study: たばこを味わうメカニズム
味覚は舌で味わう。匂いは鼻でかぐ。ではたばこはどの器官で味わうのか? 昔から謎だった。海外の記事を読むと「palate」という言葉が目につき、上手にたばこを吸う人がいると「君はいいpalateを持ってるネ」などと書かれている。「palate」は「口蓋」で口のなかの天井部分である。舌で感じる味覚は口蓋でもわずかに感じられるとされていて、たばこについては西洋では口蓋が感覚器官とされているようにも思える。
ごく最近のことだが、YouTubeの投稿ビデオを見ていて、永年の謎が解けた。ぼくは料理も好きなので、調理の解説ビデオを探すうちに「人はなぜ調理するのか」というタイトルでNHKテレビで放映されたものらしいのをみつけた。それによると料理の味は舌で味わうのはもちろんだが、じつは嗅覚が重要な役割を果たしているんだそうだ。YouTubeのビデオを参考に下手な絵を描いてみた。
これでたばこを味わうメカニズムが説明つくのではないかと思った。
たばこの甘さなどは舌が感覚するとして、香りについてはこれまで鼻で感覚するとしか説明つかなかった。しかしこの解説によると、口に吸いこんだ煙が喉から鼻腔にまわり、そこのセンサーが香りを感知する。舌の味蕾が感覚した甘さなどの味にプラスしてこの第2のルートで鼻腔が感知した香りが加わり、すなわちたばこの味となることになる。
西欧人が「palate(口蓋)」で味を感知するとしたのは、経験的に、この第2のルートを感じていたにもかかわらず解剖学的な説明がつかなかったために口腔の上、すなわち口蓋と仮定したのではなかったかとも思える。
YouTubeで解説されたこの第2のルートはどうやら近年の研究結果らしかった。その後ネットで調べてみたが調理関係のサイトでこれに触れたある記事には2001年の研究成果とされ、それより古い記述はみつからなかった。最近はこの第2のルートを書いた書物もあるらしく調理関係者のあいだで話題になっているようだ。
ぼくがここに書いたのはもとより学術的なことではなく、パイプ愛好家の思いつきにすぎないが、ぼくとしてはいい説明がついたとよろこんでいる。