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Jinsen's パイプ

サミュエル・ガーウィズ:  セントジェームズフレーク

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 バージニア+ペリクのタバコでは最高級と評判の逸品である。
 バージニアは同社のフルバージニアフレーク、ペリクは正真正銘のセント・ジェームズ・パリッシュ製。文句無し、旨い。
 識者によると、SM社のヘイタイプ・バージニアにはフルバージニアフレークとベストブラウンフレーク、いずれも評判の名品があるが、元はおなじだそうだ。違うのは熱処理のぐあいでベストブラウンはあっさり処理、フルバージニアはややストーブされ、スパイシーな香りづけが加わる。このセントジェームズにもかすかにスパイシーな香りが残る。
 缶をあけると甘酸っぱく、やや脂っぽい匂いのフレーク。1インチ巾の幅広いフレークでやや湿り気がある。火をつけると、ああ!まぎれもないフルバージニアのやや青臭い味。そこに純正ペリクの甘さと酸味がくわわり、そのまじりぐあいがなんともいえない。マグロのトロを舌にのせた感触で、トローンとした甘みが口いっぱいにひろがるのにマグロ本来のシャキッとした味わいもどこかに残る。
 ぼくは反省した。若い頃、初体験したペリクはスリーナンズで、あのべったり甘さと強烈な酸味、それに独特の臭気、その年増女の色気にすっかりまいってしまった。しかしこのセントジェームズフレークにはバージニアの新鮮な香りがそよぎ、いわば処女の清楚なたたずまいを残しつつペリクの色気とうまくバランスがとれている。
 ペリク入りのイングリッシュ・ミクスチャーはこれが本家なんだと思う。あくまでも主体はバージニア。ペリクはバージニアの旨味を強調するためにある。スリーナンズはペリクを前面にすえた亜流、しかしなんとも魅力ある亜流なのだった。
 つけ加えると、スリーナンズ、エスクードでぼくはこのペリクはケンタッキー・バーレー・ペリクと感じたが、セントジェームズのペリクはまぎれもないセント・ジェームズ・パリッシュ純正ペリクと思う。ケンタッキー・バーレーの匂いは微塵もなく、ひたすらバージニア葉の高貴な香りが漂いつづける。

by jinsenspipes | 2010-03-30 21:30 | サミュエル・ガーウィズ