Jinsen's パイプ

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マクレーランド: スミルナNo1 ( McClelland: Smyrna No1 )

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 マクレーランドの「グランド・オリエンタルズ」シリーズ、その2である。
 このシリーズは2缶買ったが、前に紹介したイェニジェは有名なクサンチ葉の代表。一方こちらは今のトルコたばこの代表である。今、オリエント葉と呼んでいるのは以前はトルコたばこと総称され、かっての広大なトルコ帝国(オスマントルコ)領で産出されたたばこということだった。クサンチは、そのトルコ帝国領の、昔、マケドニアとよばれた地域になるが、今はギリシャの都市になっている。一方こちらスミルナは今のトルコのイズミル市の昔の呼び名で、大都市になり、ここで産出するたばこはトルコのたばこ輸出量の3/4を占めるという。ここのたばこはふつうイズミル葉と呼ばれるがマクレーランドは古い地名であるイェニジェに合わせて昔の呼び名を使ったのだろう。
 さてこのたばこ。缶を開けるとイェニジェとおなじ細かく砕いた葉だが、上にちょこんと、おまけでスミルナ葉の現物がのっていた。ずいぶん小さいたばこ葉である。なんだか期待感がいっそう高まる。
 火をつけると、ああ、イェニジェと似た甘くいい香りである。すばらしいハーブの芳香というところ。香りがイェニジェとやや違う気もするがこのあたりは言葉で書きようがない。少し吸ううちにイェニジェにはなかったスパイシーな味がきた。ちょっと胡椒味を思いださせる。甘みはイェニジェよりやや硬質、かわりに酸味がやや強い。さらに吸ううちにバターのようなクリーミーな味もきた。いや、これは複雑な味のたばこだ。
 イェニジェはとにかく香りたかく、ふっくらとやわらかい、比較していえば女性的な味で、スミルナはいい香りのなかにスパイシーでクリーミー、さらに複雑な味も秘め、男性的な味ということになるか。しかし、どちらも日頃のバージニア葉とまったく違うふっくらした香り、甘くやわらかい味わいがあり、この点は共通し、やはりこれがオリエント葉の特徴なんだろうと思う。うっとりする吸い心地である。
 さて。ぼくはオリエント葉の味をだいたいつかんだ。これからイングリッシュ・ミクスチャーをやるときはオリエント葉がどう配合され使われているか、見当つけられるだろう。ようやく人並みになったというところである。
「グランド・オリエンタルズ」シリーズにはあと6種の葉がある。マケドニア産では、有名なドラマ葉、さらにカテリニ葉、またイェニジェ葉にラタキアを配合したイェニジェ・ハイランダー。トルコ産ではこれもよく知られたサムスン葉、それとアゴンヤ葉。ほかにグルジア国のソクホム葉がある。いまのところはここで止めておき、しばらくしてこんどはドラマ葉、サムスン葉あたりをやってみたいと思っている。
 ところで。
 上の写真にジャーが見える。じつは郵送されたたばこの缶がちょっと凹んでいた。マクレーランドの缶はプルトップの缶詰だから開けなければ問題ない。しかし開けたあとプラスチックの蓋を被せたとき缶がわずかでも凹んでいると空気が漏れやすい。そこで開缶と同時にたばこをジャーに移した。
 識者の指摘だとマクレーランドのプルトップ缶はヨーロッパのコインツイスト缶より気密性が高いそうだ。コインツイスト缶は開けてしまえば気密性はほとんどなく、開缶時の味はせいぜい1週間、とくにSGなどの四角缶は2、3日で香りが抜けることがある。しかしプルトップ缶のほうは開けてプラスチックの蓋をするともう少しもつという。
 2oz(50g)缶は1日に3服ていどやる平均的パイプ喫煙者の1週間分だから、まあ、それでいいことになる。ぼくも1日に3服〜4服だが、ひとつの銘柄でなく、あっち吸ったりこっち吸ったり、常時3、4種のたばこが空いてるからうっかりすると1ヶ月放置したのが出てくる。本来なら缶から直接、デザインもたのしみながらやりたいところだが長引きそうなのはジャーに移すようにしている。今回はそういうわけですぐジャーに移した。

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by jinsenspipes | 2013-10-22 16:55 | マクレーランド | Comments(4)

マクレーランド: イェニジェ・シュブリーム ( McClelland: Yenidje Supreme )

