Jinsen's パイプ

マクレーランド: 5115 オールドワールドクラシック ( McClelland: 5115 Old World Classic )

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 3年もほっておいた5100をあらためて吸い、感動して買いこんだマクレーランドのバルク物4種、さいごは5115である。
 果実味たっぷりの2035、極上オリエントの2020、ペリク入り2015。ストーブドバージニアから典型的イングリッシュミクスチャーまでバージニア葉の生の魅力をたのしんだあと、こんどは着香バージニアである。紹介文にはこうあった。
「最良のレモンバージニアとオレンジ-レッドバージニアをブレンドし、生のフルーツエッセンスで強調、熟成させてケーキにしました。わずかな甘み、充分クリーミィ。興味をそそります。伝統製法による熟成バージニアたばこの最良品です」
 ケーキを削りだしたものでやや固く、わずかに湿り気がある。2035とおなじで掌で揉みしだいてボウルに詰めた。
 2035に似た味わいである。バージニアにぼく好みの青臭さがある。これはレモンバージニアなんだろうが、それにレッドバージニアのトースティな味がときどき混じり、心地よい。そして、やあ、かなり強い酸味がある。この酸味はいわゆるcitrusである。秋の酸味果物、カボスやスダチを思わせる。
 よく酸味と書くが、これも多種あり、2035のように甘みが強いのはフルーティ、マンゴーのような丸い酸味である。ペリクの酸味はもっと熟した、腐敗寸前といおうか、もうちょっとで酒になってしまう甘酸っぱさ。この5115は刺激的な酸味で、夏になるとみなさんレモンを絞ってレモネードを作るがあのキリッとした感触に似ている。
 その酸味とともに甘さがあるがこれは着香の甘さ。ところがしばらくやってると、この着香の酸味と甘みのうしろにバージニア葉の自然な甘みがあらわれてくる。着香の甘さは、たとえばアンフォーラ、舌とか唇あたりに感覚できる砂糖甘味であり、一方、たばこ葉の甘みはもっと深いところにあり、吸ううちに感覚できる。
 2035と似ていると書いたが、そちらの果実味はバージニア葉をストーブしてにじみ出した味、こちらのctrus味はフルーツエッセンスを加味した味でやや直接的である。2035はバージニア味をたのしむうちに甘みや酸味を裏で感じる。こちら5115は甘みと酸味が前面にきて背景にバージニア味がある。どちらもそれなりにたのしめる。
 いま、ふと、アンフォーラを思った。これはキャベンディッシュたばこだが発想は5115とおなじだろう。2035をもっとも素朴、ナチュラルなバージニアたばことすると、5115はそこに含まれる属性、酸味や甘みを強調するためにフルーツエッセンスを加える。やや人工的になるが2035よりわかりやすい味になる。アンフォーラもおなじ発想だが、これはあらかじめしっかり味つけしたバージニア葉を加熱圧縮するので味が濃く、ナチュラルな風味がやや失われる。そのかわり味は一段とわかりやすくなる。マクレーランドは2035でもっともナチュラルなバージニア葉の味わいを、5115で着香してあるがさほど不自然でなくむしろわかりやすい味わいを提供したのだろう。
 おいしいたばこである。バージニア葉、2種のブレンドぐあいもいい、アクセントをつけたcitrusな酸味が素敵。甘みも充分あるし、とくに後半はクリーミィな感じもでてきた。しかしぼくは漠然とだが、このたばこ、もっと奥があるのではないかと感じた。さまざまな要素がそれぞれ主張し、ややとりとめない。調べてみるとネットの記事にこれがあった。
 G.L.ピースがたばこの保存と熟成について書いた記事はご存知と思う。真空パック保存、真空でないジャー保存、ポリ袋保存などの得失を科学的に記述して参考になる。ある読者がこれを実践し、3年ほど保存したところピース氏の指摘通りの結果だったと寄稿文を寄せている。このかたは5115を4通りの保存方法で3年、保存した。ポリ袋とジャーを使い、それぞれ空気入りと真空、2種、合計4種である。ピース氏はたばこの熟成には空気の存在が必要で、真空パックはパック前の状態を維持するにはいいが熟成は起こらないとしている。4種のうち空気が入ったままジャーに保存した5115は、3年寝かせてあけたところ「うっとりする」ほどおいしいたばこに熟成していたという。一方、真空にしたものはほとんど熟成のあとはない。ポリ袋に空気を入れたまま保存したものがつぎによく、やや乾燥していたがほどよく熟成していたそうだ。ピース氏によるとポリ袋は水分の遮断にはほぼ適するが分子の小さい香りは抜けやすいとしている。海外のパイプ党はたばこをメイソンジャーにぎちぎちに詰め、上を1インチほどあけて空気をのこすだけ、乱暴に保存しているが、単純だけど正解のようだ。
 ここしばらくマクレーランドのバルクを5種、書いてきたが、海外のレビューを読むと、数年寝かせるといいと書いたものが多かった。マクレーランドのたばこは缶入りは缶に詰めたあと2〜3年熟成して出荷する。しかしバルクにはこの製品後熟成はない。アメリカのパイプ党はこれをよくご存知のようである。とくにペリク入りの2015、上の記事にある5115は、熟成の要ありのようである。
 ぼくはたばこの買いおきはいっさい無く、買って吸うの右から左、生来の貧乏性というかじっさい貧乏なのだが、マクレーランドのバルクたばこの熟成はやってみたくなった。
 3年熟成させると「うっとりする」ほどおいしい、というのは魅力だが、このたばこ、いまでも充分おいしい。citrusな酸味と甘みをまとったバージニアは真夏にレモネードで舌を冷やしながらやるたばこの爽快感がある。

