Jinsen's パイプ

マクバレン: HH ヴィンテージシリアン ( MacBaren: HH Vintage Syrian )

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 マクバレン社のHHシリーズはまずこのヴィンテージシリアン発売に始まる。2006年である。つぎにメイチャーバージニア、そして前に書いたアカディアンペリク(2009年)とつづく。
 HHシリーズはマクバレン社の創設者、Harald Halbergのイニシャルで、そもそものアイディアは、小細工を排し、たばこ葉そのものが持つ味わいを充分ひきだしたものと説明されている。とくにこのヴィンテージシリアンのレシピは120年も昔、当時流行した「自然に還れ」たばこを模したものだそうだ。
 缶を開けると、ラタキアとオリエントの香りが強かった。火をつけると、やはりその通り。しかし舌にとろりとくる甘みがありオリエント葉の荒さをやわらげている。この甘みはトッブフレイバリングでこの段階でマイルドなラタキア物と思ってしまうとえらい間違いである。やがて中盤にかかるあたりでこれは消え、かわりに別種の甘みがたち上がるがそれはまぎれもなくラタキアの甘みである。
 これはまったく未経験のたばこだった。ふつうのラタキア入りイギリスブレンドとはまるで異なる。葉組をみるとラタキアが何と40%〜50%。約半分。そこにたっぷりのオリエント葉、くわえてケンタッキー葉、のこりがバージニア葉とあった。ぼくの印象はラタキアとオリエントの二重奏という感じである。
 たまたま手許にダンヒル965があり、比べてみると、そちらはまぎれもないイングリッシュミクスチャー。中心にバージニア葉の旨味があり、香りづけにラタキアを配し、さらにキャベンディッシュで甘みをつけている。あまからを見事に案配している。それにくらべるとマクバレンのは辛いたばこである。
 海外のレビューを読むとこのたばこはラタキア・ファン、オリエント・ファンに喝采で迎えられていた。なるほど中盤以降の喫味はラタキア味とその独特の甘み、それとオリエントのスパイス味、やや粗いがナチュラルな風味がどーんときてお好きなかたにはこたええられないだろう。ところがぼくはどちらかというとペリク・ファンだし、バージニアの青臭さが好きなほうなのでこれはちょっと辛く感じる。
 さいわいHH アカディアンペリクが残っていたので比べてみる。やはりそちらはペリクの甘みと酸味があり、ぼく好みの味わいだった。しかしこのアカディアンペリクとヴィンテージシリアンのラインナップ、興味深い。パイプ喫煙の初心者がいて、ペリクもラタキアもわからないが、甘口がいいといえばペリクを、辛口がいいならシリアンを薦めればいいのだ。もっとも人工甘味料たっぷりのたばこはごまんとあるからあくまでもたばこ本来の味わいで、という注釈つきである。
 そんなことを考えながらもう一度ヴィンテージシリアンにもどってみると、ぼくの好みはさておき、このたばこは並々ならぬ深みがあることに気づいた。ラタキアの香りと甘みがあり、オリエントのスパイス味、気がつくとトルコ葉もまじっているのでその葉巻味のスモーキーな香りもある。このあたりはラタキア・ファン、オリエント・ファンに尽きぬ話題を提供するだろう。さらにあらためて知ったのだがアカディアンペリクもベースにケンタッキー葉の味わいがあり、こちらヴィンテージシリアンにもどこかにケンタッキー葉の影がある。
 さて。あとはシリア産ラタキアについてである。ラタキアには2種、シリア産とキプロス産がある。じつは昔のラタキアはすべてシリア産で、ぼくの記憶にもかろうじてマレー社製965のシリア産の味覚がのこる。なにしろ1970年代のこと、ぼくも初心者だったから明瞭ではないが、漠然とあるのは、香り高く、丸い味でその後のキプロス産のつんつんした味わいとは違ったようだ。しかしそのあとシリア政府はラタキアの輸出を止めたので以後はキプロス産のみとなる。オーリック製965をやったときはずいぶん粗い味だと思ったものである。
 たぶん今世紀に入った頃と思うがふたたびシリア産が市場に出た。しかし製法が昔と異なり、往年の味わいはないとする識者が多い。くわえて永年キプロス産になれたおかげでいまではキプロス産ファンもいてかならずしもシリア産が上というわけではない。ラタキア物の海外レビューでも、キプロス産の長所をあげたものがかなりある。
 ではこのヴィンテージシリアンはどうかというと、正直いってぼくはわからない。つまり現在のシリア産とキプロス産の違いについて明確なイメージはないのだ。しかしぼくはこのシリア産に不足はないし、香り、味、甘み、申し分ないと思っている。
 しかし、ぼくはオリエント葉(ラタキアもオリエント葉の一種だ)の知識が貧弱なことを痛感しましたね。このたばこがあるうちにラタキア、オリエント、トルコ葉、そのあたりの深奥をじっくり吟味してみたいと思ってます。