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 マクレーランド社のオリエントたばこである。ぼくがマクレーランド社に関心をもったのはその世界一のオリエントたばこコレクションだった。世界一と書いたが、オリエント葉をこれだけ多種、網羅している会社はほかにはない。
 パイプを始めた頃は旨い、まずい、好き、嫌いだけだったがそのうちたばこ葉に興味をもちだした。バージニア、バーレー、ラタキア、ペリク、ケンタッキーはようやく味と香りを憶えたが、オリエントだけはいまだによくわからない。イングリッシュミクスチャーはバージニアとオリエントを基本とし、ここにラタキアやペリクを香料たばことして加えたものだが、どこまでがバージニア味でどれがオリエント味なのか判然としない。何年パイプやってんだ、と叱られそうで恥ずかしい。
 マクレーランド社の「グランド・オリエンタルズ」シリーズはなんと! オリエント葉だけ7種を集めた素晴らしいものである。じっくり味わえばオリエント博士になること請け合い。オリエント葉とひと口にいっても、クサンチ葉あり、ドラマ葉あり、サムスン葉あり、スミルナ葉あり、オリエント葉の特徴がわからないなんていってるぼくは初心者もいいとこ、じつは奥が深いのだ。
 手始めにイェニジェ葉(Yenidje)をやることにした。イェニジェ葉は有名なクサンチ葉(Xanthi)の一種だが、この名を高めたのはパイプ愛好家の伝説になっているバルカンソブラニーのおかげだった。この名品の缶に「イェニジェ葉を使用」と書かれていたためである。当時、オリエントといえばクサンチ葉が知られていてイェニジェ葉など誰も知らない。ある説によると、これは同社の宣伝の妙で、ヨーロッパでは無名の地名をだして高級感を煽ったというが、実際にイェニジェはクサンチと並ぶたばこ葉の名産地だった。しかしこの村は大火で滅亡し、まもなく復興はしたものの昔日の繁栄はなく、細々と生産したたばこ葉は隣り村のクサンチに出荷し、そこからクサンチ葉としてヨーロッパに出回っていたらしい。バルカンソブラニーはたぶんイェニジェ産の葉を選んで買い付けたのだろうし、マクレーランド社の説明によるといまでもイェニジェ村のあたりはクサンチ葉でも最良のものを産出しているという。
 さて。恐る恐る缶をあけた。
 まずきたのはおなじみのケチャップ臭だ。かなり強い。ちょっと気勢を削がれた。かなり細かく乾いた黒い葉と赤茶色の葉でさぞかしじっくり熱処理熟成がなされたのだろうと想像できる。
 火をつけ、一服やると、これは! すばらしい香りがきた。なんといったらいいだろう。甘くやわらかい、夢見心地にするハープの匂い、といおうか。クリーミーでロマンチック、これまでどんなたばこにもなかった新鮮な香りだった。これがオリエントだったのか!
 しばらくこの香りをたのしむうちにもう一種、やや違う味がきた。最初のは香りで、鼻をくすぐるが、こちらは舌にくる味。ちょっと硬質の、よくいわれるスパイシー味といおうか、ぼくの印象では最初のはオリエント葉の葉っぱの先端の香り、こちらは茎の味といったところである。
 うーん。ぼくが感じていたオリエント葉の印象はまったく書き替えられることになった。
 オリエントはふつうスパイシー味といわれるのでぼくはイングリッシュミクスチャーのやや硬質な部分、これがオリエントだと思っていたがそうではなかったのだ。オリエントはもっと甘く、やわらかく、香り高いものなのだ。
 たまたまSG社のスクワドロンリーダーが空いていた。これはバージニア、オリエント、ラタキアの典型的なイングリッシュミクスチャーである。で、これをやってみると、ああ! まぎれもなくそれがあった。このたばこはSG社独特の、甘く、やわらかく繊細なたばこだが、ぼくはそれはバージニア葉の熟成のせいと思っていた。そうではなく、この甘み、やわらかさはオリエント葉の特徴からくるもので、よくよく味わっているうちにイェニジェ葉に似た香りも、やや違うようだが、きた。
 イングリッシュミクスチャーでは、バージニア葉にラタキアで強い香りづけをする。ペリクは甘酸っぱさを追加する。そしてオリエントは、やわらかさとロマクチックな香り、とろける甘みを加える。そうだったのだ。
 バルカンソブラニーの伝説はこのイェニジェ葉の特徴を最大限ひきだし、さらにいま同等品は望むべくもないシリア産ラタキア葉で土の香りづけをした、そこに端を発したのではないか。
 マクレーランドのこのたばこは本物のオリエント葉の味と香りはこれなんだ、と事実をつきつけることで、世に出回る安物のイングリッシュミクスチャーの底の浅さを露呈させようとした。そんなことまで頭に浮かんだ。

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by jinsenspipes | 2013-10-05 00:05 | マクレーランド | Comments(10)