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# by jinsenspipes | 2013-06-18 20:58 | マクレーランド | Comments(2)

マクレーランド: 2015 バージニア・フレーク+ペリク ( McClelland: 2015 Virginia Flake + Perique )

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 マクレーランドの第四弾はペリク入りである。
 ペリクについては、ぼく、いささか修行しました。発端は昔のスリーナンズ。もう20年近く前になるか、スリーナンズはほかのどのたばことも違う驚きの喫味があった。
 缶を開けるとジクジクと湿り、プーンと強い刺激臭。まるで肥だめの臭い。これは撚ったロープたばこを輪切りにして作ったので、つまむと解けそうである。1個1個つまんでボウルに積み重ねていく。火をつけると、その臭気にまじって強い甘みと酸味がくる。甘く、酸っぱく、臭いたばこだったが慣れるとこれが病みつきになる。ああ、これがペリクなんだと思いこんだ。
 このブログを始めて2010年、ひさしぶりにスリーナンズを買うと、おや、まるで別物だった。コインたばこには違いないが、乾いているし臭気もこない。吸ってみるとあの味はなかった。いや、ごくかすかに名残りがあるていどだった。
 製造者がオーリック社になり、ロープたばこではなく、コルク板のように薄く圧延したたばこをくるくる巻いたものになった。しかもおなじみのペリク味がほとんどこないので調べてみると恐ろしい事実があった。
 ベリクはアメリカのルイジアナ州の小さな集落、セント・ジェームズ・パリッシュで作られるユニークな品種でこの集落で栽培するペリク専用の葉のみを使う。ところがこの葉の栽培農家が激減し、葉の供給が不可能になったので、ケンタッキーのグリーンリバー・バーレー葉を買い付けて製造を始めた。1980年以来市場に出回るペリクは本物とこの偽物をまぜたものか、あるいはほとんどすべて偽物だというのだ。
 この詳しい事情についてはぼくのブログに記事があるのでお読みください(クリックで別windowが開きます)。
 ペリクの真実
 ペリクの真実 - 追加記事
 また、2010年にスリーナンズを吸ったレビューはここにあります。
 ベルズ: スリーナンズ
 ベルズ: スリーナンズ -again-
(じつはいまのオーリック製スリーナンズはペリクを含まず、ケンタッキー葉のみだとする説が有力のようだ)
 その後ぼくのペリク探訪は続き、ジャーマインの「ペリクミクスチャー」、SG社の「セントジェームズフレーク」などにいきつくのだがそれらについてはそれぞれの過去レビューをお読みください。
 さて。そこで。マクレーランドの2015である。
 ご覧のようなブロークン・フレークで、火をつけると、ムムム、これはおいしい。しかしスリーナンズの記憶味とは違う。違うけれどおいしいという複雑な気持になった。
 たまたま大好きなジャーマインの「ペリクミクスチャーが空いていた。このたばこはおそらく昔のスリーナンズに一番近いものである。かなり強い刺激臭(つまり熟成臭なんだが)があり、甘みと酸味も抜群に強い。足りないのは昔のスリーナンズの濃さというかしつこさで、ややあっさり味というところである。ペリクは偽ペリクだと思われる。
 では2015はというと、これは製造者のポリシーがまったく異なるという感じである。
 ペリクは単体で吸うと甘みも酸味もなくただどんよりしているだけらしい。ところがバージニア葉と混ぜて熟成させるとがぜん真価を発揮する。甘み、酸味を急増し、つまりバージニア葉に作用してその特徴を倍増させるらしいのだ。
 そこでペリク入りたばこのポリシーが2つにわかれる。一つはスリーナンズの方向でそういうペリクの性質を最大限に発揮させ、これぞペリクたばこという真骨頂を作りあげる。もう一つは主体をあくまでもバージニア葉におき、ペリクはバージニア葉の味を強調するていどに止める。ラットレーのマーリンフレークや、オーリックのゴールデンスライスドはこのおだやかな使用例である。
 2015も後者の方向で、ただしペリク色はかなり強く、バージニア葉がまるで違う葉に化けている感がある。
 どうやらぼくの記憶にあるスリーナンズのペリクの使い方のほうが異例であり、ぼくはずっとそれを追いかけていたようだ。
 2015はそれを反省させてくれた。そして、いわばまっとうにペリクを調合したこのたばこは、やはりおいしい。

