study: 呼吸喫煙法 ( Breath Smoking )
初めて読んだとき感動した。当時のぼくは自己流の吸い方で舌焼けもひどいしパイプも焦がした。さっそく試してみたが、手強くて途中で投げ出したようだ。それが最近思い出し、読み直してみた。
気がつくと、いつ頃からか、ぼくの吸い方もこれに似たものになっていた。投げ出したけれど心のどこかに残り、少しずつ実践していたのだと思う。有名な喫煙法だし、G.L.ビースが彼のサイトに引用掲載しているくらいだからみなさんご存知だろうが、ぼく自身の再認識のために訳出してみた。
原文はASPでも読めるが、G.L.ピースのサイトにそっくり転載されているのでぜひお読みください。
「呼吸喫煙法」
これは私のハイプ喫煙の師匠から教わった。ひどく不機嫌で気むづかしい老人だがパイプ喫煙を知り尽くしていた。
老人はこれを「呼吸喫煙(Breath Smoking」と呼んでいた。どのたばこにも役立つ吸い方だが、とりわけバージニア・フレークには効果がある。
くつろいだ気分で、できれば椅子にかけ、ゆっくり穏やかに呼吸する。パイプを口にくわえたまま、呼吸は鼻でする。鼻からの呼吸をゆっくり2、3回くり返したあと、ハイプからちょっと吸いこみ、煙を口に含み、つぎにゆっくり、ほんとにゆっくり煙を吹き戻す。ボウルからかすかに一筋の煙があがるていど、そしてまたもう一度。煙はけして肺に吸いこまない。これがうまくいけばパイプから吸うまでもない。鼻から息を吸ったとき口内に真空ができ、それがパイプからかすかな煙を引きこむからだ。吸いと戻しは交互に行うが、ほんのわずかな動作なので(水をすすったり、キスしたりするていど)呼吸そのものの如く、自然で、規則正しく、安らかである。
きっと喫煙者のみなさんはこの技術、あるいはそのバリエーションをそれぞれに身につけていらっしゃるだろう。これを習得すればクールで味わい深い喫煙ができるし、ゆっくり規則正しい呼吸のおかげで心は平穏に、明晰になり、たばこの最良の味わいを感じとることができる。
ポール・ザバディ 1998/12/9
昔のぼくはこれを一緒にしていた。上の文章で、吹き戻しは「ゆっくり、ほんとにゆっくり」「ボウルからかすかに一条の煙があがるていど」とあるが、呼吸で吐き出す息はかなり急速で、強いから、一緒だと吐く息ををたわめて細く、遅くしなくてはいけない。つまり、呼吸を早めたり、遅くしたり、不均等にしないといけない。その結果、呼吸が乱れ、心の平穏が破れる。
一方、ザバディ氏の吸い方は、呼吸は鼻から自然に継続しておき、たばこは口のなかの空気量を増減することにより吸い、吹きする。呼吸はつねに一定であり、心は平常心を保てる。そこで「心は平穏に、明晰になり、最良の味わいを感じとることができる」のである。
しかし、鼻からの呼吸、口での喫煙、二つをわけるのはむつかしそうに思える。実際はなんでもないことである。食べる、飲むという動作では呼吸のことなど忘れて自然に継続しているし、ちょっと練習する、というかコツがわかれば直ちに実行できる。ぼくも最初はむつかしいと思ったがいつのまにか自然に実践していると気づいた。
要点の第二は吸いこむたばこの煙がごく少量ということである。「鼻から息を吸ったとき口内に真空ができ、それがパイプからかすかな煙を引きこむ」というくらいだからほんとに微量である。昔のぼくはそれどころじゃない、どッと吸い、どッと戻していた。それにつづいて、第三になるが、吸いこんだ微量の煙を口に含み、ひと休みしてから戻すということ。そこで味わうのも大事だが、同時にひと休みすることで口内を冷やす効果がある。
それまでぼくは舌焼けと口内の荒れに悩まされたものである。これは軽い火傷で、原因は熱い煙を口のなかで動かすことにある。大量の熱い煙を早く動かせば、火傷はひどく、広域に広がる。ごく微量の煙をゆらゆら動かし、さらにいったん止めるようにすればそのあいだに熱は冷め、火傷にはならない。
いまのぼくの吸い方はほぼザバティ氏のを元にしているが、さほど規則的でなく、おおざっぱになっている。少量の煙を口に含んだまましばらく味わっていたり、吹き戻しも短かったり長かったり、しかし、そのあいだも呼吸は乱さない。規則的にゆっくりくり返している。長くこの吸い方をしていると、呼吸のことはほとんど意識にのぼらなくなるが、けして乱れることはない。
この吸い方を実践すると、吸い終わったとき舌焼けはなく、口内はさわやかである。また呼吸を乱してないので頭もすっきりして爽快そのもの。適度のニコチンがまわるから吸い終わるとじつにいい気分になる。
当時のザバディ氏の投稿にはフレークたばこの独特な吸い方もあり、これが評判で一時、ASPの常連のみなさんがそれを真似たこともあるようだ。その紹介は、また、いずれ。