ガーウィズ・ホガース: ブラウンフレーク ( Brown Flake )
GH社にはブラウンフレークと名づけたたばこが何種類かあり、缶入りの「ブラウンフレーク#2」は前に紹介した。ここに書くのはバルク売りで、カタログには着香、無着香と2種類ある。ぼくが買ったのはunscented、無着香のほうだが缶を開けるとわずかにケンダル香が漂った。前の缶入りはかなり強かったがこちらはかすかに漂うだけ、吸いはじめると消えてしまう(ときどきフッとくることがあるのはご愛嬌だが)。しかしケンダル香が強い缶入りブラウンフレーク#2とバルク売りの着香ブラウンフレークはどう違うのか、それはわからない。
CRフレークとおなじ長いフレークなので適当にちぎり、丸めてボウルに詰めた。火つきも火持ちもじつにいい、吸いやすいたばこである。ムムム。素晴らしいぶっとい味がきた。やわらかい穀物味のバージニアがバーレーのおかげなのだろう、太く、また一段とやわらかく、丸い味わいである。火持ちがよくおだやかに燃えるから心地よいクールスモーキングができる。ぶっとい、と書いたが、この濃い味わいは太いと書くより感じがでる。丸い味わいの外周にそれを強調したようなエッジをわずかに感覚するが、ここにはバージニアとバーレーのほかにもう一種、Dark-Firedのバージニア葉がわずかにくわわるようなのでそれではないかと思う。ほどよい甘みと酸味、そしてかすかな塩味が心地よい。
CRフレークで紹介したが、それを絶賛する識者がこのブラウンフレークも賛美していたので買ってみた。Va/Burleyのたばこではいまのところこれがベストだろうとまで書いている。
Va/Burleyのたばこはまた別世界である。GH社にはほかに「ボブズ・チョコレートフレーク」があり、SG社には類似の「チョコレートフレーク」と「ケンダルクリームフレーク」がある。両社のチョコレートフレークはこのブレンドにチョコレート味をのせ、さらにわずかのラタキア葉を加えたもので甘い、うっとりするようなたばこに仕立てている。
もともとバーレー葉にはかすかなチョコレート風味が隠されているとされ、それをヒントにできたたばこなんだろうと思う。またラタキアとチョコレートの相性がよく、たしか別会社の類似商品もラタキアを隠し味にしていたようである。SG社の「ケンダルクリームフレーク」はGH社の「ブラウンフレーク#2」に似てケンダル香の強いVa/Burleyのみのたばこである。
マーリンフレークについてはコメントの返信にも書いた。今のコールハス版よりCRフレークがやや勝るように思う。BBFについては、じつは今日、昼にGH社のブラウンフレークをやり、夕食のあとBBFをやったばかりなのである。
BBFはやはり段違いのバージニアたばこだった。CRフレークはおいしいバージニア味のたばこだが、BBFはその熟成の甘みがまるで果実酒のようである。バージニア葉をじっくり熟成料理してはじめて出る味である。おなじSG社のFVFはまた少し違い、甘みと酸味のバランスが抜群だしなによりおだやかな喫味がたとえようもない。CRフレークにはこの深奥はないようだ。ところがマーリンフレークのほうにBBFと似た感触があることがあるが、これはコールハス版がペリクとキャベンディッシュを加えているからだ。おそらくラットレーのオリジナルにはBBFとおなじ熟成味があったがSG社ほどの熟成技術がないコールハス社はその感じをだすためにペリクとキャペンディッシュを加えたのだと思う。このあたりは時代の流れでコールハス社の姿勢はむしろ実直といえるが、バージニア葉、その単体から、果実酒の甘みやおだやかな喫味をひき出しているSG社の熟成技術、その宝石であるBBF、FVF、まぎれもなく現存する世界一のたばことぼくは思っている。
話が横道にそれたが、元に戻し、Va/Burleyのブラウンフレークだが、こちらはBBFに比べるとやや気楽なたばこである。SG社のバージニアたばこにあるあの陶然とする奥深さはなく、いわば陽気な、軽快なたばこといえる。しかしバージニア葉の極限を追求したたばこがある一方で、最初から最後までひたすら心地よい、クールスモーキングできるたばこがあってもいい道理である。
吸っているときも、吸い終わったあとも、しあわせな気分になれるたばこである。