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Jinsen's パイプ

ピーターソン: アイリッシュフレーク ( Peterson: Irish Flake )

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 ピーターソンたばこで最初にやりたかったのがこのアイリッシュフレークである。なにしろアイルランドの名たばこである。もともと同郷のマレー社の製造で、いまはドイツのコールハス社が作るが、ピーターソン社のシールも貼ってあるし会社のサイトには我が社のたばこと宣伝されているからよほど厳しいチェックを受けていると思いたい。ならば「アイリッシュ」と銘うったたばここそ本命だろう。
 ところが海外のレビューを読むと、いずれもこれはニコチンがきつい、おそらくもっとも強いたばこだとあるのでので二の足を踏んだ。外人が強いというなら脆弱な日本人は目がまわるかもしれない。そこで前に書いたがまずユニバーシティフレークから始めた。そちらは際立った特徴があるたばこではないが、一度やるとつづいて手がでる。あっというまに缶があいた。どこかしらふしぎな魅力があるのだ。そこで、いよいよ本命に手をだした。
 缶をあけると、2cm x 7.5cmの細長いフレーク。ややスパイシーな、甘い香料の香りがあり、いい感じの熟成臭もあって期待がつのる。火をつけてみると、あ、これは、なんとたばこらしいたばこであることか!
 葉組はバージニア、ケンタッキー、バーレーである。ユニバーシティはバージニアとバーレーで、バーレーがすっかりバージニア味を丸めていた。しかしこちらはバージニアの青臭さ、ケンタッキーのスパイシーな香り、バーレーの木の実味、すべてがくるが、とくにケンタッキーの風味が強くでていかにもたばこらしい。最初に感じた甘みはずっと持続する。おそらく甘味料がいくぶん加えられているらしい。舌に甘みは感じつつ、全体としては質実剛健、ザ・たばこという感じ。
 たまたま常喫のダンヒルフレークとヨットが空いていて比べてみた。ダンヒルフレークはさすがにバージニア葉の王者、青臭さから酸味、ほのかな甘み、フッとお花の香り、バージニアの特徴がすべてくる。草原の丘にたってひろびろした光景を俯瞰しているようなたのしみがある。こちらアイリッシュはそういう広がりはなく、もっぱらたばこをたのしんでる、ニコチンの酔いに心地よく身をまかせているという感触。ただし、ニコチンは予想したほど強くなかった。
 ダンヒルのロイヤルヨットはやはりワン&オンリーの秀逸なたばこだ。ストーブドバージニアの、やや脂臭いようなねっとりした味にミルク味と蜂蜜の甘みがかすかにのる。このミルク味だがこれはバージニア葉を充分ストーブしたためにでてくるようである。バージニア葉だけからこれだけの旨味をとりだせるなんて奇蹟に思える。
 そういうダンヒルたばこと比べると、ピーターソンは直球一筋という感じだな。ユニバーシティは際立った特徴がないと書いたがたしかにバージニア葉の宏大な域はなく、バーレーがそれを丸くしているのでやや単調に思える。ところが、そこがふしぎなんだが、つい手がでてしまい、パイプのたのしみを満足できる。こちらアイリッシュは、ケンタッキーの魅力がくわわり、心なしバージニアの深みもましているようでこれまたパイプのたのしみを充分満喫できる。
 ぼくはこれまでバージニア葉の旨味を追求したたばこ中心にたのしんできたがアイルランドのたばこはそれとは別のたのしみ、いわばパイプ喫煙の別世界を見る心地がしてそちらのほうもしばし徘徊したくなってきた。
 ピーターソンたばこの社の説明ではこれらは伝統的製法でブレンドされたと注記してある。しかし、ぼくにはどこがそうなのかわからない。ぼくがふしぎな魅力と書いたことはそれに関係してるかとも思われるが、わからない。まだまだぼくはパイプ喫煙の入り口でまごまごしてるんだなと痛感させられる。

by jinsenspipes | 2012-10-01 21:24 | ピーターソン