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Jinsen's パイプ

ジャーマイン: ミディアム・フレーク

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 ジャーマインのミディアム・フレーク。これも旨いタバコだ。社の説明では葉組はレッド、ブラウン、ゴールドのバージニア葉のみとある。
 缶をあけると、柑橘系の甘酸っぱい香りのなかにややスパイシーな匂いがまじり、うまそう。
 フレークだが細く裁断され、まるで凧糸を束にしたみたい。かなり湿り気があってくっついている。適量をつまんで二つ折りすると、しなしなして、板状のフレークより楽にボウルに収まる。あ、こういうフレークもありなんだなと感心した。
 これも旨いバージニアだ。酸味と甘みがあり、軽い。ときどきスパイシーな香りやお花のような香りもして、心を遠くにはこんでくれる。サミュエル・ガーウィズのベスト・ブラウン・フレークと比べると、あちらは素朴なバージニア味オンリー、こちらはやや加工してあるが、添加物があるわけではなく、バージニアの奥深い味をよくとり出しているように思える。
 ジャーマインはすでにペリク・ミクスチャーとスペシャル・ラタキア・フレークを紹介した。ともにメリーランドのゴールデンキャベンディッシュで甘みを出していたが、このストレート・バージニアもかなり甘い。このあたりがジャーマインの特徴なのかと思われた。
 しかしこの甘みと酸味のハーモニー、じつにいいし、あきない。

# by jinsenspipes | 2010-01-12 16:23 | ジャーマイン

サミュエル・ガーウィズ: ベスト・ブラウン・フレーク

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 サミュエル・ガーウィズの逸品である。
 会社の解説によると、手剥きした熱風乾燥のバージニア葉だけを使い、何の着香も加えてないとある。海外のレビューを読んでもバージニア葉オンリーで、ケーシングもトッピングもない、ピュアにバージニア葉の味をたのしめる傑作と絶賛される。
 プロークン・フレークで、やや大きめのスライスとわらわらになったかけらが混じる。フレークはほぐさずに板のまま吸うので、ダンヒルのように整然と板が並ぶのが楽のようだが、じつはブロークン・フレークも詰めやすい。まずボウルの大きさに合わせてスライスを詰め、隙間をかけらで埋めればいい。
 味は、じつに素直なバージニア味で、しかも軽い! 酸味がかなりあって、柑橘系の香りと、あと何種類か複雑な香りが混じる。この香りが何なのか、わからないし、それと別に独特の風味も感じる。海外のレビューのなかにこの葉はジンバブエ産と指摘したのがあったのでひょっとするとこれがジンバブエ特有の香りと風味なのかと想像するが、ぼくの味覚はバージニアの産地を指摘できるほど成熟してないのでわからない。
 同社にはフル・バージニア・フレークという別の逸品があるのでつい比較したくなる。そちらにはかなり強いスパイシーな香りがあり、やや重い。対照的にこちらは甘みのみのバージニア味でほんとに軽い。会社の解説や海外のレビューには無いが、ぼくはごくわずかに甘み(たぶんリコリス)をケーシングしてあると思う。バージニア葉特有の甘みをほんのわずか強調していると想像している。
 しかし、ほんとに旨いタバコだ。火持ちもよく、じつにゆっくり燃え、再着火はほとんどしないですむ。
 一日中吸っていても、飽きなく、口内も荒れず、ただひたすらバージニア葉の絶妙の旨味をたのしめる。

# by jinsenspipes | 2010-01-07 15:24 | サミュエル・ガーウィズ

ガーウィズ・ホガース: エナーデール

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 ガーウィズ・ホガースの看板タバコ、エナーデール。バージニアに香りづけのため少量のバーレーが混じる。
 缶を開けるとビニール袋に詰めたブロークン・フレーク。香りを逃がさない配慮と思うが、その香りがかなり強烈。なんていうか、線香の匂い、おじいちゃんの箪笥の引き出しをあけたときの匂いというか、そんなところ。しかし火をつけると意外と匂いが収まり、バージニアの甘さがどーんとくる。うれしくなってくゆらせていると、シナモンかミントのような清涼な香りもあって奥が深い。うちのカミさんは「いい匂いネ、香水みたい」というから嗅覚はさまざまである。
 イギリスのタバコレビューを読むとみなさん絶賛で、懐かしいとか、おなじみのとか賛辞が並ぶ。誰もが例にあげるのが、Condor、st Bruno、どちらもイギリスで売上トップのパイプ・タバコである。ガーウィズ・ホガースはマイナーな会社だから宣伝文句にもこれらの銘柄をあげて「おなじみのイギリスの香り」と書いている。してみると、この香りはイギリス好みのということになるのだろうか。
 かなり壊れたフレーク状で、ダンヒルのフレークのように整然としてないので、ハテ、ほぐして吸うべきか、このまま二つ折りに吸うべきか、迷うところである。思いきって形がしっかりしたところは二つ折り、そこに壊れたのもブチこんで乱暴にやってみたがこれでも充分いける。フレークタバコは二つ折りして詰めればいいだけだから楽でいいし、もともと燃焼度合いを計算してあるから自然に燃えるままにくゆらせればよくて楽である。
 何度がやってるうちに匂いも心地よくなり、なんかクセになりそうな気がする。

