Jinsen's パイプ

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マクレーランド: 5115 オールドワールドクラシック ( McClelland: 5115 Old World Classic )

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 3年もほっておいた5100をあらためて吸い、感動して買いこんだマクレーランドのバルク物4種、さいごは5115である。
 果実味たっぷりの2035、極上オリエントの2020、ペリク入り2015。ストーブドバージニアから典型的イングリッシュミクスチャーまでバージニア葉の生の魅力をたのしんだあと、こんどは着香バージニアである。紹介文にはこうあった。
「最良のレモンバージニアとオレンジ-レッドバージニアをブレンドし、生のフルーツエッセンスで強調、熟成させてケーキにしました。わずかな甘み、充分クリーミィ。興味をそそります。伝統製法による熟成バージニアたばこの最良品です」
 ケーキを削りだしたものでやや固く、わずかに湿り気がある。2035とおなじで掌で揉みしだいてボウルに詰めた。
 2035に似た味わいである。バージニアにぼく好みの青臭さがある。これはレモンバージニアなんだろうが、それにレッドバージニアのトースティな味がときどき混じり、心地よい。そして、やあ、かなり強い酸味がある。この酸味はいわゆるcitrusである。秋の酸味果物、カボスやスダチを思わせる。
 よく酸味と書くが、これも多種あり、2035のように甘みが強いのはフルーティ、マンゴーのような丸い酸味である。ペリクの酸味はもっと熟した、腐敗寸前といおうか、もうちょっとで酒になってしまう甘酸っぱさ。この5115は刺激的な酸味で、夏になるとみなさんレモンを絞ってレモネードを作るがあのキリッとした感触に似ている。
 その酸味とともに甘さがあるがこれは着香の甘さ。ところがしばらくやってると、この着香の酸味と甘みのうしろにバージニア葉の自然な甘みがあらわれてくる。着香の甘さは、たとえばアンフォーラ、舌とか唇あたりに感覚できる砂糖甘味であり、一方、たばこ葉の甘みはもっと深いところにあり、吸ううちに感覚できる。
 2035と似ていると書いたが、そちらの果実味はバージニア葉をストーブしてにじみ出した味、こちらのctrus味はフルーツエッセンスを加味した味でやや直接的である。2035はバージニア味をたのしむうちに甘みや酸味を裏で感じる。こちら5115は甘みと酸味が前面にきて背景にバージニア味がある。どちらもそれなりにたのしめる。
 いま、ふと、アンフォーラを思った。これはキャベンディッシュたばこだが発想は5115とおなじだろう。2035をもっとも素朴、ナチュラルなバージニアたばことすると、5115はそこに含まれる属性、酸味や甘みを強調するためにフルーツエッセンスを加える。やや人工的になるが2035よりわかりやすい味になる。アンフォーラもおなじ発想だが、これはあらかじめしっかり味つけしたバージニア葉を加熱圧縮するので味が濃く、ナチュラルな風味がやや失われる。そのかわり味は一段とわかりやすくなる。マクレーランドは2035でもっともナチュラルなバージニア葉の味わいを、5115で着香してあるがさほど不自然でなくむしろわかりやすい味わいを提供したのだろう。
 おいしいたばこである。バージニア葉、2種のブレンドぐあいもいい、アクセントをつけたcitrusな酸味が素敵。甘みも充分あるし、とくに後半はクリーミィな感じもでてきた。しかしぼくは漠然とだが、このたばこ、もっと奥があるのではないかと感じた。さまざまな要素がそれぞれ主張し、ややとりとめない。調べてみるとネットの記事にこれがあった。
 G.L.ピースがたばこの保存と熟成について書いた記事はご存知と思う。真空パック保存、真空でないジャー保存、ポリ袋保存などの得失を科学的に記述して参考になる。ある読者がこれを実践し、3年ほど保存したところピース氏の指摘通りの結果だったと寄稿文を寄せている。このかたは5115を4通りの保存方法で3年、保存した。ポリ袋とジャーを使い、それぞれ空気入りと真空、2種、合計4種である。ピース氏はたばこの熟成には空気の存在が必要で、真空パックはパック前の状態を維持するにはいいが熟成は起こらないとしている。4種のうち空気が入ったままジャーに保存した5115は、3年寝かせてあけたところ「うっとりする」ほどおいしいたばこに熟成していたという。一方、真空にしたものはほとんど熟成のあとはない。ポリ袋に空気を入れたまま保存したものがつぎによく、やや乾燥していたがほどよく熟成していたそうだ。ピース氏によるとポリ袋は水分の遮断にはほぼ適するが分子の小さい香りは抜けやすいとしている。海外のパイプ党はたばこをメイソンジャーにぎちぎちに詰め、上を1インチほどあけて空気をのこすだけ、乱暴に保存しているが、単純だけど正解のようだ。
 ここしばらくマクレーランドのバルクを5種、書いてきたが、海外のレビューを読むと、数年寝かせるといいと書いたものが多かった。マクレーランドのたばこは缶入りは缶に詰めたあと2〜3年熟成して出荷する。しかしバルクにはこの製品後熟成はない。アメリカのパイプ党はこれをよくご存知のようである。とくにペリク入りの2015、上の記事にある5115は、熟成の要ありのようである。
 ぼくはたばこの買いおきはいっさい無く、買って吸うの右から左、生来の貧乏性というかじっさい貧乏なのだが、マクレーランドのバルクたばこの熟成はやってみたくなった。
 3年熟成させると「うっとりする」ほどおいしい、というのは魅力だが、このたばこ、いまでも充分おいしい。citrusな酸味と甘みをまとったバージニアは真夏にレモネードで舌を冷やしながらやるたばこの爽快感がある。

