G.L.ピース: ジャックナイフ-レディラブド ( G.L.Pease: JackKnife - ready rubbed )
いつもコメントをいただいてるtango6さんとmifuneさんは試しずみで、おいしい! と教えていただいたのでさっそく注文した。プラグとレディラブドがあり、本来ならプラグを買いたいところだが、ぼくはものぐさだから吸うたびにナイフで削るのはいかにもめんどう。三日坊主でオクラになりそうなのでレディラブドにした。
このたばこはバージニア葉とケンタッキー葉をミックスせず、それぞれの層にわけてプレスする手のこんだ作りである。ぼくが買ったレディラブドだとわかりずらいがブラグならはっきりその層が区別できるはずである。
吸ってみると、ああ、やはりこれは逸品だった。青臭さののこるバージニア味がしっかり、プラスしてケンタッキーのやや樹木の皮のような硬質の味もしっかり。それが、ふしぎな体験なのだが、混じってくるというより別々にくる感じがした。しかしこれはほんの吸いはじめで、少しするといわば第三の味といいたい別種の味がくる。これについてはちょっと言葉で書きづらいのだが、平らな感じでややチョコレート風味、少し乾いている。あいかわらずバージニア味はあるしケンタッキーは香りとしてのこっているところにくわえてこれがくるのだ。
これはぼくは初めての感覚だった。何なのだろうと、G.L.ビース自身によるこのたばこの説明を読んでみるとこんな一節があってなるほどとうなづけた。
「ほかの製造業者ならブレスする前に葉を混ぜてしまうだろうが、私がケンタッキー葉とバージニア葉を別々の層にしたのは見ためがおもしろいからではない。私が考えたのは、二つの葉の持ち味が喫煙者の口内ではじめてまじりあうことで、あらかじめ混ぜてしまうのとは違う。このやり方は、作るのはむつかしいが、結果は歴然としていると思う。」
納得する。第三の味と書いたのがつまり「喫煙者の口内ではじめてまじりあう」ことで生まれた味だった。
一方、ピース版ジャックナイフは無着香たばこである。このあたりは純粋主義者のG.L.ピースらしい配慮だ。その結果、ジャックナイフでは、バージニア、ケンタッキー、第三の味、それぞれがたのしめる奥深い味わいになったのがハインリヒ版は(もとをたどればオーリック版というべきだろうが)過程はとばして「喫煙者の口内ではじめてまじりあう」味にだけ注目し、それをさらに着香して強調した。それが「売り」の商品に仕立てたわけである。
ぼくは単純にハインリヒ版ダークストロングフレークをおいしいと感じ、100g缶をあっという間に吸いきってしまった。それはこの商品性が的を射たわけである。それに比べるとピース版はややくろうと向け、というところだろうか。
しかしこの2層にわけてプレスするアイディアはいつ頃からあったものなのだろうか。G.L.ピースのジャックナイフは発売が昨年だがハインリヒ版の前身、オーリック版はかなり前から市場にでていたようだからそもそものアイディアは昔からあったものじゃないかとも思う。そのあたりはぼくにはわからない。
でも、ぼくはハインリヒ版のヨーロッパの老練なプロの手になるお菓子味も好きだし、ピース版ジャックナイフのやや学生の卒業論文めいた底深い味も好きだ。