# by jinsenspipes | 2009-12-30 22:56 | ガーウィズ・ホガース

ジャーマイン: スペシャル・ラタキア・フレーク

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 ジャーマインのスペシャル・ラタキア・フレーク。
 バージニア、メリーランドのゴールデンキャベンディッシュ、オリエント、ラタキアのミクスチャー。
 いやこれもじつに旨い。
 バージニアの風味とラタキアの香りがまろやかに交錯する。ふつうのラタキア物と比べると、あの独特の香りはやや弱く、いわばバージニア風味の隠し味のように響く。そのぐあいが抜群。そして前に紹介したペリク・ミクスチャーとおなじくメリーランドのゴールデンキャベンディシュが甘さと酸味を添える。甘く、とろーんとしたラタキア風味のバージニア!
 このジャーマインという会社、ファンになっちゃった。社歴200年になるというイギリスきっての名門で、19世紀、帆船を走らせて諸大陸からタバコを木樽に詰めて運搬してたというがじつに独特の味がある。
 メリーランドはアメリカでも閉鎖的な地域で移民の関係から外国への輸出はフランスとオランダに限られていた。当然タバコもオランダ(のちにデンマーク)にメリーランド・タバコがあるだけで本国アメリカでもイギリスでもこの種は使われなかったと文献にある。ではなぜイギリスのジャーマインに? という疑問がわくが、ひょっとしてこの会社が特別のルートを持ち、それを売り物していたのではいう痛快な想像もできる。
 ジャーマインにはメリーランドのゴールデンキャベンディッシュを使わないレシピもあるからこんどはそれを試してみたいナ。

# by jinsenspipes | 2009-12-26 21:51 | ジャーマイン

study: キャベンディッシュ

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 パイプタバコの葉組を読むと、バージニア、バーレー、オリエンタルはタバコの葉の種類。ラタキアはシリア葉の薫製、ペリクはルイジアナ葉の漬け物。そこまではわかるが、キャベンディッシュというのがよくわからない。これは葉を加工して甘みや香りをつけたものだが、どうやるのか、よくわからないのでネットの文献を調べてみた。以下はぼくがお勉強したまとめです。

 3つのタイプがあるらしい。
 イギリスのキャベンディッシュ伝統製法は熱風乾燥したバージニア葉のみ使い、型に入れて圧力をかけて3、4日おく。するとバージニア葉に含まれる糖分が沁み出し、甘みが出てくる。ただこれだけでケーシングはしない。またイギリスのブラック・キャベンディシュはまず葉を蒸気で蒸し、そのあとプレスしたもの。伝統製法ではキャベンディッシュ(とくにブラック・キャベンディッシュ)にリコリスとアニスがケーシング・ソースに使われることもあるらしい。
 アメリカのキャベンディッシュはバーレー、バージニアなどあらゆる葉、またその組み合わせから作る。まずケーシング・ソースに浸し、ソースがなじむまで寝かせる。そのあと圧力をかけてプラグにすることもあるしそのままのこともある。アメリカのブラック・キャベンディッシュは充分ケーシングしたのち黒くなるまで蒸気で蒸したもの。かなり強引な製法なので、元の葉の味わいを失ったり、とくに粗悪な葉に味付けをするために処理されることもあるという。
 オランダやデンマークでもバージニア、バーレーなどさまざまな葉とその組み合わせを使う。まず葉を蒸して、葉の気孔を開かせたあとケーシングする。このほうがソースがよく染みる。その後型に入れて圧力をかけてケーキにし、カットする。キャベンディシュからさまざまな味を引き出したのはオランダやデンマークの功績でアンフォーラ、ボルクムリフ、マクバレンなどが名作を送り出した。

 アンフォーラはキャベンディッシュの傑作だが、ポーチに書かれた宣伝文句に「繊細な香り、その複雑なミックス、これはバージニア葉がもともと持つ味と香りにインスパイアされたものです」とある。イギリスの伝統製法キャベンディッシュはバージニア葉をプレスしたり蒸したりしてバージニアの本来の甘みや香りを引き出そうとしたものだった。しかしオランダやデンマークはさらにそれを拡張し、人工の甘みや香料でケーシングし、あるやなしやの仄かな味をくっきりした顕在の味と香りにした。
 ぼくらはそのどちらもたのしんでますね。

# by jinsenspipes | 2009-12-26 00:12