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by jinsenspipes | 2013-06-18 20:58 | マクレーランド | Comments(2)

マクレーランド: 2015 バージニア・フレーク+ペリク ( McClelland: 2015 Virginia Flake + Perique )

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 マクレーランドの第四弾はペリク入りである。
 ペリクについては、ぼく、いささか修行しました。発端は昔のスリーナンズ。もう20年近く前になるか、スリーナンズはほかのどのたばことも違う驚きの喫味があった。
 缶を開けるとジクジクと湿り、プーンと強い刺激臭。まるで肥だめの臭い。これは撚ったロープたばこを輪切りにして作ったので、つまむと解けそうである。1個1個つまんでボウルに積み重ねていく。火をつけると、その臭気にまじって強い甘みと酸味がくる。甘く、酸っぱく、臭いたばこだったが慣れるとこれが病みつきになる。ああ、これがペリクなんだと思いこんだ。
 このブログを始めて2010年、ひさしぶりにスリーナンズを買うと、おや、まるで別物だった。コインたばこには違いないが、乾いているし臭気もこない。吸ってみるとあの味はなかった。いや、ごくかすかに名残りがあるていどだった。
 製造者がオーリック社になり、ロープたばこではなく、コルク板のように薄く圧延したたばこをくるくる巻いたものになった。しかもおなじみのペリク味がほとんどこないので調べてみると恐ろしい事実があった。
 ベリクはアメリカのルイジアナ州の小さな集落、セント・ジェームズ・パリッシュで作られるユニークな品種でこの集落で栽培するペリク専用の葉のみを使う。ところがこの葉の栽培農家が激減し、葉の供給が不可能になったので、ケンタッキーのグリーンリバー・バーレー葉を買い付けて製造を始めた。1980年以来市場に出回るペリクは本物とこの偽物をまぜたものか、あるいはほとんどすべて偽物だというのだ。
 この詳しい事情についてはぼくのブログに記事があるのでお読みください(クリックで別windowが開きます)。
 ペリクの真実
 ペリクの真実 - 追加記事
 また、2010年にスリーナンズを吸ったレビューはここにあります。
 ベルズ: スリーナンズ
 ベルズ: スリーナンズ -again-
(じつはいまのオーリック製スリーナンズはペリクを含まず、ケンタッキー葉のみだとする説が有力のようだ)
 その後ぼくのペリク探訪は続き、ジャーマインの「ペリクミクスチャー」、SG社の「セントジェームズフレーク」などにいきつくのだがそれらについてはそれぞれの過去レビューをお読みください。
 さて。そこで。マクレーランドの2015である。
 ご覧のようなブロークン・フレークで、火をつけると、ムムム、これはおいしい。しかしスリーナンズの記憶味とは違う。違うけれどおいしいという複雑な気持になった。
 たまたま大好きなジャーマインの「ペリクミクスチャーが空いていた。このたばこはおそらく昔のスリーナンズに一番近いものである。かなり強い刺激臭(つまり熟成臭なんだが)があり、甘みと酸味も抜群に強い。足りないのは昔のスリーナンズの濃さというかしつこさで、ややあっさり味というところである。ペリクは偽ペリクだと思われる。
 では2015はというと、これは製造者のポリシーがまったく異なるという感じである。
 ペリクは単体で吸うと甘みも酸味もなくただどんよりしているだけらしい。ところがバージニア葉と混ぜて熟成させるとがぜん真価を発揮する。甘み、酸味を急増し、つまりバージニア葉に作用してその特徴を倍増させるらしいのだ。
 そこでペリク入りたばこのポリシーが2つにわかれる。一つはスリーナンズの方向でそういうペリクの性質を最大限に発揮させ、これぞペリクたばこという真骨頂を作りあげる。もう一つは主体をあくまでもバージニア葉におき、ペリクはバージニア葉の味を強調するていどに止める。ラットレーのマーリンフレークや、オーリックのゴールデンスライスドはこのおだやかな使用例である。
 2015も後者の方向で、ただしペリク色はかなり強く、バージニア葉がまるで違う葉に化けている感がある。
 どうやらぼくの記憶にあるスリーナンズのペリクの使い方のほうが異例であり、ぼくはずっとそれを追いかけていたようだ。
 2015はそれを反省させてくれた。そして、いわばまっとうにペリクを調合したこのたばこは、やはりおいしい。

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by jinsenspipes | 2013-06-09 22:48 | Comments(6)