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# by jinsenspipes | 2013-06-09 22:48 | Comments(6)

マクレーランド: 2020 メイチャードケーキ ( McClelland: 2020 Matured Cake )

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 第三弾である。5100、2035でバージニアの単体を2種、堪能したのでこんどは伝統的イギリスブレンドに手をのばす。イギリスはごく近年までたばこの着香を抑止していた。そのかわり、バージニア葉に、オリエント葉、ラタキア葉、ペリク葉をブレンドして味わいを広げた。これらの葉はイギリスたばこの着香剤だったのだ。
 とりあえずオリエント葉に目をつけ、マクレーランドのバルクのカタログからバージニア+オリエントの典型を探した。それが2020である。ぼくの読んだ同社の紹介文では、
「よく熟成したバージニア葉の甘さと味に、オリエント葉の独特の香りとやわらかさ、ゆたかさ、木の実風味をブレンドしました」
とある。
 やってみた。
 2020はブロークンフレークのようで2035ほど固くなくしなやかなので丸めて詰められた。火つきがやや悪い。やはり少し乾燥させたほうがいいかもしれない。
 火をつけると、ウウウ、これはまたとびきりやわらかい、ふっくらした味わいがきた。やや油っぽい、いわゆるオイリーという感じ。かなり強い酸味があり、茎茶のような独特の味わい、それにプラスして、英語だとearthyという形容詞があるが、春の野にでたときのかすかな土の匂い、そんな感じ。バージニア単体とはかなり違い、これがオリエント葉の味わいかと思う。そして、ああ、ラタキアが香るではないか。ふとこれもオリエント葉の属性かと思ったりしたが、じつはラタキア入りだったのだ。
 前に書いた2020の紹介文はある通販会社に載っていたものだが、別の通販会社を見るとまったく別の紹介文がのっていた。
「レモンバージニア葉とオレンジバージニア葉、それにオリエント葉のクサンチとラタキアをケーキに圧縮して熟成させ、このすばらしい、しかもヘヴィでない、特別やわらかく、滅多に味わえないゆたかなフレーバーをひきだしています」
 この2つの文章をくっつけて紹介文としているところもある。まあ、相反する内容でもないから、両方ありとして、やはりラタキアは入っていたのだ。
 この解説から改めて葉組を紹介すると、バージニア葉はいわゆるブライトリーフで2035と同等。オリエント葉はもっとも有名なクサンチ(Xanthi)葉で「たばこの女王」とされるもの。クサンチ葉はいまのギリシャ北部のイェニジェ(Yenidje)地方のものが最良といわれ例のバルカンソブラニーに使われていた。マクレーランドはバルカンソブラニーの再現にはとくにご執心でこのおなじ葉を使ったグランドオリエンタルズシリーズには「イェニジェ・シュープリーム」と「イェニジェ・ハイランダー」、2種のクサンチたばこがある。2種の違いはラタキアが入らないの(前者)と入るの(後者)である。このシリーズもベースにバージニア葉を使っているから、ぼくが買ったバルクの2020は「イェニジェ・ハイランダー」とほぼ同等なんじゃないかと想像した。
 しかし、すばらしいたばこである。ぼくのバージニア+オリエント+ラタキアのイメージは軌道修正しなければならなくなった。
 前に書いたレビューでSG社の「コモンウェルス」と「スクワドロンリーダー」、ここでラタキア入りがこんなにふっくらやわらかいものかとぼくは感動した。この種のたばこはそれまでダンヒル965がぼくの常喫で、これはかなり粗く、つんつんしている。バージニアの味はわかるしラタキアは独特の匂いでわかるので、この粗さはオリエントのせいだろうと思いこんでいたのだがまるで見当外れだった。
 2020でわかるオリエントの属性は、オイリーなこと(これはとくにクサンチ葉に特有のようだ)。茎茶と書いたが、茶葉の新芽の茎の部分を使ったお茶はやや硬質で独特の味わいがあり、それに似た味わい。それとやや近いが、春の野の土の香り。そしてとりわけふっくらとやわらかい味わい。そんな感じがあり、どれをとっても965の粗い感触はない。
 SGで感動したときもっと深く読みとるべきだった。しっかり熟成し、葉の味を最大限ひき出せばこのふっくらしたバラエティにとんだ味が出るし、それがもともとオリエントやラタキアの属性だったのだ。
 同時に遠い記憶が甦った。ぼくがパイプたばこを始めた頃、shopが紹介するまま買ったのが965だったが、いま考えると当時の965はマレー社製の後期のもの、まだダンヒル社のシリア製ラタキアのストックが残り、しかも職人肌のマレー社は熟成にも時間をかけて念入りに作っていたはずだ。その昔の965のオリエント+ラタキアの香りと味わい、まるで夢見心地で、ふっくらやわらかいなかに革製品の匂いと外人がいうラタキアが優雅に香った。その後しばらくしてオーリック製のいまの965をやったときはちょっと拍子抜けしたが、マ、こんなものかと思っていた。しかし、SG社のラタキア物やマクレーランドの2020を知るにつけ、ぼくは本物のオリエント+ラタキアを昔から知っていたことに気づかされた。
 しかしそれにしてもマクレーランドのたばこは驚嘆に値する。世のパイプ喫煙者が語り草にするバルカンソブラニーはこの2020を越えたブレンドの妙、熟成の妙があり、さらにすばらしい味わいがあったのだろうと想像できる。ぼくは今、オリエント葉とラタキア葉、その真価を知るほんの入り口に立ったばかりだ。

