Jinsen's パイプ

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マクバレン: バージニアNo1

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 デジタル時代の新世代バージニアたばこである。
 パイプたばこ初心者用の本やネットのサイトではお薦めたばこの筆頭にあがっている。
 バージニア葉オンリーの混ぜ物無し。リボンカットではなくフレークたばこをほぐしたレディラブトの葉である。よく乾燥していて清潔ムード。火つきも火持ちも抜群。
 火をつけると香り高いバージニア葉が匂う。ヘイ・タイブだがややクリーミーな感触がある。甘みもほどよい。蜂蜜だとする識者が多いからたぶんそうなのだろう。
 しかもこれはポーチ入りなのでお値段も気安い。ストレートなバージニアたばこを買おうとするならラットレーの半値、ダンヒルでも2割かた安いから初心者にはうってつけだ。
 しかしちょっと不満なのはバージニア葉の味わいの厖大なひろがりがこのたばこには感じられないことだ。たしかにバージニアの香りは高い。さらにクリーミーな感触とわずかの酸味は感じられるがそこからさきがない。
 ぼくのような年寄りだと音楽をたのしむのはまずレコードで、中年になった頃にCDが登場した。このデジタル商品を初めて聞いたときは仰天したもので、何と音が悪く、粗雑な代用品かと思った。デジタル録音は可聴周波数の上限と下限をカットして数値化するから、たとえ意識されなくても上限と下限に無限にひろがる音帯域を収めたアナログ・レコードとは比較にならないほど音が貧しい。いままたテレビがデジタル化されるけれど電化製品店の店頭で見ているとアナログテレビの奥深さは失われているようだ。
 しかし、慣れというのは恐ろしいもので、いまや我が家にはレコード・ブレイヤーはなく、すべてCDである。もちろんデジタル技術の進歩もあるだろうがいまやぼくの耳も慣らされてしまったようである。
 このたばこが似たところがある。バージニア葉の基本は抑えているが、言葉ではいいつくせない微妙な味わいはきれいさっぱりカットされてる。ダンヒルにせよ、ラットレーにせよ、昔のブレンダーは生のバージニア葉をどう熟成すれば味わいが増すか、どう料理すれば、つまり蒸したり、炒めたり、圧力をかけたりすれば味をしぼり出せるか、苦心惨憺だったと思う。その結果、ダンヒルのロイヤルヨットのようなストーブドバージニアの傑作ができた。あるいはサミュエル・ガーウィズのほんわかのどかな味わいができた。
 しかしイギリス以外のいわゆるDutch & Dane(オランダとデンマーク)ではバージニア葉とバーレー葉にふんだんに調味料をいれてキャベンディッシュを作り、新奇な味わいを創造するほうに関心があった。その結果、オランダのアンフォーラのようなキャベンディッシュの傑作ができたのだが、バージニア葉の追求はおろそかにした。
 このバージニアNo1はデンマークのマクバレン社が1957年に発表、バーレーもキャベンディッシュも含まないバージニア葉オンリーのたばことしては初商品化なのでそれなりに気負いもあり技術もこめられていると思うが、やはり垣根は越えられなかったようだ。
 いや、しかし音楽のCDがナチュラルな響きは失ったかわりに別の側面で新音楽の可能性を追求しだしたとおなじでマクバレン社は昔のイギリスの夢に追従することなくパイプたばこの新側面に挑戦すればいいと思うし、実際、バニラクリームのような傑作があることだからこんな比較も無用かもしれない。
 またまた年寄りの愚痴になっちゃったな。

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by jinsenspipes | 2011-01-10 16:57 | マクバレン | Comments(22)