study: スモーカーズヘイヴンというお店 ( Smokers' Haven )

この名店はソブラニー社、ジャーマイン社と密接な関係があり、そのハウスブレンドはアメリカの喫煙者の愛好品だった。
1940年、Joseph Zieveと妻そして義兄のSid Ritterがオハイオ州コロンバス市にSmokers' Havenを開店した。以後、代替わりする1987年までこの店は世界でも有数のパイプとパイプたばこshopとして名声を馳せた。
ハウスブレンドも数多くあり、それはすべてソブラニー社に製造委託した。銘品バルカンソブラニーを送り出したロンドンのたばこ製造会社である。
しかし1980年、ソブラニー社は廃業することになり、その際ソブラニー社の責任者、Dr.RedstoneはSmokers' Havenの評判ブレンドが絶えることを惜しみ、後継の製造会社としてロンドンのマッコーネル社とジャージー島のジャーマイン社を推薦した。しかしZieve氏はマッコーネル社のMick McConnellとそりが合わず、ジャーマイン社を選び、以後ソブラニー社のレシピ通りハウスブレンドを製造することになった。
ところが1983年、Zieve氏は引退してSmokers' Haven店を売却した。店は衰退し、昔日の面影はなく、わずかに葉巻の売上に頼るていどで当然ハウスブレンドたばこも姿を消した。
この頃、ジャーマイン社のたばこのアメリカ輸入代理人はSteve Richmanだったが、彼の思いつきで、それまでジャーマイン社が委託製造してきたSmokers' Havenのハウスブレンドを新しいシリーズ名で売り出すことにした。これがエソテリカである(正確にいうとEsoterica Tabacciana、訳せば「秘伝の古たばこ」となるか)。旧ブレンド名にかわってつけた名前はすべてイギリスの港湾都市の名をとった(「And so to bed」だけは例外)というからよほど急いだやっつけ仕事だったようだネ。
しかしせっかくのエソテリカだが、そののちSteve Richmanはすべての権利をアメリカの名パイプ製造者、ビュテラの会社に売却、ためにエソテリカはビュテラのブレンドとして世に知られることになった。なぜ売却したかの理由は不明だがSteve Richmanはその後カリフォルニア州オークランド市にたばこshopを開店しているのでそれが契機になったともいわれている。
ぼくが買ったドーチェスターの缶にも「ビュテラ社向けにジャーマイン社がブレンドした」と明記されているがそのビュテラ社も2002年にパイプたばこ部門をArango社に売却している。エソテリカは今後どうなるのだろうか。ジャーマインが製造するのはたしかだから同社のエソテリカということになるのかもしれない。
Our Best Blend = Margate
Cognac = Pembroke
20th Anniversary = And so to bed
Krumble Kake = Penzance
とくに名品Krumble KakeがエソテリカのPenzanceだとする意見は広く流布し、G.L.ピースも「そのものとはいい難いが非常に近い。Penzanceのほうがややラタキアが多い。もしKrumble Kakeを手に入れて比べられれば失望しないだろう」としている。しかしそのPenzanceもまた現在入手困難で、ある愛煙家が代替品としてG.L.ピースのQuiet Nightが同等品と指摘すると、ビースは「同等とはいえないがスタイルは類似する。私の感じではQuiet Nightのほうがやや甘く、味が複雑だが、充分満足するだろう」と返答している。
やや余談になるが、さらに大胆な意見を述べる好事家もいる。ソブラニー社はSmokers' Havenのハウスブレンドに自社のバルカンソブラニーを封入して出荷していた形跡があるというのだ。その説によるとOur Best Blendはバルカンソブラニーそのもの、エソテリカには移されなかったがExotiqueはバルカンソブラニー#759(いわゆる黒缶)だという。この説にはあるていど裏付けがあり、ソブラニー社とギャラハー社の関係(ソブラニー社は1968年にUKの大手、ギャラハー社に買収され、1980年、廃業の際、バルカンソブラニーの権利一切をギャラハー社に売却した)などがからんでいるのだが、当時両方を吸った経験者から、たしかにおなじだったとか、Our Best Blendを買ったらなかにバルカンソブラニーのライナー(缶におさめた説明カード)が入ってたとか、いろいろ意見がでてきておもしろい。たばこに限らずおいしいものにたいする人間の執着心にはなみなみならぬものがある証拠だネ。
Smokers' Havenのその後だが、1987年、ふたたびオーナーがかわり、Arvind Chhedaとなり、1999年からはその子息、Premal Chhedaが継いで現在に至る。現オーナーは2002年にふたたびジャーマイン社と提携し、往年のハウスブレンド再発売を宣言した。同社のネットサイトにはOur Best Blend、Krumble Kake、Exotiqueなど銘品が掲載され、アメリカのたばこレビューを読むと実際にこれを吸ったかたのレビューもあるが、いまサイトをみると銘品は欠品し、レビューもここのところ途絶えている。いっとき出荷されたがその後ジャーマインからの入荷はないようである。
しかしこの最発売たばこもジャーマイン製、エソテリカもジャーマイン製となると「Krumble Kake=Penzance」としてメーカーはどう違いをつけているのだろう。ますますわからなくなる。
Smokers' Havenの現在のネットサイトは下記である。
http://www.smokershaven.com/
(クリックでとべます)