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# by jinsenspipes | 2013-05-22 18:01 | マクレーランド | Comments(10)

マクレーランド: 2035 ダークネイビーフレーク ( McClelland: 2035 Dark Navy Flake )

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 海外のパイプ・フォーラムにある質問がでた。
「サミュエル・ガーウィズのフルバージニアフレークを吸ってみたいがずっと品切れしている。私はマクレーランドの愛好者なのでこの会社で類似のたばこはないだろうか」
 ある識者の書きこみ。
「2035が近いです。製法がほとんどおなじだし、真っ黒な外見も似てます」
 別の識者の書きこみ。
「私はFVFも、2035もやってるし好きですが、味は別物です。類似のたばことは思えない」
 最初の識者の書きこみ。
「私は製法がほとんどおなじといいました。どちらもバージニア葉をじつくり熱処理し、葉がもつ甘みや果実風味を充分引き出しています。味が異なるのはバージニア葉の違いです。SG社はアフリカ産ですがマクレーランドはアメリカ産、それも2035はイースタンベルトのレモン・バージニア葉です。アメリカ産バージニアは糖分の含有量が世界一多く、なかでも2035の葉はずば抜けて糖分が多い。SG社は非凡な技術で糖分の少ないアフリカ産バージニアからみごとに旨味を引き出していますが、マクレーランドのバージニアはもともと糖分が多いのでその点有利ですし、さらにバージニア葉のもつほかのおもしろみも引き出しています」
 さらに。
「FVFがアフリカ産バージニアからいい味を引き出しているとはいえバージニア葉がもつ複雑な味わいはアメリカ産バージニアにはかないません。FVFはわかりやすい、初心者向けたばこで。マクレーランドにはもっと含みがあります」

 この識者の意見で、ぼくは賛成の部分と反対の部分、勉強した部分があった。
 FVFがアフリカ産バージニアを使っているというのは事実なんだろうか。ぼくは知らなかった。もしFVFがアフリカ産とすると、この識者の指摘はおおよそ真実と思われる。
 しかし、だからFVFは初心者向けという結論はアメリカ人の子供っぽい国産品礼讃にみえる。

