Jinsen's パイプ

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study: ダークケンタッキーの謎 ( Mysterious Dark Kentucky )

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 少し前にペーター・ハインリヒの「ダークストロングフレーク」のレビューを書いた。
 このたばこはオーリック社の「ダークケンタッキー」と中身はおなじらしい。そちらが2007年にアメリカ市場から姿を消したあとファンのみなさんはこれに鞍替えしたようなのである。
 しかし、会社が違うのに中身がおなじなんてある得るのだろうか? ずっと疑問だった。
 ネットで調べても記事がない。ところがあるドイツ語の記事にそれらしい記述がみつかり、めんど臭いけどgoogleの翻訳で読んでみると、あった! そのあとドイツのネット記事を漁っていくうちに、あるある、どうやらドイツではよく知られた話題であるらしいのだ。
 もっともドイツでも真相は不明で、ただこのたばこのファンが、Aたばこ店のハウスブレンド(自家製たばこ)「AA」とB店のハウスブレンド「BB」は同一か? といった話題があちこちに登場していた。
 ドイツに「Pfeife und Tabak」(バイプとたばこ)いうサイトがあるが、ここのフォーラムでは10年前からたびたび話題にのぼり、ついにオーリック製「ダークケンタッキー」と中身がおなじハウスブレンドの一覧表まで掲載されていた。おもしろいので参考に転載しておく。左がたばこshop名、右がその店が販売しているハウスブレンド商品名である。
「Pfeife und Tabak」http://www.pfeife-tabak.de/

「たばこshop名」「商品名」
Peter Heinrichs _____"Dark Strong Flake"
Pfeifenstudio Frank __"Black and White"
Thomas Behrend ____"42"
Pfeifen Bier _______ "23"
Schneiderwind______"Darley Moor"
Diehl_____________"Special Blend The Tiger"
Tabakhaus Bielefeld Crüwell__"45"
Tabak-Keistler______"Bivisible"
Rauch in Wetzlar_____"Tabakskollegium Nr. 3"
Bonner Pfeifen&Cigarrenhaus___"Nr 29"
 このたばこがすべてオーリック製「ダークケンタッキー」だとされているから凄い。
 なんでこんなことがありうるのか? 真相はまったく不明だ。ただこれらのshopのハウスブレンドはいずれもドイツのコールハス社に製造委託している。そこで推測としてデンマークのオーリック社とドイツのコールハス社のあいだに何らかの契約があり、ドイツ国内に限って販売(あるいは製造も)を許可しているのではないか、という説が読めた。
 うーん。またまたぼくにはよくわからない不思議がでてきた。そういうことが裏でこっそりなされているとしてもネットに堂々と一覧表まで公開されているとはネ。
 アメリカではG.Lピースがおなじ製法のたばこ「ジャックナイフ」を昨年発表している。いまのところこのたばことオーリック製を比べた記事は見当たらない。ドイツのサイトには「ジャックナイフ」はまったく登場せず、これを評したアメリカのサイトにはオーリック製はでてこない。
 ぼくはペーター・ハインリヒの「ダークストロングフレーク」が気に入り、ここのところずっと吸いつづけている。ほんとはオリジナルであるオーリックの「ダークケンタッキー」、G.L.ピースの「ジャックナイフ」を手に入れ比べてみたいところだが出来ずにいる。どなたか両方体験されたかたがいらっしゃったらぜひ感想をお聞かせください。

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by jinsenspipes | 2012-06-30 11:58 | オーリック | Comments(0)

ガーウィズ・ホガース: アメリカンデライト ( Gawith Hoggarth: American Delight )

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 ガーウィズ・ホガースのカタログに「アメリカン」と名づけたたばこが数種類ある。「アメリカンバニラ」「アメリカンウィスキー」などあっていずれも同社ご自慢のブラックキャベンディッシュに香りづけしたものである。そのシリーズの「アメリカンデライト」の説明に気になる箇所があった。
「このたばこはレイン社の『1-Q』のガーウィズ・ホガース版です。ケーシングとトップドレスに丸く、甘い香りを漂わせた着香ミクスチャーであります」
 エッ!?
 レイン社の「1-Q」は前に書いた。これは同社の看板たばこ、キャプテンブラック(青)のバルク版で、アメリカでもっともポピュラーなパイプたばこである。それのそっくりさんですなんてことを売り文句に書いていいものですかネ。ウィスキー会社が「我が社の『イングリッシュジョイ』は『ジョニーウォーカー黒ラベル』の我が社版です」など書こうものなら本家が青筋たてて怒鳴り込んでくるんじゃないかしら。
 で、とりあえず買ってみた。日本では2ozの缶入りが流通しているが、1-Qがお気に入りというわけでもなく、ほんとにそっくりなの? という好奇心からなので1ozだけバルク買いしてみた。
 いや、まったくそのものでした。バニラと焦がし砂糖風味、ちょっとフルーティな酸味、目隠しテストしたらまずわからない。たまたま前の1-Qがのこっていたので比べてみると、1-QはとにかくPG臭がきつい。こちらはそれがないだけである。ただこちらにもわずかなPGは加えられているらしく、強く吸い込むとPG臭がくることがある。それと本家はさすがに着香の香りが強く、GH版はややマイルドであっさりしている。
 しかし、このそっくりさん、GH社はどういうつもりで作ったのだろうか? イギリス人独特のユーモア精神の作だとすれば、アハハで笑ってすませる。このていどのたばこなら、ホレ、作ってやるというつもりだと、なにやら侮蔑の悪感情がうかがえる。アメリカ人はこれが好きなんでしょ。じゃんじゃんお買いなさいというなら商魂たくましすぎる。第一、アメリカ人なら本家の1-Qを買うだろうからいったいこれはどの国の購買層を狙ったものかまるでわからない。
 パイプたばこの世界にはぼくには不可解な謎がたくさんあるようだ。
 Altadis社のMatchシリーズにはDunhill 965 Matchなどとそっくりさんがたくさん販売されている。それを評したレビューを読むと、往年の本物そっくりとか、ちょっと違うけど旨いたばこだとか、書かれているが、現行商品としてあるオーリック社製Dunhill 965と比べてどうなのかという点には触れてない。パテントとか商標権とか、どうなってるんだろうか?
 とまァ、ここのところそんなことをあれこれ、推理してみたり、ネットの記事を漁ってみたり、してるんですがね。