それにしても、一回読んだだけでは頭がこんがらがりそうな内容ですね(笑)
結局のところ、Esoterica ファンとしては、買って喫ってみようかな?(たとえ、違いがわからなくても)と思い始めてします(^^;
すいません。こんがらがりましたか。
ぼくの文章力がないせいですね。もうしわけない。
天邪鬼さんはエソテリカ全ブレンド制覇ですか。
ブログの写真みてもうらやましいです。
いまアメリカのネットshopはほとんど品切れですね。
自分で記事書いてて、買いたくなっても、品切れ。
残念です。待つしかないですね。

毎度、面白い記事で楽しみにしていますが、
今回の記事はいろいろと参考になりました。
数年前まではここで頻繁にタバコを買っていた時期も私にはありました。
今のサイトのカタログでは考えられませんが、
一昔前は他の有名店ほどでは無いにせよかなりの銘柄が買えましたし、
送料も発送も満足の行く、いいお店だったんですけどね。
なんらかの事故か何かで今の形になったというような噂は耳にしたとこはありますが、
真相についてはどうにも気になります。
実はEsotericaが一番安く買えた、
というのがこのお店をよく使っていた一番の理由でした。
今でもページの残骸が残っていますが、
http://www.smokershaven.com/browseproducts/Esoterica-Pipe-Tobacco-Scarborough-8oz-Foil-Pack.html
大体8ozパックが20ドルを切る価格で、
Dunbar、Dorchester 、Pembroke の3種を買って吸いまくっていた時期もありましたね。
しかし、こういう経緯を考慮して今考えてみれば、
本家の店で復刻版Smokers' Haven Imported Blendsと平行して
Esotericaを盛んに売っていたというのも、何か妙な感じもします。
ひさしぶりですね。
ありゃ。そうでしたか。
いまいただいたアドレスを見てきました。
なるほど。
しかしリンクをたどると今のサイトにとぶのでもう無理ですね。
いまのサイトはエソテリカは載ってないし。
そう考えると、まだ何か、深い事情がありそうですね。
しかし、sqさんがこのお店と取引してたというのはびっくりでした。
いいお話うかがった。
また一つ、世界がひろがりました。
ありがとうございます。
ちょっと調べてみました。
近年のSmokers' Havenたばこは2003年から2004年にかけて再発売されたようですね。
アメリカのたばこレビューを見るとKrumble Kakeの一番古いレビューが2004年3月でした。
どうやらお店で直接買われたかたが多いらしく、レビューは今年のものもあります。
もしかしたらお店では売っているけど、ネットショップでは品切れ表示になっているのかもしれません。
sqさんがSmokers' Havenから買っていたのは2003年以前ですか?
もしそうなら、Smokers' Havenたばこ再発に合わせてEsotericaをネットから外したとも考えられます。
たぶんそういうことではないかと想像しました。

丁度その頃、65th Anniversary Blendが出てそれを買ったので、
確か2005年から2006年頃の話だったかと。
オリジナルの復刻版も絶賛発売中だったはずです。
なんというか、同じ生産元ならそう違わないのではないか?
と思っていたのでお値段の張るオリジナルを買う機会が無かったのですが、
Krumble Kakeは買っておくべきだったかなあ、と今では思っています。
しかし、このあたりのタバコはいろいろと試すのは難しそうですね。
現状ではpipes2smoke.comさんところのCompton's of Galashielsが
価格的にも一番コンプリートするのが難しいかと思われますが、
それでも買おうと思えば買えますし。
在庫が揃わないものはどうしようもないですからねえ。
まあ、また今度買えるだろう・・・というのが一番マズいのかもしれません。
近い内にEsotericaのBLACKPOOLは買ってみようかな、
とは思っていますが・・・そういう時に限って都合が付かなかったりするものです。
あ、そうでしたか。
するとSmokers' Havenたばこは再発中、エソテリカも発売だったわけですね。
ぼくはその頃はまだ海外通販を知らず、エソテリカさえ知りませんでした。
「pipes2smoke.comさんところのCompton's of Galashiels」
これはまったく知らなかったです。
いまサイトを見てきましたが、ほとんど受注生産みたいですね、ハンドメイドで。
受注後、4週間とありました。
うーん。ぼくの知らないたばこはたくさんあるなあ。
エソテリカのBlackpoolは8ozパッケージだけですね。
ちょっと手がてません。
sqさんのおかげでこの世界は広いなあとあらためて感じました。
これからもいろいろご教授ください。
ありがとうございました。
