ロバート・マッコーネル: マデュロ ( Robert McConnell: Maduro )
ところがそういうかたにかぎっていまのコールハス社製は不評で「似て非なる物」とケナす人が多い。なにしろつい20年前までは本家のC.E.マッコーネル社のマデュロが吸えたわけだからそれももっともかもしれない。ぼくは本物は吸ってないのでそれを頭にいれてコールハス社製を買ってみた。
缶を開けると真っ黒な葉っぱ。強いアルコールの匂いがきて湿り気がある。葉組はバージニア+ペリクで、ラム酒で着香しているのである。吸ってみると、う、やはりラム酒の匂いは強い。それとペリクの甘みと酸味がくわわり、ラム・ケーキを食べたときのようにお酒と甘みのまじった感触が心地よかった。バージニアの香りは薄く、特有の舌焼けもなく、とにかくクールに吸える。甘いたばこといってもいいと思う。悪くないじゃない。
ブレンド名の「マデュロ」はスペイン語で英語なら「mature」つまり「熟成」である。この言葉は葉巻のラッパー葉によく使われていて特別の葉を高温でじっくり発酵させた物をさしている。このたばこもたぷん充分熟成したバージニア葉を使い、そのおかげで真っ黒なんだろうと思うが、それにしてはバージニア葉じたいの旨味に乏しい。おそらくオリジナルはダンヒルのロイヤルヨットのような独特の味わいをもっていて、年配喫煙者はそれがないのでコールハス製はだめだとするのではないか。もしこのたばこがロイヤルヨットのような深い味わいをもっていたらと想像すると、ああ、オリジナルを吸いたかったとため息がでる。
いまのマデュロは、お酒とペリクの甘みでとろりとした、舌焼けすることもなくクールスモーキングできる吸いやすいたばこというところである。
ぼくはなぜかこのロバート・マッコーネルに愛着がわいている。職人気質の会社らしいという横顔もいいし、ほんの20年前まで生き延びた長命ぶりも素敵である。もう一種、マッコーネル物を買いこんであるのでつぎにそれも紹介したい。