りといいハーモニーをだしているとぼくには感じられるのだが、これはもしからしたらメリーランド葉かオリエント葉の味なのだろうか。わからない。
 さらにその熟成度の独特さなんだがこれはちょっと説明しがたい。ご自分で料理するかたならわかると思うがおなじ肉や魚でも焼くか、炒めるか、煮るかで食感がだいぶ違いますよね。このミクスチャーはいうなれば「蒸した」という感触で、ダンヒルにもラットレーにもない独特の感触なんだ。そういえばジャーマインの「オリジナル・ラタキア・ミクスチャー」とか「ペリク・ミクスチャー」にこの感触があった気もするがあまり鮮明ではない。
 エソテリカはアメリカのビュテラのレシピ、イギリスの名門、ジャーマイン社がブレンドするが、この熟成感はひょっとするとジャーマイン社の古物のプレス機独特の香りなんじゃないかと思ったりもする。
 全体の印象は軽いラタキア物という感じで、すべての葉が丸く、柔らかく収まり、じつにマイルドな、心やすまる響きを伝えている。とりわけ突出したところはないがいつ吸ってもあきることなく、また戻りたくなる、なるほど就寝前に心を鎮める一服としてお休みの酒一杯とともにたのしみたい。

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by jinsenspipes | 2010-10-05 22:12 | エソテリカ | Comments(45)