 2035の葉組と製造についてはマクレーランド社の解説がある。
「このユニークなたばこの製造はイースタンベルトのレモン・バージニア葉とカッター・グレード葉をブレンドし、プレスし、熟成させ、軽くストーブしてみごとな暗色の香り高いケーキにすることから始まります」
 アメリカのバージニア葉の産地は「ベルト(地帯)」で区別され、たとえばオールドベルト(旧地帯)はバージニア葉の原産地であるバージニア州とそこに隣接するノースカロライナ州の一帯、イースタンベルトはノースカロライナ州の東部から中心部にかけて、ミドルベルトはオールドベルトとイースタンベルトの中間部の小地帯である。
 カッター・グレード葉というのはバージニア葉の先端から下のほう、根に近いほうの葉を指すらしいがそれがどういう特徴があるのかはぼくは知らない。
 さて。何はともあれ吸ってみる。
 写真でおわかりのようにこのたばこはケーキからの削りだしでじつはかなり固い。プロークンフレークのように丸めてポイというわけにはいかずしかたないので細かく砕いてつめた。またやや湿り気が強く、ちょっと乾かしたほうがいいようだ。
 火をつけると、ああ、5100でおなじみの軽く、明るいバージニアである。これがマクレーランドのバージニアの、ということはアメリカ産バージニアの特徴なんだろうか。
 しかし、5100と決定的に違うところがある。5100はオールドベルトのレッド・バージニアで香ばしさがまず感じられるが2035にはそれはほとんどない。かわりに強い甘みと酸味、果実の香りがどッときた。そしてときどき青臭さがくる。これは5100には感じなかった。ふと、ぼくは若い頃、ブラジルを旅して覚えたマンゴーの味を思い出した。ぼくが定宿にしていたリオの安ホテルは朝食がマンゴー食べ放題、食堂の中央にマンゴーが山と積まれていた。ブラジルではマンゴーは安果実だからさほどありがたくはないがしかしマンゴーの甘さと、どこかにしっかり青臭さがのこる味は天下一品だった。2035はそんな味わいがある。甘い果実味のどこかに青臭さがのこりそれが心地よい。
 マクレーランドの5100と2035でぼくはアメリカ産バージニアの香ばしさと、果実味+青臭さを知った。そしてじっくり味わっているとたしかに識者のいう通り、さらなる含み味も感じられる。たとえばダンヒルのフレークなどと比べるとそちらはやや一本調子、マクレーランドのたばこは軽快で明るいなかにさまざまな生体反応が跳びはねているようである。
 では、FVFはどうか。たまたま缶が開いていたので比べてみた。ここでぼくは識者の意見とわかれる。ダンヒルのフレークはやや一本調子で含みが少なかった。FVFは違う。こちらはやや暗い、くぐもった感触のなかにやはり深い味わいがある。それはマクレーランドの軽快で明るい感じとは対照的で、やや重厚、やや鈍いがじわじわと沁みだしてくるものがある。喩えてみると、映画とテレビの違いといえるだろうか。テレビの映像は明るく、細部が鮮やかですべての要素があからさまである。映画はどっしりと暗く細部はぼやけて溶け合っているが、いい味がある。テレビの映像は報道の延長だが、映画は作品として自立する。

 しかし、バージニア葉のさまざまな味わいを知るにはマクレーランドたばこはじつに教育的である。アメリカ人は何が何でも組成とか、製造法とか、実体を詮索しなくてはすまされない実証主義者のようだ。イギリス人やヨーロッパ人、旧大陸人はそこは曖昧でも出来がよければいい、完成した作品を愛する性向なのかもしれない。
 好奇心旺盛なジャパニーズとしてはもう少しマクレーランドたばこでバージニア葉について勉強したくなった。

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# by jinsenspipes | 2013-05-15 22:46 | マクレーランド | Comments(14)

マクレーランド: 5100 レッドケーキ【R2】( McClelland: 5100 Red Cake )