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by jinsenspipes | 2012-06-28 11:27 | ガーウィズ・ホガース | Comments(4)

マクバレン: HHアカディアンペリク ( MacBaren: HH Acadian Perique )

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 アカディアンペリクを商品名にした最初のたばこだろうとぼくは思う。
 ペリクに本物ペリクと偽ペリクがあるのを知ったのは2年前、ひさしぶりにスリーナンズを買い、あれ? ペリクがこないゾと感じたときである。そのときの感想は2010年1月23日のぼくのブログにあるし、その後わかったことも後日の「ペリクの真実」にあるのでご覧ください。
 ペリクはルイジアナ州セントジェームズパリッシュ地区だけに育つ特殊なペリク葉を使うが、その生産量は年々激減し、絶滅寸前においやられた。そこで生産農家は市場に多量に出回るグリーンリバーバーレー葉を買い、同様のプロセスで偽ペリクを作り、わずかな生産量の本物ペリクを混在して出荷するようにしてきたがそれも先が見えてきた。
 この窮状を知ったマーク・ライアン(手巻きたばこのD&R社の経営者)は2005年、現地に残る唯一のペリク製造工場、L.A.Poche社を買収、ほかの弱小生産農家が栽培するペリク葉をすべてここに集結させ、ペリク生産の再建にかかった。Poche社は市場に送り出すペリクを2種にわけた。1種は本物ペリクだが、実際これが市場に出荷されているかどうかはわからない。ほとんどないだろう。もう1種は本物ペリクに偽ペリクをブレンドしたもので、これをアカディアンペリクと命名する。それ以後、世界中のたばこ会社はマーク・ライアンのPocheからアカディアンペリクを購入している。
 これが真相である。ペリク入りたばこを作る世界のたばこ会社もこの事実はあからさまにしてないが、2009年、シカゴのパイプ見本市にマクバレン社の「HHアカディアンペリク」が登場、Poche社のアカディアンペリクを使っていることを世界に公表した。
 さて。どんなものか。期待と不安が半ばしながら100g缶をあけた。
 ペリクにしてはやや乾いた葉。香りもマイルドで少し甘い。昔のスリーナンズはじくじくに湿り、ツンとくる熟成臭が強烈にきたものである。火をつけると、うむ、予想通り、往年のペリクとは違うが、しかしこれはおいしいたばこだった。
 かってのペリクたばこはバージニア葉+ペリクで、すっきりしたバージニア味にペリクの甘みと酸味がとろとろにからみつき、豊満な年増女の色気を思わせるものがあった。しかしこちらはケンタッキー葉の味が強く、そのややとがった味にアカディアンペリクの淡白な甘みと酸味がからむ。さらにここにはオリエント葉も加わる。昔のペリクがバージニア葉をとろけさせているような感触だったのに比べると、こちらはケンタッキー、オリエント、ペリクのミクスチャーというところである。葉組はほかにマクバレン自慢のキャベンディッシュとバーレーを追加し、この会社独特の丸みをつけている。
 予想通り往年のペリクとは違うが、40年前のペリクを知る老人がいつまでも昔の味に固執してもはじまらない。それよりもここにはペリクの現状と未来にたいする明瞭な解答がある。昔のペリクの復活が望めないなら、いまのペリクを使ったおいしいたばこを作った会社が勝なのだ。
 G.L.ピースはアカディアンペリクはそれ自体おいしいたばこだと書いている。ぼくもそう思うようになってきた。昔の純正セントジェームズパリッシュ産ペリクを唯一の物差しにすればこれは偽だが、開き直って新種のたばこと考えればおいしい。とくにマクバレン社のこれは多種のたばこ葉をブレンドして微妙な味を演出し、ときに一瞬、ふっとケンタッキー葉が香ったりオリエント葉が香ったり、この甘みはキャベンディッシュだなと思わせたり、複雑なおもしろみもある。
 ブレンド名の「HH」はマクバレン社の創設者、Harald Halbergのイニシャルで、シリーズ化され、これまで「HH」シリーズは3種、このほかにVintage SyrianとMature Virginiaがある。ペリク、ラタキア、バージニアと、パイプたばこの芯となるところにマクバレン社は21世紀の挑戦を仕掛けてきたことになる。
 イギリスの名門会社は伝統にどっぷり浸かっているが、デンマークのこの会社は未来めざして駆け出している。ぼくもようやくパイプたばこ界の現在進行形に追いつくことになったのかなァ。

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by jinsenspipes | 2012-06-03 16:29 | マクバレン | Comments(6)