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by jinsenspipes | 2012-07-07 17:21 | マクバレン | Comments(4)
Commented by いまむー at 2012-07-10 20:22 x
ご無沙汰しておりました。
Jinsenさんのブログを読む内に僕もマクバレンに興味がわいてきまして、ダークツイストを頼んでみました。これもツイストをスパンカットされたものですが、作り方は多分、昔通りの作り方ではなさそうです。
でも個人的にはエスクードやピーターストーカビーの同じようなやつよりも美味しかったです。
ただ、ずいぶん乾燥していて、かっちかっち!
ま、吸いやすいから問題ないですが、ちょっとびっくりしました。

Jinsenさんも多分お試しになると思いますので、レビューを楽しみにしています。

次はビンテージシリアンためしてみます!!
Commented by jinsenspipes at 2012-07-11 00:09
>いまむーさん
やあやあです。
ダークツイストは評判高いたばこですね。
ぼくもいつかやってみたいと狙ってました。
うーん。乾いてましたか。お店に長くあったのかもしれない。
ヴィンテージシリアンはぼくにはちょっと辛いんですよ。
どうしてかな。
アカディアンペリクは旨くてここのところ毎日やってます。
やっぱりぼくはペリク、バージニア系が合ってるのかなとも思います。
でもラタキアとオリエントがお好きなかたにはいいたばこですよ。
たしかポーチも国内で買えますよね。
Commented by TSUKA-P at 2012-08-26 12:10 x
>Jinsenさん

大変ご無沙汰しております。
ラタキアを覚えたての頃に試しました。パウチを開けた途端
かなりのラタキア臭だったのですが、Savinelliのベントで恐る恐る着火。
イメージしてたのとは全然違う旨みと甘さ。香りもたまりませんでした。

パイプの種類も増えてきた昨今、美味しく喫えるパイプでっと
試行錯誤して辿り着いたのがKaywoodieの古いスクワット・ブルドック
と、縦のグレインの鮮やかなマストロ・デ・パヤのエステート。
旨みもそうなんですが、コレ、ラタキア自体の甘みなんでしょうか
明らかに葉からくるトローンとした甘さ。すっかり気に入って大事に
大事に喫っていたら最後の方は少々カチカチに・・・w
今では、Presbyterianをはじめ、McClellandのYanidje Highlanderなど
すっかりラタキア・オリエント系のミクスチャーに大ハマりですf(^_^;)
Commented by jinsenspipes at 2012-08-26 23:06
>TSUKA-Pさん
やあ、いらっしゃーい。
パイプがずいぶんふえましたねェ。
ぼくはウン10年吸ってて20本ていど。すぐ追い抜かれますね。
ラタキアの甘さはまた格別です。ほんとにトローンとくる感じ。
それとあの独特の燻製臭をおぼえたらこたえられないですね。
オリエントのスパイシーな味がくわわるとまた一興。
このあたりは奥が深いです。