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 これまでレビューしたたばこ一覧を先日掲載したが91品になった。このブログの開設が2009年12月。3年半ほどの足どりになる。まだまだ吸いたいたばこはあるが、ざっと読み返したところ不備な点や経験不足からくる誤った記載が目についた。
 たとえばサミュエル・ガーウィズのフルバージニアフレークで「ドローがきつい」「重いフレーク」と書いたがこれは間違いだ。しかし、言い訳になるが、当時(2010年6月)のこのたばこはいまの倍くらいの厚みがあった。これを縦に四つ折りにしてボウルに詰めるとわずかながら葉のあいだに隙間ができる。ダンヒルのフレークほどやわらかいと指でならせば隙間は埋まるがなにしろ厚くて固いからうまく丸まらない。隙間から空気が漏れるのでいきおいドローが強くなる。それでこういう記事になった。いまのこのたばこは薄いので四つ折りにはせず、絨毯を丸めるようにくるくると丸め、指でぐっとならして詰めるので隙間はない。そうして吸ってみるとこのたばこはむしろ「軽いフレーク」なのである。この間違いはぼくの技術の不備もあるし、またわずか2、3年で厚かったフレークが薄くなったという事実もある。
 そこで重複するけれど再レビューしたいたばこが出てきた。いわばボクシングの2nd Roundである。たばこ名のうしろに【R2】とあるのは過去にレビューもあるけどその2回めのレビューということです。
 さて、その第一弾はマクレーランドの5100である。このたばこは2010年5月に買い、当時の記事でも絶賛している。ところが例のマクレーランドのケチャップ臭、これに辟易して、ぼくはこの会社のたばこはだめだなとあきらめた。で、半分ほどをジャーに残して放置してあったのだが、最近気づかされたことがある。ガーウィズ・ホガース社のブライトCRフレークをやっていて、ふと、類似のケチャップ臭を感じることがままあった。どうやらこの臭いはマクレーランドに限らずバージニア葉によくある熟成臭のようなのだ。
 ある識者がこの臭いについてネットに記事を書いていた。
「マクレーランド社はノースカロライナ州に倉庫を持ち、近在から購入したバージニア葉を3年から5年、ここで熟成させている(ノースカロライナ州はバージニア葉のアメリカ一の主産地である)。このあいだに糖分の多いバージニア葉の自然な発汗作用がおこる。つぎに熟成した葉はカンザスシティにある同社の工場に移送され、ここで圧縮してケーキにされさらにしばらく熟成する。そのあと加工処理されて缶に詰められるが、製品として完成した缶が出荷されるまでさらに1、2年熟成期間をおく。いわゆるケチャップ臭とよばれる独特の臭いはこのすべての熟成期間のあいだにおこる自然な熟成臭であり、バージニア葉のように糖分の多いたばこにはつきものである」
 CRフレークの体験もあり、これを読んで納得したこともあり、放置してあった5100を改めて吸ってみた。3年間ほったらかしてあったものである。
 びっくりした! これがじつに旨いんだ。もっとも2010年の記事でもそのことは書いたがいまはケチャップ臭は棚上げして味わいなおしてみた。たまたまSG社のベストブラウンフレーク(BBF)が空いていて、その果実酒を味わうようなフルーティな甘みに感嘆したあとだったが5100も負けず劣らずである。しかもじつに軽快で明るい。
 まず圧倒的な乾いたバージニア味がある。英語圏でtoastyと形容されるが、焼きたてのトーストを思わせるようなふっくらした穀物の香りである。日本語には「香ばしい」という素敵な形容詞があってこれがぴったり。BBFは香ばしさはあまりなく、喫味がやや暗く重いがこちらは軽快そのもの。すいすいとくる。そして吸うほどに果実の香り、ときにお花の香り、これは逆にBBFのほうがはっきりしているが、やはりくる。いやすばらしいたばこである。
 3年間というもの、容器といえば100円shopで買ったガラスの広口瓶、わずかにプラスチックのねじ蓋の裏にちゃちな空気漏れ防止の襞がついたやつ、そこに入れっ放しだったが香りも落ちてないしさほど乾燥もしてない。味はまったく変わらず。空気や水分をもっときっちり遮断したらかえって熟成してたかもしれない。あるいは、偶然だが、たまたま容器が適合してあるていど熟成していたのかもしれない。
 例のケチャップ臭はやはりあった。瓶をあけるとたちまちくる。しかし、吸っているときはほとんど気にならないようである。ときおりふっとくるぐらいだ。いまはお勉強してこれも熟成臭とわかったから無理して納得することにした。
 マクレーランドのたばこが吸えるとなると、やってみたいのが山積みである。グランド・オリエンタルズ・シリーズには有名なクサンチやイェニジェの単体をバージニア葉とブレンドしたのがあり、これは世界に類のないコレクションである。バルクには5100に代表されるじつにさまざまなバージニア葉があって好奇心と勉強心いっぱいの日本人の気をそそる。
 まずとりあえずバルクたばこを4種、注文し、いま棚に積み上げてある。おかげでお部屋はケチャッブ臭ぶんぶん。しかしこれは熟成臭なんだ。いい香りなんだ。我慢、がまん。

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# by jinsenspipes | 2013-04-30 22:05 | マクレーランド | Comments(33)