人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Jinsen's パイプ

サミュエル・ガーウィズ: ゴールデングロウ ( Samuel Gawith: Golden Glow )

サミュエル・ガーウィズ: ゴールデングロウ ( Samuel Gawith: Golden Glow )_a0150949_2021965.jpg
 サミュエル・ガーウィズ社の近年の作である。サイトのカタログにも「new!」印がついているがぼくの記憶では5、6年前には載ってなかった気がする。海外のあるレビューに2008年のシカゴ市のパイプ展示会で知り、初めて喫煙したという記事があるのでそのあたりなのかとも思う。18世紀に創業し、200年の歴史がある会社の最新作、21世紀の作という興味もある。
 ブレンド名に「ゴールデン」とつくのはイエロー・バージニア葉を使っているからである。バージニア葉は熱処理の度合いによりイエロー、レッド、ダークと色が濃くなっていく。イエロー・バージニアはもっとも軽く、明るい黄色で青臭さや酸味、甘みともに一番強い。しかしさらに熱処理したレッド・バージニアに比べるとコクや深みがやや欠けるし、バージニア葉特有の舌焼けもあるのでふつうは数種のバージニアをミックスして仕上げている。ことさらに「ゴールデン」と命名するのは長所も短所もあるイエロー・バージニアでいい味をだしているという自信作にほかならない。
 じつはつい最近までフリボーグ&トレイヤー社の「ゴールデンミクスチャー」を吸い、その黄金色に輝くみごとな葉と、イエロー・バージニアの味を毎朝、堪能していた。それが空き、いまはGH社のペリクミクスチャー、SG社のコモンウェルス、ラットレーのダークフレグラントがそれぞれ少量のこっているが、バージニアのストレート物がない。そこでこれを買ってみた。
 缶を開けると、ウム、やはり黄色葉のブロークン・フレークだった。レディラブドほど細かく裁断せず、いわば手でこそげ剃ったようなわらわらフレークで、かなり湿り気がある。これは適量をつまみ、丸めてボウルに詰めればいいから楽である。リボンカットのように詰めぐあいを吟味したり、端切れが散らばったりステムにもぐりこんだりしないから快適。パイプをくわえると目の前に黄金色の葉が山盛りされていていい感じ。その名の通り「ゴールデングロウ(黄金の輝き)」である。
 火をつけると、おなじみの青臭さ、酸味、かなりの甘みがとびこんできた。本来ならかなり舌にヒリヒリくるはずだがそれもほとんどなく、マイルドで、じつに吸いやすい。火つきもいいし、火持ちも抜群。再着火するまでもなくさいごまできれいに吸いきれる。なるほどこれがSG社が世に問う最新作なのか。
 フリボーグ&トレイヤーの「ゴールデンミクスチャー」のときも感じたが、このたばこも若いパイプ入門者向けなのだと思う。SG社のラインナップにはコクと旨味ではひけをとらない銘品がずらりと並ぶが、いずれも重厚、2時間かけて沈思黙考しつつたのしむには絶好だがシガレット感覚で気軽にやるには重すぎるかもしれない。またそれだけ時間をかけて深みを追求する余裕もいまの若い世代にはないかもしれない。
 マイルドだがバージニアの旨さは充分、ニコチンも弱め、火もつけやすいし、火持ちもよくて手軽に扱える。時代の要求に応えた良品だとぼくは思う。
 しばらくは朝の一服をこれでたのしみたい。

by jinsenspipes | 2012-01-15 20:06 | サミュエル・ガーウィズ