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journal: C&D社のクレイグ・タイラー氏、逝去

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 C&D社の創設者、クレイグ・タイラー ( Craig Tarler ) 氏が9月4日 ( アメリカ時間 )、82歳の高齢で逝去された。
(昨夜、9月5日深夜にPipes Magazine社から緊急通知をいただいた)
 クレイグ・タイラー氏は1990年、C&D社 ( コーネル&ディール、Cornell & Diehl )を創設した。この会社の前身の歴史は古く、1880年代にニューヨークで創設されたThe Atlas Blending社がそもそもである。この会社はアメリカたばこよりむしろイングリッシュ・ミクスチャーに関心があり銘品レシピを数多く世にだした。
 1950年代にたばこブレンダーとして著名なJack Cremerがこの会社を買い取り、拠点をペンシルバニア州Carversvilleに移したが1972年、Cremerは引退、Sol LefkowitzがAtlas Blending社を買いふたたび会社はニューヨーク(こんどはロングアイランド)に戻った。そして社名をThe Amar Blendsとかえた。この会社のマーケティング部長だったのが若きクレイグ・タイラー氏である。
 1990年、Lefkowitzは会社を売却する意向を示し、クレイグ・タイラー氏がこれを買い、社名をコーネル&ディール社とした。この社名はクレイグ・タイラー氏のミドルネームと奥さんのパティさんの結婚前の名前をとったものである。
 1994年、会社はニューヨークのMorgantonに新社屋を建てた。
 G.L.ピースのたばこはすべてC&D社が製造し、ピース氏とタイラー氏の仲は広く世に知られている。
 詳しい記事はここにあります。
http://pipesmagazine.com/blog/pipe-news/broken-pipe-craig-tarler/
(クリックでとべます)

 ご冥福をお祈りします。
 jinsen 2012/9/6 1時43分

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by jinsenspipes | 2012-09-06 01:33 | Comments(4)

study: スモーカーズヘイヴンというお店 ( Smokers' Haven )

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 エソテリカを書いた記事でたばこshop、Smokers' Havenにふれたので補足しておきたい。
 この名店はソブラニー社、ジャーマイン社と密接な関係があり、そのハウスブレンドはアメリカの喫煙者の愛好品だった。

 1940年、Joseph Zieveと妻そして義兄のSid Ritterがオハイオ州コロンバス市にSmokers' Havenを開店した。以後、代替わりする1987年までこの店は世界でも有数のパイプとパイプたばこshopとして名声を馳せた。
 ハウスブレンドも数多くあり、それはすべてソブラニー社に製造委託した。銘品バルカンソブラニーを送り出したロンドンのたばこ製造会社である。
 しかし1980年、ソブラニー社は廃業することになり、その際ソブラニー社の責任者、Dr.RedstoneはSmokers' Havenの評判ブレンドが絶えることを惜しみ、後継の製造会社としてロンドンのマッコーネル社とジャージー島のジャーマイン社を推薦した。しかしZieve氏はマッコーネル社のMick McConnellとそりが合わず、ジャーマイン社を選び、以後ソブラニー社のレシピ通りハウスブレンドを製造することになった。
 ところが1983年、Zieve氏は引退してSmokers' Haven店を売却した。店は衰退し、昔日の面影はなく、わずかに葉巻の売上に頼るていどで当然ハウスブレンドたばこも姿を消した。
 この頃、ジャーマイン社のたばこのアメリカ輸入代理人はSteve Richmanだったが、彼の思いつきで、それまでジャーマイン社が委託製造してきたSmokers' Havenのハウスブレンドを新しいシリーズ名で売り出すことにした。これがエソテリカである(正確にいうとEsoterica Tabacciana、訳せば「秘伝の古たばこ」となるか)。旧ブレンド名にかわってつけた名前はすべてイギリスの港湾都市の名をとった(「And so to bed」だけは例外)というからよほど急いだやっつけ仕事だったようだネ。
 しかしせっかくのエソテリカだが、そののちSteve Richmanはすべての権利をアメリカの名パイプ製造者、ビュテラの会社に売却、ためにエソテリカはビュテラのブレンドとして世に知られることになった。なぜ売却したかの理由は不明だがSteve Richmanはその後カリフォルニア州オークランド市にたばこshopを開店しているのでそれが契機になったともいわれている。
 ぼくが買ったドーチェスターの缶にも「ビュテラ社向けにジャーマイン社がブレンドした」と明記されているがそのビュテラ社も2002年にパイプたばこ部門をArango社に売却している。エソテリカは今後どうなるのだろうか。ジャーマインが製造するのはたしかだから同社のエソテリカということになるのかもしれない。
 さてSmokers' Haven店のハウスブレンドは人気商品だったので、名をかえたエソテリカのどれがどれかだというたのしい議論がときどき話題になる。ある識者によるとつぎのようだという(左がSmokers' Havenのハウスブレンド名、右がエソテリカのブレンド名)。

Our Best Blend = Margate
Cognac = Pembroke
20th Anniversary = And so to bed
Krumble Kake = Penzance

 とくに名品Krumble KakeがエソテリカのPenzanceだとする意見は広く流布し、G.L.ピースも「そのものとはいい難いが非常に近い。Penzanceのほうがややラタキアが多い。もしKrumble Kakeを手に入れて比べられれば失望しないだろう」としている。しかしそのPenzanceもまた現在入手困難で、ある愛煙家が代替品としてG.L.ピースのQuiet Nightが同等品と指摘すると、ビースは「同等とはいえないがスタイルは類似する。私の感じではQuiet Nightのほうがやや甘く、味が複雑だが、充分満足するだろう」と返答している。
 やや余談になるが、さらに大胆な意見を述べる好事家もいる。ソブラニー社はSmokers' Havenのハウスブレンドに自社のバルカンソブラニーを封入して出荷していた形跡があるというのだ。その説によるとOur Best Blendはバルカンソブラニーそのもの、エソテリカには移されなかったがExotiqueはバルカンソブラニー#759(いわゆる黒缶)だという。この説にはあるていど裏付けがあり、ソブラニー社とギャラハー社の関係(ソブラニー社は1968年にUKの大手、ギャラハー社に買収され、1980年、廃業の際、バルカンソブラニーの権利一切をギャラハー社に売却した)などがからんでいるのだが、当時両方を吸った経験者から、たしかにおなじだったとか、Our Best Blendを買ったらなかにバルカンソブラニーのライナー(缶におさめた説明カード)が入ってたとか、いろいろ意見がでてきておもしろい。たばこに限らずおいしいものにたいする人間の執着心にはなみなみならぬものがある証拠だネ。

 Smokers' Havenのその後だが、1987年、ふたたびオーナーがかわり、Arvind Chhedaとなり、1999年からはその子息、Premal Chhedaが継いで現在に至る。現オーナーは2002年にふたたびジャーマイン社と提携し、往年のハウスブレンド再発売を宣言した。同社のネットサイトにはOur Best Blend、Krumble Kake、Exotiqueなど銘品が掲載され、アメリカのたばこレビューを読むと実際にこれを吸ったかたのレビューもあるが、いまサイトをみると銘品は欠品し、レビューもここのところ途絶えている。いっとき出荷されたがその後ジャーマインからの入荷はないようである。
 しかしこの最発売たばこもジャーマイン製、エソテリカもジャーマイン製となると「Krumble Kake=Penzance」としてメーカーはどう違いをつけているのだろう。ますますわからなくなる。

 Smokers' Havenの現在のネットサイトは下記である。
http://www.smokershaven.com/
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by jinsenspipes | 2012-09-04 21:08 | Comments(9)