Jinsen's パイプ

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W. Ø. ラールセン: ファイン&エレガント ( Fine & Elegant )

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 夏になると酸味のきついたばこが吸いたくなる。それもバージニアのほのかな酸味でなく柑橘系の香料たっぷりの酸っぱいたばこである。前にセリーニを書いたがラールセンのこれも酸味では劣らない。
 このたばこはデンマークの老舗パイプメーカー、ラールセン社の近年の商品で、最初買ったのは2006年11月。じつはショップでサンプルをいただき、おいしいのですぐ買った。同社の新ポーチ物が4種、日本で発売され、これが一番気に入った。発売当初は「フレッシュ&エレガント」という名前で通称ラールセンの青と呼んでいたが、しばらくしたら名称がいまの「ファイン&エレガント」に変更した。なぜなんだ?! あるいは前の名前が他社の登録ズミだったとか。しばらく吸っていたがその後あいだがあり、この夏、また吸いたくなってショップにいくとこんどは包装が変わっていた。写真にある手前の右がいまのポーチ。まわりにあるのは押し入れ放りこんであった昔の青のポウチである。
 あけると、強い酸味、オレンジというよりライムに近い。それとチョコレート風味、もう一つ熟した果実の香り、レーズンというところだろうか。火をつけると味がまったくそのまま、酸味+チョコレート+レーズンである。葉組はキャベンディシュ+バージニア+バーレーとされているがぼくはキャベンディッシュ味しか感覚できず、それもごく微かである。ほとんどこの香料の強い味に消されてしまっている。
 イギリスたばこは徹底してバージニア葉の追求、それに対抗してDatch & Dane、つまりオランダとデンマークが香料たっぷりで味つけしたキャベンディッシュたばこを送り出したことは前に書いたが、Datchのキャベンディッシュの銘品、アンフォーラにはバージニア味がしっかり残っている。しかしDaneのこのたばこにはバージニアが痕跡としか感じられない。もちろんラールセンのこの新商品がデンマークの代表たばことはいえないだろうがなんとなく北にいくにつれてバージニア味がうすれているような感触はのこる。
 海外のたばこレビューにこんなのがあった。
「レーズンとレモンの強烈な香りがバーレー、キャベンディッシュ、バージニアのミクスチャーにふりまかれ、その味を殺している。ルームノートは悪くないがこの匂いは蚊を寄せつけそうだ」
 アハハ。何もそんなにケナさなくてもよさそうなものだがよほど勘にさわったらしい。
 イギリスたばこのバージニア追求を至上とするかたには邪道とみえるかもしれない。じつはたった今、ラットレーのマーリンフレークをやったばかりだが、やはりこの奥の深さ、バージニア葉だけから甘み、酸味、花の香りやら樹木の匂いやら、宏大な宇宙を引き出してる凄さはイギリスたばこならではである。それと比べるとラールセンのこれはミントタブレットのFriskみたいなものだ。お口にいれれば、ほーれ、Sharpen you up ! ひととき清涼感を味わえる。ただそれだけ、深みも奥行きもないが、マ、いいじゃない。
 げんにマーリンフレークだ、FVFだといってるぼくがときどきフッとこのFriskをやりたくなってショップに走る。朝の一服と夜の食後の一服はさすがに手がでないが、暑い夏の日中、クーラーの利いた部屋でぼんやりしたいときはひょいと手がでるのである。
 Sharpen you up !

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by jinsenspipes | 2011-08-15 22:21 | W. Ø. ラールセン | Comments(27)

サミュエル・ガーウィズ:  バルカンフレーク ( Balkan Flake )

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 ガーウィズ・ホガース社の「バルカンミクスチャー」につづくバルカン物である。
 缶を開けるとフルバージニアフレークによく似たフレーク。さっそく1枚をまるめてダンヒルの2番のビリヤードに詰めてみた。この小ぶりなパイプだと1枚でちょうどいい。
 火をつけると、ムムム、GH社のにそっくりじゃないの。甘みと酸味がかなり強く、マイルドな味わいにわずかにラタキアが香る。そのベースがやはりGH社のに似てバージニア+オリエントのアマルガム、つまり調合して変質した独特の味、といいたいのだが、しかし、待てよ。GH社の葉組はバージニア、オリエント、ラタキアだがこちらはバージニアとラタキアのみ。オリエントはないはずなのだ。
 これはどういうことだ!
 通説によると、バルカンブレンドはオリエント葉を配合した独特の味とされている。バージニアにラタキアとオリエントを配合するのはふつうのイングリッシュブレンドもおなじだがGH社の「バルカンミクスチャー」を吸った印象ではやはり一線を画している。イングリッシュブレンドだとラタキアとオリエントはあくまで香りづけの添加物だがバルカン物は調合の過程でバージニアとオリエントがたがいに影響しあって変質する、アマルガム状になるとぼくは推測した。GH社のはまさにそれだ。
 しかしこちらはオリエント抜き、それでおなじ味わいがあるとすると、考えられるのはフレークのせいかもしれない。GH社のはミクスチャーだから変質は熟成の過程でおきるがこちらはフレークなのでバージニアとラタキアを加熱圧縮する過程でおなじアマルガムがバージニア=ラタキア間でおきるのではないか。いや、これは素人考えにすぎないけどね。
 ラッキーなことにGH社のがまだのこっていた。しめしめと比べてみると、がーん! やはり違うのだ。比べて初めて気づいたがGH社のベースはやはりオリエントの香りがのこっていた。こちらは、それと比べると、バージニア色が濃い。しかし同時に吸い比べないかぎりその違いは感覚できない。どちらもマイルドで心地よい、わずかに漂うラタキアの香りがじつに涼しい。
 バルカンブレンドと呼ばれるたばこ、それがいつ頃から、どんなタイプに命名されたかは日本人には謎だが、GH社、SG社老舗のたばこから推測すると葉組よりこの喫味にあるようである。葉組がおなじでも、ヨーロッパ大陸に腰をすえたイングリッシュブレンドはあくまでもバージニア葉をたのしむたばこでオリエント、ラタキア、ペリクは調味料にすぎない。バージニアの味と香りがしっかりしてないとイングリッシュブレンドとはいえない。
 いっぽうバージニア葉の強烈な味をやや隠し、そこにわずかにラタキアの燻製臭を漂わせる。喫味は甘口、マイルド、涼しく、ラタキアがアクセントになるがさほど強くない。さらにSG社のバルカンフレークだと後半に果実の香りのような心地よい甘い匂いが漂って気持いいったらない。このあたりがバルカン物の存在理由なのではないかと推測した。
 ぼくはこのバルカンフレークが気に入ったが、フレークというのも利点の一つである。おなじたばこならリボンカットよりフレークのほうが断然吸いやすい。ゆる詰めもかた詰めも関係無し、板状だから二つ折りか四つ折りにして詰めれば会社が計算した通りの詰めぐあいになる。煙道に葉が詰まることもなく、タンパーなんていらない。自然に燃えるままにしておけばいい。ただ板の一端に火をつけるわけだから最初の着火がめんどうでマッチ4、5本は必要。吹き戻しを多めにして火をたいらにまわしてやればあとはひとりでに燃えてくれる。それもゆっくりネ。フレークをほぐして吸うなんて話を聞くことがあるがわざわざ旨いたばこをまずくしてどうするんだろ。気がしれない。
P.S
 このたばこの缶にはバルカン半島の地図がうっすら見える。あいにく警告表示に隠れているが、背景の地図帳と見比べてください。SG社はこういう遊びもたのしい。

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by jinsenspipes | 2011-08-03 17:02 | サミュエル・ガーウィズ | Comments(10)